【記事丸わかり】
⇒⇒【解約時の必殺技】自動車保険の中断証明書がアツい! |
さまざまな事情で車を手放した場合、自動車保険はただ単純に解約するのではなく、中断して等級を10年間保存しておくことができます。
もしも後日また車に乗るときがきたら保存しておいた等級を生かして保険を再開できます。
海外留学や海外赴任の場合は車を手放さなくても保険を中断することができます。
このページでは自動車保険の中断(中断証明書)についてわかりやすく解説しています。
しばらくお付き合いいただけると幸いです。
「空白期間7日」で自動車保険の等級は消える
まず確認しておきたいことがあります。
自動車保険は、解約したり、満期を迎えたりした場合、すぐに次の契約に引き継がれれば問題ありませんが、もしもそこで切らしてしまって空白期間ができると、丸7日間でそれまでの等級は消滅してしまいます。
いったん消滅したら、再度自動車保険を契約する場合は6等級または7等級からのスタートになります。
したがって、現在7等級以上の自動車保険を解約する場合、すぐに次の保険に引き継ぐのであればいいのですが、そうでない場合は何らかの手を打たないと「もったいない」と思います。
自動車保険を解約するケースとは
自動車保険を解約するケースとしてはいろんなケースが考えられます。
たとえば、他社の保険に乗り換えるために今までの保険を解約することもあるでしょう。
このケースでは、保険は空白期間なく継続されるので特に問題はありません。
けれども、つぎのようなケースはどうでしょう?
本当に解約してそのままでいいのでしょうか?
- 東京に転勤してきたら公共交通機関が発達しているのでマイカーが不用になり自動車保険を解約することにした
- 高齢なので免許証を返納し車も処分したので自動車保険を解約することにした
- 経済的な理由でセカンドカーを手放すことになり自動車保険も解約することにした
- カナダへ1年間留学することになったので車を手放し自動車保険も解約することにした
- 原付バイクの任意保険に加入していたけれど妊娠してしばらく乗らないので解約することにした
上の5つの事例以外にも似たようなケースはたくさんあると思います。
解約することになった保険が去年入ったばかりの保険だというのであれば特に問題ないのですが、ある程度等級が進んで、無事故割引の割引率も高くなってきている保険なら、単純に解約してしまうのはもったいない話です。
他に方法がないのなら仕方ありませんが、いい方法があるのですから、それを使わない手はないと思います。
いい方法とは「中断証明書」のことです。
会社によっては「中断制度」と呼ぶところもあります。
自動車保険の等級を10年間保存できる制度です。
再開するときには保存しておいた等級を引き継ぐことができます。
自動車保険に新規で加入するには6等級または7等級スタートになります。
しかし、保存しておいた等級からスタートできれば、多くのケースで支払う保険料は大幅に節約できます。
差額が2倍出ることもごく普通にあります。
中断証明書は無料なので迷わず取得しておくべき
中断証明書を取得するには一定の条件があり、後ほど解説しますが、条件に適合するケースでは迷わず取得していただきたいと思います。
というのも、お金がかからないからです。
無料で手に入る証明書です。
「中断証明書を発行してもらっても、後々また保険を再開するかどうかわからないし、どうしようか・・・」
こんな風に悩まないで、条件さえ合うなら、迷わず取得しておくべきだと思います。
前の項目で保険を解約する事例をご紹介しました。
2つ目の事例は、
- 高齢なので免許証を返納し車も処分したので自動車保険を解約することにした
というものです。
この事例の場合、「免許証まで返納しているのだから、もう車に乗る機会は絶対ないわけで、中断証明書など絶対的に必要ない」と思われるかもしれません。
けれども、免許証を返納したこの方に同居のご家族がいた場合は、後々中断証明書が活かされるケースもあります。
この方の孫が免許証を取り、車を購入した場合、もしも中断証明書が取得してあれば、保存していた等級から保険をスタートすることができ、保険料を大幅に節約できます。
