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【記事丸わかり】
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フォルクスワーゲンはなぜハイオク仕様?レギュラーガソリンではだめなの?壊れるの?
フォルクスワーゲン・T-Roc Rライン:Wikipedia
フォルクスワーゲンの車種は、レギュラーガソリンでなくハイオクガソリン指定なのをご存知でしょうか?
この記事では、フォルクスワーゲンの車種がハイオク仕様であることと、ハイオクのメリットについて解説します。
フォルクスワーゲンの車にレギュラー仕様はない
フォルクスワーゲンには軽油を使用するディーゼル車や電気自動車も存在しますが、現在、日本で販売されているガソリン車では、全てがハイオク仕様です。レギュラーガソリン仕様の車はありません。
※例外として、ポロの1999年5月のカタログには「使用燃料:無鉛レギュラーガソリン」とあります。しかし、現行ラインナップはすべてハイオク仕様です。
ハイオク仕様である理由
フォルクスワーゲンのガソリン車がハイオクガソリンを推奨する理由を解説します。
エンジンの性能向上
ハイオクとレギュラーガソリンの区別は、オクタン価によって決定します。オクタン価は、ガソリンのノッキング(異常爆発)の抵抗力を示す指標です。
ノッキングが発生すると、エンジンに異常な振動や動作が生じ、性能に悪影響を及ぼす可能性が高まります。ハイオクとは高いオクタン価を持つガソリンのことであり、ノッキングのリスクが低いという特徴があります。
その結果、優れた走行性能を持つフォルクスワーゲン車にとって、エンジン性能を最大限に引き出すハイオクガソリンは適切な燃料とされています。
排出ガス規制への対応
欧州では厳格な排出ガス規制があることも、レギュラーガソリンでなくハイオクガソリン指定となる理由のひとつです。欧州の自動車メーカーは、環境規制に適合するためにエンジン技術の進化が求められています。
排出ガス規制をクリアするため、フォルクスワーゲンのガソリン車はすべてハイオクガソリン仕様となっています。
日本と欧州ではガソリンの規格が異なる
「欧州のガソリン車は日本のハイオク」という表現もありますよね。実は、日本と欧州ではガソリンの規格に違いがあります。
日本では日本工業規格(JIS)に基づき、ガソリンの種類が決定します。
- オクタン価96以上…ハイオク
- オクタン価89以上…レギュラー
一方、欧州ではレギュラーガソリンのオクタン価が91以上と、日本の基準より高く設定されています。欧州では、ガソリンが「92」「95」「98」という3つのオクタン価で分類され、ほとんどの車種が95以上のガソリンを使用することを前提に設計されています。
そのため、同じ車を日本で走らせる場合、日本のレギュラーガソリンでは性能を充分に発揮できず、ハイオクガソリンを使用せざるを得ないのです。
ハイオク搭載車のメリット
こちらの章では、ハイオク搭載車のメリットについて詳しく解説します。
ハイオクとレギュラーで値段が違う理由
ハイオクとレギュラーでは、1リットルあたり約10円近くハイオクの方が高い価格設定です。この価格差は、オクタン価を高めるためにレギュラーガソリンよりも多くの添加物が含まれていることが起因しています。
環境負荷を軽減
ハイオクは燃焼過程で多くの燃えカスが発生するため、洗浄剤が配合されている点も特徴のひとつ。ハイオクの洗浄剤は、エンジン内部の金属表面にコーティングを形成することで、摩擦を低減し、エンジンの耐久性を向上させる効果があります。
エンジン内をクリーンに保ち、燃焼効率を維持して環境負荷を軽減できるのもハイオクのメリットです。
力強い走行が可能
ハイオクは圧縮比が高くなると、燃料がより強く圧縮されるため、爆発力が強くなりより大きなパワーを生み出します。そのため、ハイオクを使用することで燃焼効率が向上し、力強い加速を楽しめます。
こうしたことから、ハイオクはスポーツカーや高排気量車、高級車、外車など、高性能が求められる車両に非常に適しているガソリンと言えるでしょう。
ハイオクは燃費が悪い?
ハイオクは価格も高いため、燃費を気にする方もいるでしょう。車の燃費は、車体の大きさや重量、エンジンなど車体全体の設計が大きく影響しています。
そのため、燃費を比較する際には、ガソリンの種類だけで判断するのではなく、車種ごとの仕様や特性を考慮する必要があります。
フォルクスワーゲンの場合、ガソリン車はすべてハイオク仕様ですが、燃費は相当いいです。ハイオクかレギュラーか、そういう違いとはまた別に、フォルクスワーゲンがエンジンの省燃費技術を持っている、ということだと思います。
日本の誇るハイブリッド勢と比べるとフォルクスワーゲンの燃費は劣るかもしれませんが、純ガソリン車同士の比較では、たぶんフォルクスワーゲンが勝つと思います。
レギュラーガソリンの使用による損傷は保証の対象外
ハイオク指定の車にレギュラーガソリンを混ぜても問題ないという情報もありますが、フォルクスワーゲンでは、『ハイオクにレギュラーガソリンは絶対に入れないでください』と注意喚起しています。(参照:フォルクスワーゲン世田谷)
レギュラーガソリン使用による損傷は、保証の対象外となるので注意しましょう。
まとめ
『フォルクスワーゲンはなぜハイオク仕様?レギュラーガソリンではだめなの?壊れるの?』のテーマで解説しました。
以下、記事のまとめです。
- 全車ハイオク指定:日本で販売されているフォルクスワーゲンのガソリン車は、すべてハイオク仕様であり、レギュラーガソリン指定の車は存在しません。
- エンジン性能の最大化:ハイオクガソリンが推奨される主な理由は、高いオクタン価によってノッキングのリスクを減らし、エンジン性能を向上させるためです。
- 欧州の厳格な規制に対応:欧州の厳しい排出ガス規制に適合するために、フォルクスワーゲンはハイオク仕様の車を製造しています。
- 日本と欧州の燃料規格の違い:欧州ではレギュラーガソリンのオクタン価が日本のハイオク相当であり、フォルクスワーゲン車が日本で走る際にはハイオクガソリンが必要です。
- ハイオクのメリット:ハイオクガソリンはエンジンの摩擦を低減し、燃焼効率を向上させるため、力強い走行が可能となります。また、環境負荷も軽減されます。
追記:レギュラー仕様の輸入車もある
輸入車にもレギュラーガソリン仕様の車があります。クライスラーのジープの場合、ハイオク仕様はレネゲードのみ。コンパス、ラングラー、グランドチェロキー、グラディエーターはどれもレギュラーガソリン仕様です。カタログに記載してあります。(2023年9月時点)