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【記事丸わかり】
⇒⇒電動二輪車の免許の区分について |
電動バイク(EVバイク)の免許区分は定格出力別:原付・小型二輪・普通二輪・大型二輪
電動バイクは、ガソリンを燃焼させるエンジンではなく、バッテリーで駆動するバイクです。
排気ガスを出さないため、環境にやさしく、燃料代も安いのが特徴です。
たとえば、Hondaは2040年代に全ての二輪製品でのカーボンニュートラルを実現することを目指し、2025年までにグローバルで電動二輪車を合計10モデル以上投入し、今後5年以内に100万台、2030年にHondaの総販売台数の約15%にあたる年間350万台レベルの電動二輪車の販売を目指しています。
また、矢野経済研究所が公表したデータによると、世界における2020年度の二輪車全体台数は5,557万台で、そのうち約5%にあたる266万3千台が電動化されています。
電動化は今後さらに進むといわれており、2030年には二輪車全体台数6,576万3千台のうち約20%にあたる1,305万台が電動化される見通しです。
電動バイクの免許について
今後続々と発売される予定の電動バイクですが、どの免許で乗れるかが気になるところですね。
答えは、定格出力です。
どのくらいの定格出力がエンジン車のどのくらいの排気量に相当するか、こうした考え方で免許区分が決められます。
原付免許:定格出力0.6kw以下
原付免許を持っている方は、定格出力0.6kw以下の電動バイクを運転することができます。
これらのバイクはエンジン規格50cc以下と同等とみなされます。
車格が小さいためバッテリーも小さく、航続距離はおおよそ50km程度です。
ホンダ EM1 eやヤマハ イービーノなどの原付スクータータイプや、「トロモックス ミノ」のような海外のオンロードタイプ、軽量折り畳みモデルの「ライドオン アイオーン」など、多種多様なモデルが展開されています。
小型二輪免許:定格出力0.6kw超~1.0kW以下
小型二輪免許を持つ方は、定格出力0.6kw超~1.0kW以下の電動バイクを運転できます。
これらのバイクはエンジン規格50cc超125cc以下と同等とみなされます。
いわゆる「原付2種」ですね
タンデム走行が可能で、航続距離が100kmに迫るモデルもあり、ツーリングも可能です。
カワサキのニンジャEV、Z EV。スズキe-バーグマンなどがこの規格に該当します。
普通二輪免許:定格出力1.0kw超~20kw以下
普通二輪免許を持つ方は、定格出力1.0kw超~20kw以下の電動バイクを運転できます。
これらのバイクはエンジン規格125cc超400cc以下と同等とみなされます。
高速道路も走行可能で、航続距離は100kmを軽く超えるモデルがほとんどです。
高い瞬発力を活かしたオフロードモデルも多く、スーパーソコCPX、ゼロモーターサイクルズ TC MAX、BMW CE04など海外メーカーのモデルが目立っています。
大型二輪免許:定格出力20kw超
大型二輪免許を持つ方は、定格出力20kw超の電動バイクを運転できます。
これらのバイクはエンジン規格400cc超と同等とみなされます。
現状では他の区分に比べてラインナップは少ないものの、エンジン車では実現できないような加速性能やトルク感を持つため、注目度は非常に高いです。
ただし、航続距離の短さが課題であり、充電タイミングを確保しないと長距離ツーリングは難しいといえます。
現行モデルとしては、ゼロモーターサイクルズ SR/FやSR/S、BMW Cエボリューション、ハーレーダビッドソンのライブワイヤーなどが挙げられます。
電動バイクは確実に増えます(確定事項)
電動バイクは温室効果ガスの排出量が少なく、カーボンニュートラル社会を実現するための一つの手段となります。
そのため、今後も各メーカーから新モデルが続々と展開されることが期待できます。
と言うか、各メーカーの投資動向を見れば、電動バイクが増加していくことは「確実」です。⇒⇒日経新聞を定期購読してください。電子版がいいですよ。
「ゼニの動き」を見れば、増えていくのはもはや確定事項です。
電動バイクゆえの注意点
電動バイクは「メンテナンスフリー」と言われるほど、管理が簡単なバイクですが、「まったく何もしなくていい」というわけではありません。
バイクの調子をキープするためには日常的にお手入れすることが肝心で、この点はエンジンバイクと同様です。
自分でできる電動バイクのメンテナンス方法としては、洗車、ヘッドライト、ウインカー、テールランプ、メーターパネル、ブレーカースイッチ、充電コネクター、ステアリングのチェックなどがあります。
また、実際に乗る際の注意点としては、バッテリーの残量が十分にあるか、は特に注意が必要です。