後で解説しますが、中断したときの記名被保険者と再開したときの記名被保険者は、必ずしも同一人でなくてもかまいません。
同居の親族であれば問題なく等級の引継ぎができます。
そういうわけで、自動車保険を解約することになったら、ただ単に解約するのではなく、条件が合うなら、迷わず中断証明書を取得しておいていただきたいと思います。
無料ですから。
中断証明書を取得しておいたけれど、結局使う機会がなかったとしても、ペナルティーが課されることは一切ありません。
デメリットは一つもないのですからあれこれ迷わず手に入れておくべきだと思います。
中断証明書の適用条件:車を手放していること
中断証明書を発行するには、まず、保険期間内に車を手放していることが条件になります。
車を手放すにはいろんな理由があると思います。
廃車、譲渡、車検切れ、一時抹消、災害による滅失、盗難などで車が手元を離れていることが条件です。
ですから、しばらく車に乗るのを止めにして、車はガレージに保管しておき、後日また乗ることにしよう、というのは対象外になります。
なぜなら、車を手放していないからです。
ただし、この場合、ちょうど車検の時期が来ていて、車検を受けずに車検切れの状態にしているのであれば、それはOKです。
車検切れや一時抹消(ナンバープレートの返納)は、モノとして車は手元にあるけれど、法的には公道を走れない状態にあるので、この場合は「車を手放している」とみなされるからです。
中断証明書の適用条件<1> |
保険期間内に車を手放していること |
中断証明書の適用条件:7等級以上であること
自動車保険に新規で加入する場合は、通常、6等級からスタートします。
ですから、中断証明書を発行して等級を保存し、後日、保険を再開するときに6等級以下の等級になるとしたら、中断する意味がありません。
わざわざ中断証明書を発行してもらうからには、保険を再開する際に、通常新規で加入するときの等級である6等級を超えた等級でないと無意味です。
したがって、中断証明書を発行する場合は、現在の等級が、後日保険を再開する際に7等級以上になる等級ででなければなりません(そうでなければ発行する意味がない)。
わかりやすいのは、20等級です。
中断証明書を発行する時点で20等級であれば、たとえその年度に事故を2回起こしていても、中断後に再開するときの等級は、6等級ダウン(3等級ダウン×2)の14等級になります。※事故有係数適用期間も引き継がれます
また、中断証明書を発行する際には6等級であっても、中途解約ではなく満期日までかけてから発行された場合は、再開後の等級は7等級となり、これもOKです。※無事故であった場合
中断証明書の適用条件<2> |
再開後の等級が7等級以上になる等級・事故歴であること |
中断証明書の発行を申し込むタイミング
次に、中断証明書をいつ発行してもらうか、というタイミングについてです。
発行の条件として、保険期間内に車を手放していること、と書きましたが、通常、車を手放したらその時点で保険を解約するか、あるいは、もしも満期が近かったら、そのまま更新手続きをしないでいる、といった処置が取られると思います。
中断証明書の発行は、解約の時点でも、満期の時点でも、いずれのタイミングでも申し込むことができます。
さらに、満期を過ぎてからでも申し込むことができます。
正確には、解約日または満期日から13ヶ月以内であれば、いつでも中断証明書は発行できます。
※東京海上日動、イーデザイン損保、AIG損保などは、解約日または満期日から5年以内なら可能
中断証明書の発行を申し込むタイミング |
解約日または満期日から13ヶ月以内に申し込むこと ※東京海上日動、イーデザイン損保、AIG損保などは5年以内 |
以上が、中断証明書の骨格をなす部分です。
もう一度、中断証明書についてまとめてみます。
中断証明書の適用条件<1> |
保険期間内に車を手放していること |
中断証明書の適用条件<2> |
再開後の等級が7等級以上になる等級・事故歴であること |
