【記事丸わかり】
⇒⇒【解約時の必殺技】自動車保険の中断証明書がアツい! |
自動車保険の中断証明書とは、車を手放した際に保険の等級を10年間保存する制度です。
いったん保険を切らしてしまうと等級はリセットされ、再度加入するには6等級からのスタートになります。
そこで、これまで積み重ねてきた「いい等級」をムダにしないためにあるのが中断証明書です。
中断証明書は、原則として、車を手放していることが発行の条件です。
このページでは自動車保険の中断証明書について詳しく解説しています。
しばらくお付き合いいただけると幸いです。
自動車保険の中断証明書とは?
さまざまな事情で今まで乗っていた車を手放すことがあります。
すると、その車に付けていた自動車保険が宙に浮きます。
どうすればいいのでしょう?
保険を解約したり保険期間が満了すれば、保険の等級は途切れてしまいます。
保険の等級は、保険の解約日または満期日から7日を経過した時点で消滅します。
1等級とか2等級といった「わるい等級」なら切れてもいいでしょうが、7等級以上の「いい等級」を切らしてしまうのはもったいない話です。
自動車保険の中断証明書とは、こうしたケースでわたしたちの味方になってくれる制度です。
保険会社や代理店に中断証明書を発行してもらっておけば、「いい等級」を10年間そのまま保存することができます。
向こう10年以内であれば、また車を購入した際、新規で加入する場合の等級である6等級ではなく、中断証明書で保存しておいた等級を引き継ぐことができます。
中断証明書の適用条件:車を手放していること
中断証明書を発行するには、まず、保険期間内に車を手放していることが条件になります。
車を手放すにはいろんな理由があると思います。
廃車、譲渡、車検切れ、一時抹消、災害による滅失、盗難などで車が手元を離れていることが条件です。
ですから、しばらく車に乗るのを止めにして、車はガレージに保管しておき、後日また乗ることにしよう、というのは対象外になります。
なぜなら、車を手放していないからです。
ただし、この場合、ちょうど車検の時期が来ていて、車検を受けずに車検切れの状態にしているのであれば、それはOKです。
車検切れや一時抹消(ナンバープレートの返納)は、モノとして車は手元にあるけれど、法的には公道を走れない状態にあるので、この場合は「車を手放している」とみなされるからです。
中断証明書の適用条件<1> |
保険期間内に車を手放していること |
中断証明書の適用条件:7等級以上であること
自動車保険に新規で加入する場合は、通常、6等級からスタートします。
ですから、中断証明書を発行して等級を保存し、後日、保険を再開するときに6等級以下の等級になるとしたら中断する意味がありません。
わざわざ中断証明書を発行してもらうからには、保険を再開する際に、通常新規で加入するときの等級である6等級を超えた等級でないと無意味です。
したがって、中断証明書を発行する場合は、現在の等級が、後日保険を再開する際に7等級以上になる等級ででなければなりません(そうでなければ発行する意味がない)。
わかりやすいのは、20等級です。
中断証明書を発行する時点で20等級であれば、たとえその年度に事故を2回起こしていても、中断後に再開するときの等級は、6等級ダウン(3等級ダウン×2)の14等級になります。※事故有係数適用期間も引き継がれます
また、中断証明書を発行する際には6等級であっても、中途解約ではなく満期日までかけてから発行された場合は、再開後の等級は7等級となり、これもOKです。※無事故であった場合
中断証明書の適用条件<2> |
再開後の等級が7等級以上になる等級・事故歴であること |
中断証明書の発行を申し込むタイミング
次に、中断証明書をいつ発行してもらうか、というタイミングについてです。
発行の条件として、保険期間内に車を手放していること、と書きましたが、通常、車を手放したらその時点で保険を解約するか、あるいは、もしも満期が近かったら、そのまま更新手続きをしないでいる、といった処置が取られると思います。
中断証明書の発行は、解約の時点でも、満期の時点でも、いずれのタイミングでも申し込むことができます。
さらに、満期を過ぎてからでも申し込むことができます。
正確には、解約日または満期日から13ヶ月以内であれば、いつでも中断証明書は発行できます。
※東京海上日動、イーデザイン損保、AIG損保などは、解約日または満期日から5年以内なら可能
中断証明書の発行を申し込むタイミング |
解約日または満期日から13ヶ月以内に申し込むこと ※東京海上日動、イーデザイン損保、AIG損保などは5年以内 |
以上が、中断証明書の骨格をなす部分です。
もう一度、中断証明書についてまとめてみます。
中断証明書の適用条件<1> |
保険期間内に車を手放していること |
中断証明書の適用条件<2> |
