【記事丸わかり】
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自動車保険は他社に乗り換えても等級は引継ぎされます。
満期をもって乗り換えても、途中解約して乗り換えても、いずれも問題なく契約の移行はできます。
望ましいのは満期をもって乗り換えることですが、様々な事情で途中解約して乗り換えるケースもあると思います。
このページでは自動車保険を満期前に途中解約して他社に乗り換える際の手続き方法や注意点(デメリット)について詳しく解説しています。
しばらくお付き合いいただければ幸いです。
他社に乗り換える様々なケース
自動車保険を他社に乗り換えるケースというと、一般的に、次のようなものが考えられます。
- 事故対応が不満で他社に乗り換えたい
- 更新の度に保険料がじりじり上がるのでもっと安い会社に切り換えたい
- 事故を起こし、保険を使ったので、来年以降の保険料が跳ね上がるのは確実だから、最安の会社に移りたい
- 引っ越したので地元の代理店で加入したい
- 家計の節約のためにとにかく安い自動車保険に乗り換えたい
- 車を買い替えたので、この機会に保険を他社に乗り換えたい
こうした理由で他社に乗り換える場合、乗り換えのタイミングは「満期前」と「満期」の2つに分かれます。
保険の満期前に途中解約し、同時に、他社の保険に加入する、これがこのページのテーマです。
ですから、後ほど詳しく解説していきますが、その前に、満期をもって他社に乗り換える方法についてもお話しておきたいと思います。
なぜなら、満期をもって他社に乗り換えるのに比べ、満期前に他社に乗り換える方法にはいくつかデメリットがあるからです。
このデメリットを承知の上で、それでも途中解約して他社に乗り換える方を選ぶのであれば、それはあなたの自由ですから、その際の手続き方法を後ほど詳しくご紹介いたします。
ですが、満期をもって乗り換えることが望ましい理由を、まずは確認しておきたいと思います。
他社への乗り換えは満期をもって行うのが望ましい理由(1)
これは代理店型の自動車保険から通販型の自動車保険に乗り換える場合に限った話ですが、契約の際の様々な特典が、満期をもって乗り換える場合でないと受けられません。
テレビCMでもご存知かと思いますが、通販型自動車保険では、新規契約に対しても他社からの乗り換え契約に対しても、インターネット割引、早割り、e証券割引など様々な割引制度を採用しています。
ところが、こうした割引が適用されるのは、基本的に1年契約に対してです。
つまり、保険期間の途中で他社から乗り換えた場合は対象外になります。
せっかくおトクな割引制度が用意されているのに、それが使えないのではもったいない話です。
通販型自動車保険に乗り換えるベストなタイミング |
満期をもって乗り換える |
下記に通販型自動車保険のインターネット割引を一覧でご紹介します。
インターネット割引 | |
ソニー損保 | 10,000円 |
おとなの自動車保険(セゾン) | 10,000円 |
チューリッヒ | 最大10,000円 |
アクサダイレクト | 最大20,000円 |
イーデザイン損保 | 10,000円 |
三井ダイレクト | 最大10,000円 |
SBI損保 | 10,000円 |
上記以外に、紙の保険証券を省略することで500円程度割引するe証券割引とか、満期30日前あるいは50日前までに手続きすることで割り引かれる早割りなどの特典が用意されています。
こうした特典は、保険期間の途中で通販型自動車保険に乗り換えた場合には受けられません。
なお、インターネット割引が適用されるのは、いわゆるWeb契約をした場合に限られます。
Web契約とは、契約者が必要事項の入力から保険料の算出まで契約手続きをネット上で一人で完結させる契約方法のことです。
入力から保険料算出まで電話オペレーターが主導して行う契約はWeb契約ではなく、インターネット割引の対象外になります。
他社への乗り換えは満期をもって行うのが望ましい理由(2)
たとえば、現在10等級で、満期日をもって他社に乗り換えた場合、新しい契約は11等級になります(無事故であった場合)。