中断証明書の発行を申し込むタイミング |
解約日または満期日から13ヶ月以内に申し込むこと ※東京海上日動、イーデザイン損保、AIG損保などは5年以内 |
中断証明書の有効期間 |
中断日(保険の解約日または満期日)から10年間 |
以下、細かな注意点を見ていきたいと思います。
中断証明書の例外規定:「海外渡航」と「妊娠」
中断証明書を発行するには「車を手放していること」が条件だと書きました。
しかし、海外渡航と妊娠の場合は、車が手元にあっても中断証明書が発行されます。
まず海外渡航のケースですが、一時的な海外旅行ではなく、長期出張などで海外渡航をする場合は、保険の解約日または満期日から6ヶ月以内に海外に出国していることが発行の条件です。
発行の申込み期限は解約日または満期日から13ヶ月以内で、通常の中断証明書と同じです。
中断期間は通常のものと同じ10年間ですが、通常のものと違うのは、解約日または満期日から10年間ではなく、海外渡航した日から10年間となる点です。
次に妊娠のケースですが、扱っているのはアクサダイレクト、三井住友海上など一部の保険会社のみです。
各保険会社のホームページを見ても、明確な記載がないので、アクサダイレクトと三井住友海上に電話して更なる詳細を確認しました。
この2社の内容はほぼ同じですが、中断期間のみ異なっていて、アクサダイレクトが3年間、三井住友海上が10年間です。
中断できるのは車(4輪車)ではなく2輪バイクと原付バイクです。
自動車保険は対象外です。
ですから、250ccとか400ccのバイクや原付バイク(~125cc)の任意保険に加入している人が対象です。
バイクは手放している必要はなく、手元にあってもOKです。
中断する契約の解約日または満期日までに母子保健法に定める妊娠の届出を行っていて、保険会社に「母子健康手帳」のコピーを提出することが発行の条件です。
中断証明書の発行申し込み期限は、通常の場合と同じで、解約日または満期日から13ヶ月以内です。
中断証明書の例外規定:「海外渡航」と「妊娠」の場合 | ||
海外渡航 | 妊娠 | |
発行期間 | 解約日または満期日から13ヶ月以内 | |
中断期間 | 10年※海外渡航に出発した日から10年間 | 3年間(アクサダイレクト) 10年間(三井住友海上) |
車の状態 | 手放さずにいてもOK | 手放さずにいてもOK ※ただし2輪バイクと原付バイクのみ対象 |
条件(1) | 保険の解約日または満期日から6ヶ月以内に国外に出国していること | 中断する契約の解約日または満期日までに母子保健法に定める妊娠の届出をしていること ※保険会社には「母子健康手帳」のコピーを提出する |
条件(2) | 再開後の等級が7等級以上になる等級・事故歴であること |
再開する場合はどの保険会社でもOK
損害保険会社、全労済、JA(農協)と一部共済のあいだでは等級の引継ぎが可能です。
等級の引継ぎが可能な保険会社・共済であれば、どこであっても中断証明書で保険契約を再開できます。
たとえば、A社で中断証明書を発行してもらい、7年後にB社で再開することができます。
妊娠特則で中断証明書を発行している場合は、妊娠特則を採用している会社同士でないと契約できません。
ですから、妊娠特則に関しては、少なくともアクサダイレクトと三井住友海上のあいだでは自由に行き来できるということです。
中断証明書を紛失しても再発行できます
中断証明書を発行してもらったけれど紛失してしまった場合は再発行できます。
再発行できるのは中断証明書を発行した保険会社です。
再開は他社でも自由にできますが、再発行の依頼は、発行した保険会社でなければ受け付けてくれません。
ただし、中断証明書を使って保険を再開する場合で、再開する保険会社が中断証明書を発行した保険会社でである場合は、氏名・住所・中断時の証券番号・登録番号などから発行した事実が確認できるので、わざわざ再発行しなくても、契約の再開ができます。
再開する保険会社が他社である場合は、発行してもらった保険会社で再発行の手続きを取る必要があります。
ご覧いただきありがとうございました。