【記事丸わかり】
⇒⇒Total assist 自動車保険 車両新価保険特約「新車」篇 |
新車や中古車を購入し、自動車保険に加入する際に、自分の車の補償も心配だということで車両保険を付ける人は多いと思います。
その際、車の補償額をいくらに設定するか、その設定する金額のことを「協定保険価額」と呼びます。
そして「協定保険価額」で車両保険の契約を結ぶ方式のことを「車両価額協定保険特約」と呼びます。
要するに、何のことはない、通常の車両保険のことを難しい用語で表現しているだけです。
このページでは車両価額協定保険特約と協定保険価額について詳しく解説しています。
しばらくお付き合いいただけると幸いです。
要は通常の「車両保険」のことです
このページのテーマである車両価額協定保険特約と協定保険価額の2つのコトバは、わたしたちが自動車保険の特約として車両保険を付けるケースで、この車両保険のことをより専門的に説明する際に必要となる用語です。
通常はこの2つの用語を目にすることはなく、知らなくても特に問題はないのですが、車両保険のことをより深く理解するためには必要な用語です。
また、「車両価額協定保険特約」と「協定保険価額」の2つの保険用語を明確に使用している保険会社は東京海上日動や三井住友海上など少数です。
ソニー損保やチューリッヒなどでは別の表現を使っています。
しかし、表現または名称が何であれ、わたしたち一般の個人が普通の自家用車で車両保険に加入する際には、車両価額協定保険特約と協定保険価額が意味する考え方に基づいて契約を結んでいます。
したがって、これからご説明する内容は、
「車両保険って何?」
「車両保険はいくらで掛ければいいの?」
という質問に対する答えそのものです。
車両価額協定保険特約と協定保険価額
自動車保険に加入する際、自分の車の修理代を補償するには車両保険に加入する必要があります。
では車両保険に加入する場合、車両保険金額(補償の上限額)はいくらに設定すればいいのでしょう?
わたしたちが自由に金額を設定できるのでしょうか?
その答えですが、わたしたちは自由に車両保険金額を決めることはできません。
車両保険金額(補償の上限額)は各保険会社がそれぞれ独自に持っている「自動車保険車両標準価格表(車両価格表)」(以下「車両価格表」とします)という一種のデータブックに記載されている金額に基づいて決められます。
わたしたちが自動車保険を申し込む場合、車検証に記載されている車の「型式」と「初度登録年月」を記入しますが、保険会社はこの「型式」と「初度登録年月」のデータで車両価格表に照会をかけます。
すると、たとえば「220万~275万」という金額が表示されます。
その結果、わたしたちはこの「220万~275万」の範囲内で車両保険金額(補償の上限額)を決めることになります。
そして、最終的に「220万~275万」の範囲内で決められた車両保険金額(補償の上限額)のことを協定保険価額と呼びます。
そして、協定保険価額に基づき契約が結ばれた車両保険のことを車両価額協定保険特約が付いた車両保険と呼びます。
要するに、普通の車両保険のことです。
どの保険会社であれ、わたしたちが普通に車両保険を付けた場合は、協定保険価額と車両価額協定保険特約のお世話になっているということです。
※協定保険価額による車両価額協定保険特約が付かない車両保険もありますが、それはごく特殊な契約のみで、わたしたち個人が普通の車にかける車両保険はすべて協定保険価額による車両価額協定保険特約が付いた車両保険です。
協定保険価額は車両価格表に基づいて決められる
前の項目で「車両価格表」という言葉が出てきました。
これは各保険会社が独自に保有している一種のデータブックです。
車両価格表には、市場に出回っている様々な車の市場販売価格相当額が記載されています。
たとえば2019年1月登録のトヨタ・カローラスポーツの場合、このカローラスポーツと同じ初度登録年月・用途・車種・型式・仕様のものが中古車市場で取引されている金額の平均が一定の幅で記載されています。
車両保険を付ける場合は、一定の幅で記載された金額のなかから車両保険金額を決めることになります。
車両保険金額は通常「値引き前の車両本体価格+オプション代+これらの消費税」を合計した金額です。
そして、ここで決定された車両保険金額が、すなわち、協定保険価額です。
車両価格表は各保険会社が独自に保有しているデータブックで、保険会社によって金額に違いがありますが、実際にはあまり大きな差はないようです。
車両保険金額=協定保険価額=時価額?
協定保険価額とは車両保険に加入する際の車両保険金額のことだと書きました。
では、この金額は、いわゆる「時価額」のことなのでしょうか?
というのも、協定保険価額は車両価格表に基づいて決められ、その車両価格表は同じ車の市場取引価格の平均額ということであれば、要するに「時価額」と同じであるはずだからです。
答えを申し上げますと、「ほぼ時価額だけれど、ちょっと違う」というのが答えです。
カーセンサーやグーネットなどで中古車検索しているとわかりますが、中古車の価格はかなり頻繁に変動しています。
1月に200万円だった車が、売れずにいた場合、4月には190万円の表示に変わっていて、そこでも売れ残った場合、9月に見たら170万円になっていた、ということはごく普通のことです。
つまり、車の市場価格は1年のあいだで数十万という単位で変動(普通は低下)します。
そのように不確定な市場価格によって保険契約を結ぶことは、契約者にとっても保険会社にとっても不都合ですから、いっそのこと契約時点の金額を1年の保険期間中は変動しないで固定した金額とする、これが通常わたしたちが契約する車両保険のやり方です。
協定保険価額あるいは車両価額協定保険特約というように「協定」の文字がつくのは、保険会社と契約者の両者が、保険期間中の価格変動にかかわらず契約時点の価格に固定する約束で契約を結んでいるからです。
ですから、保険契約時点で200万円の車両保険金額=協定保険価額であった車が事故で全損になった場合、その事故が保険期間終了間近で発生し、車の市場価格は保険契約時より50万円下落していたとしても、車両保険からは200万円が支払われます。※その他臨時費用等も支払われます
このページのテーマは車両価額協定保険特約と協定保険価額についてですが、上の例のように、保険期間中に車が全損になった場合に、その時点の市場価値(時価額)とは関係なく、保険契約時点で設定した車両保険金額が支払われることになっている契約は、すべて協定保険価額によって契約されている車両保険であり、車両価額協定保険特約が適用されている契約ということになります。
わたしたち一般の個人が契約する車両保険は、ごく一部の特殊な事例を除いて、すべて協定保険価額によって結ばれた車両価額協定保険特約が適用されている契約です。
ご覧いただきありがとうございました。