けれども、たとえば満期日の6ヶ月前に途中解約し、解約と同時に他社に乗り換える場合、その乗り換えた日から向こう1年間を10等級で契約することになります。
つまり、乗り換え前の契約から乗り換え後の契約をトータルで見ると、1年半の期間10等級を続けることになり、半年間同じ地点で足踏みすることになります。
このことから、できることなら満期をもって他社に乗り換える方が有利であることがお分かりかと思います。
もっとも、このデメリットは、主に代理店型から通販型に乗り換える場合に発生するデメリットで、その反対に、通販型から代理店型に乗り換える場合、また代理店型から代理店型に乗り換える場合にはこのデメリットは発生しません。
なぜなら、代理店型の自動車保険には「保険期間通算特則」という制度が用意されてるからです。
これがどんな制度か、先ほどの事例に当てはめてご説明します。
つまり、現在10等級の契約を満期日の6ヶ月前に途中解約し、解約と同時に他社に乗り換える場合、乗り換え先の保険会社が「保険期間通算特則」を採用していれば、乗り換えた日から向こう1年間を10等級で過ごすのではなく、向こう6ヶ月間を10等級で過ごします。
そして、そこで10等級から11等級にアップします。
以後1年間を11等級で過ごすことになります。
つまり、新旧の保険会社が異なっていても、同じ保険会社で契約を続けた場合と同じ扱いにするというものです。
通常のやり方であれば、満期前に他社に乗り換えた場合は10等級を1年半続けなければなりませんでしたが、「保険期間通算特則」があれば、途中で保険会社が変わっても、1年経過したら11等級にアップします。
等級の進行が遅れるデメリットが発生しません。
この「保険期間通算特則」を採用している保険会社ですが、各社のホームページには特に記載されていないようなので、電話で確認しました。
その結果です。
東京海上日動 | 保険期間通算特則あり |
損保ジャパン日本興亜 | 保険期間通算特則あり |
三井住友 | 保険期間通算特則あり |
代理店型の大手損保はこの制度を採用しています。
次に通販型各社です。
おとなの自動車保険 | 保険期間通算特則なし |
イーデザイン損保 | 保険期間通算特則なし |
アクサダイレクト | 保険期間通算特則なし |
ソニー損保 | 保険期間通算特則なし |
三井ダイレクト | 保険期間通算特則なし |
ご覧のように、通販型はほぼ全滅です。
したがって、代理店型から通販型に乗り換える場合は、この特則は利用できません。
反対に、通販型から代理店型に乗り換える場合、あるいは代理店型から代理店型に乗り換える場合は、等級の進行が遅れるデメリットなく途中で乗り換えることができます。
満期前に途中解約して他社に乗り換える手続き方法
満期前に他社に乗り換えることのデメリットは上に書いた通りです。
上記デメリットを承知の上で、諸事情により、それでも満期前に他社に乗り換えるケースもあると思います。
その手続き方法を具体的にご紹介いたします。
3点セット(自動車保険証券・車検証・免許証)を用意し、事故歴があれば正直に申告する
代理店型であれ通販型であれ、自動車保険を乗り換える際には、自動車保険証券・車検証・免許証の3つが必ず必要になります。
※走行距離によって割引が受けられる保険会社の場合は積算走行距離のメモも手元に用意してください。積算走行距離とは新車から現在までの総走行距離のことで、新車なら「0km」で大丈夫です
乗り換え先の保険会社で見積もりを取る際は、この3つの書類に記載されていることを正確に伝えてください。
見積もりを取る際には、現在加入している保険会社の保険証券に記載されている「等級」を基に保険料計算します。
上の画像では、等級は20等級、事故有期間は0年となっています。
保険料を算出するには、「等級」と「事故有期間」が必須です。
乗り換え前の保険期間中が無事故であった場合は、保険証券に記載されている等級と事故有期間で乗り換え後の保険料が算出できます。
事故で保険を使っている場合は、保険証券にはまだその事故の履歴は反映されていません。
そこで、乗り換え前の保険会社に等級と事故有期間を確認する必要があります。
たとえば、保険証券に10等級と記載されているケースで、3等級ダウン事故を起こしている場合には、「7等級」・「事故有期間3年」となります。