再開後の等級が7等級以上になる等級・事故歴であること |
中断証明書の発行を申し込むタイミング |
解約日または満期日から13ヶ月以内に申し込むこと ※東京海上日動、イーデザイン損保、AIG損保などは5年以内 |
中断証明書の有効期間 |
中断日(保険の解約日または満期日)から10年間 |
以下、細かな注意点を見ていきたいと思います。
中断証明書の例外規定:「海外渡航」と「妊娠」
中断証明書を発行するには「車を手放していること」が条件だと書きました。
しかし、海外渡航と妊娠の場合は、車が手元にあっても中断証明書が発行されます。
まず海外渡航のケースですが、一時的な海外旅行ではなく、長期出張などで海外渡航をする場合は、保険の解約日または満期日から6ヶ月以内に海外に出国していることが発行の条件です。
発行の申込み期限は解約日または満期日から13ヶ月以内で、通常の中断証明書と同じです。
中断期間は通常のものと同じ10年間ですが、通常のものと違うのは、解約日または満期日から10年間ではなく、海外渡航した日から10年間となる点です。
次に妊娠のケースですが、扱っているのはアクサダイレクト、三井住友海上など一部の保険会社のみです。
各保険会社のホームページを見ても、明確な記載がないので、アクサダイレクトと三井住友海上に電話して更なる詳細を確認しました。
この2社の内容はほぼ同じですが、中断期間のみ異なっていて、アクサダイレクトが3年間、三井住友海上が10年間です。
中断できるのは車(4輪車)ではなく2輪バイクと原付バイクです。
自動車保険は対象外です。
ですから、250ccとか400ccのバイクや原付バイク(~125cc)の任意保険に加入している人が対象です。
バイクは手放している必要はなく、手元にあってもOKです。
中断する契約の解約日または満期日までに母子保健法に定める妊娠の届出を行っていて、保険会社に「母子健康手帳」のコピーを提出することが発行の条件です。
中断証明書の発行申し込み期限は、通常の場合と同じで、解約日または満期日から13ヶ月以内です。
中断証明書の例外規定:「海外渡航」と「妊娠」の場合 | ||
海外渡航 | 妊娠 | |
発行期間 | 解約日または満期日から13ヶ月以内 | |
中断期間 | 10年※海外渡航に出発した日から10年間 | 3年間(アクサダイレクト) 10年間(三井住友海上) |
車の状態 | 手放さずにいてもOK | 手放さずにいてもOK ※ただし2輪バイクと原付バイクのみ対象 |
条件(1) | 保険の解約日または満期日から6ヶ月以内に国外に出国していること | 中断する契約の解約日または満期日までに母子保健法に定める妊娠の届出をしていること ※保険会社には「母子健康手帳」のコピーを提出する |
条件(2) | 再開後の等級が7等級以上になる等級・事故歴であること |
中断証明書を発行しておいたほうがいいケース
中断証明書の発行にお金はかかりません。
無料ですから、車を手放したときは、あまり難しいことを考えずに、とにかく中断証明書を発行してもらうべきです。
発行したけれど結局使わなかった場合でも、ペナルティーなどは一切ありません。
ですから、手放したときは発行しておくことをおすすめします。
とは言え、実際のところ、どんなケースに発行したらいいのか、具体的なケースをまとめてみましたので、参考になさってください。
|
以上のようなケースが考えられます。
しかし、繰り返しますが、将来中断証明書を活用する見込みがあってもなくても、発行は無料なので、とりあえず取得しておくことをおすすめします。
再開する場合はどの保険会社でもOK
損害保険会社、全労済、JA(農協)と一部共済のあいだでは等級の引継ぎが可能です。
等級の引継ぎが可能な保険会社・共済であれば、どこであっても中断証明書で保険契約を再開できます。
たとえば、A社で中断証明書を発行してもらい、7年後にB社で再開することができます。
妊娠特則で中断証明書を発行している場合は、妊娠特則を採用している会社同士でないと契約できません。
ですから、妊娠特則に関しては、少なくともアクサダイレクトと三井住友海上のあいだでは自由に行き来できるということです。
中断証明書を紛失しても再発行できます
中断証明書を発行してもらったけれど紛失してしまった場合は再発行できます。
再発行できるのは中断証明書を発行した保険会社です。
再開は他社でも自由にできますが、再発行の依頼は、発行した保険会社でなければ受け付けてくれません。
ただし、中断証明書を使って保険を再開する場合で、再開する保険会社が中断証明書を発行した保険会社でである場合は、氏名・住所・中断時の証券番号・登録番号などから発行した事実が確認できるので、わざわざ再発行しなくても、契約の再開ができます。
再開する保険会社が他社である場合は、発行してもらった保険会社で再発行の手続きを取る必要があります。
ご覧いただきありがとうございました。