燃料の確認が重要なのはエンジンバイクでも同じですが、何と言っても、現状では充電スポットが限られています。
電動バイクでは、バッテリー残量をより強く意識することが必要です。
「免許不要」なのは電動キックボード
グーグル検索のサジェストワードには、
「電動バイク 免許不要」
「電動バイク 免許なし」
といったものがあります。
これらの検索ワードで検索する人は、電動キックボードが法改正で免許不要になったことと混同している可能性があります。
混乱しないように、電動キックボードの法改正について、以下触れておきます。
電動キックボード2023年7月から免許不要に
都市部で人気の電動キックボードについて、警察庁は2023年7月から新たなルールを適用する予定です。
これまで電動キックボードは原付バイクやオートバイと同じに扱われていたり、国の実証実験として貸し出されていたものがありました。
「特定小型原動機付自転車」に
しかし、新たな制度では、最高速度や車体の大きさなどの基準を満たしたものを「特定小型原動機付自転車」として分類し、自転車と同様の交通ルールを適用する予定です。
新基準
新たな基準としては、
- 最高速度が時速20キロ以下
- 車体に最高速度を表示する緑色のランプが備えられていること
- 車体の大きさが長さ190センチ以下、幅60センチ以下であること
- ナンバープレートの取得が必要
- ライトやミラーの装備も必要
- 運転免許は不要
- ヘルメットの着用は努力義務
- 16歳未満の運転は禁止
となります。
原則として車道を走行
新たなルールでは、地域を限定せずに走行可能となり、原則として車道を走行します。
ただし、最高速度を時速6キロまでに制御できるものは、「特例特定小型原動機付自転車」として分類され、自転車と同様に歩道を走行することができます。
減点はないが反則金あり
交通違反については、反則切符の対象となります。
運転免許が必要ないため、点数が減点されることはなく、反則金の納付が求められます。
また、違反を繰り返した場合は、専用の講習が求められます。
既存の電動キックボードの扱い
既存の電動キックボードについては、最高速度や車体の大きさが基準に満たなければ「特定小型原動機付自転車」には該当せず、原付バイクやオートバイとして扱われることになります。
いっぽう、基準を満たす場合、緑色のランプの装着は2024年12月まで猶予され、自治体で専用のナンバープレートを取得するなどした場合に、「特定小型原動機付自転車」として利用することができます。
新ルールの目的
新たなルールの目的は、電動キックボードの「より手軽な利用」を広めることです。
その背景にあるのは、MaaS社会に向けての取り組みです。
電動キックボードは、自転車と並んで、ラストワンマイルの交通手段として有望視されているのです。
直近の電動キックボードの事故状況
なお、2021年9月から2022年6月までに電動キックボードの交通違反で検挙されたケースは全国で合わせて654件あり、その中で「通行区分」の違反が全体の65%を占め、427件と最も多かったとのことです。
ヨーロッパでは電動キックボードの規制が強化の方向に
ヨーロッパでは電動キックボードが広く普及していますが、事故もまた増加していて、2023年4月2日に実施された住民投票により、フランス・パリで電動キックボードのレンタルサービスの廃止が確実になりました。
2人乗りなどの違反が問題視され、投票で継続「反対」の声が9割にのぼったためです。
パリだけでなく、他国でも電動キックボードの規制強化が進んでいます。
今後の動向を注視したいところですね。
※しかし、ヨーロッパなどが規制の方向に行くのなら、日本は安全に使用できる国であることを実証したいですね。世界のルールは自分たちが作るものだと思い込んでいる人たちと同じ行動をとるのは癪に障りますから。
まとめ
「電動バイク(EVバイク)の免許区分は定格出力別:原付・小型二輪・普通二輪・大型二輪」のテーマで解説しました。
ちょっと横道に逸れましたが、とにかく、電動バイクの免許は、今までのバイクの免許が「流用」されるというのが結論です。
今後電動バイクが増えていけば、教習所の教習バイクにも電動バイクが導入されるのかもしれません。※それとも、私が知らないだけで、すでに導入しているところもあるのでしょうか?
また、ちょっと先の話になるかもしれませんが、電動バイクの性能が向上して、たとえば定格出力0.6kw以下の電動バイクが今の定格出力0.6kw超~1.0kW以下の電動バイクと同等の性能を持つようになったら、免許区分も見直されるかもしれませんね。
だって、4輪の話ですが、今の1.2リッターのダウンサイジングターボは昔の2.0リッターエンジンと同等の性能がありますからね。
電動車だって、進化するはずです。
ご覧いただきありがとうございました。