このように、乗り換え先の契約は事故歴を反映した等級・事故有期間で保険料計算しなければなりません。
かりに事故歴を隠しても、いったんは契約が成立しますが、1ヶ月か2ヵ月後には「必ず」発覚します。※100%の確率で発覚します
嘘が発覚した場合、保険会社は契約を解除する権利を持ちますし、嘘が発覚するまでに重大事故が発生していたとしても、その事故に対して保険金が支払われないこともあります。
もちろん、単なる間違いのケースもありますが、保険会社が故意による悪質なケースと判断した場合は、強硬な措置が取られます。
「解約日」と「始期日」を必ず同じ日付にする
満期前に途中解約して他社に乗り換える場合、乗り換え前の保険の「解約日」と乗り換え先の保険の「始期日」を同じ日付にする必要があります。
「同じ日付だと補償が重なってしまうのでは?」
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そこは大丈夫。
たとえば「7月5日」の日付にした場合、7月5日の午後4時までは乗り換え前の保険会社が補償し、午後4時を過ぎてからは乗り換え先の保険会社が補償します。
保険会社同士で午後4時をもって補償の受け渡しをする共通のルールがあり、これによって補償の空白期間が生まれることを防止しています。
したがって、「解約日」と「始期日」は同じ日付にしなければなりません。
これまで加入していた保険会社には、
「〇月〇日付けで保険を解約してください」
と解約の意思表示だけでなく日付も明確に伝えてください。
乗り換えることになる保険会社には、
「〇月〇日付けで保険をスタートしてください。これまで加入していた保険会社にも同じ日付を伝えてあります」
と契約手続きの際に明確に伝えてください。
すると、すぐにこれまで加入していた保険会社から解約に必要な書類が送られてくるか、あるいは代理店さんが直接訪問してくるか、いずれかの対応があると思います。
※直接代理店が訪ねてくるのが嫌でしたら、郵送で書類を送るよう依頼してください
そこで必要事項を書き込み、返送するなり手渡しするなりすれば、それで解約手続きは終了します。
その際、年払いの契約であれば、残りの期間に応じて解約返戻金が発生します。
戻ってくるお金です。
現金ではなく、後日指定した口座に振り込まれるのが一般的です。
月払いの場合は、通常、戻るお金はありません。
上に、「解約日」と「始期日」を同じ日付にするように書きましたが、何らかの事情で同じ日付にできないケースもあると思います。
その場合でも、解約日から7日以内に次の契約の手続きを行えば、等級は引き継がれます。
現在の等級が割増等級(1等級・2等級・3等級)の場合は引き受け不可のケースも
多くの保険会社は、長年自社の保険に継続して加入していた顧客であっても、事故が重なり、等級が割増等級(1等級・2等級・3等級)に落ちてくると、次の更新の際に、補償内容を制限することがあります。
たとえば、「対人」が無制限から1億に、「対物」が無制限から1000万に、「車両保険」は不可、といった制限です。
なかでも、1等級あるいは2等級になった契約は、更新を拒否するケースもあります。
長年契約してきた顧客に対してもこうした措置が取られるのですから、まして、保険期間の途中で他社から乗り換えてくる人に対しては、当然、より厳しい対応をするのは目に見えています。
ネットで保険会社の保険料計算ツールを利用しても、直近で2回以上事故を起こしていたり、等級が1等級や2等級である場合は、そもそも計算ツールが作動しない会社もあります。
その時点で「引き受け不可」という扱いです。
このように、現在の契約が1等級あるいは2等級でいずれの保険会社でも契約できない場合は、いったん現在の等級をリセットするしかありません。
リセットし、新規に6等級から入り直すには、現在の契約の満期日あるいは解約日から13ヶ月間経過するのを待たなければなりません。
13ヶ月が経過して等級がリセットされる際には事故有期間もリセットされます。
13ヶ月間も車なしの生活はできないという場合は、新たに車を購入すれば、その車は6等級からスタートできます。※セカンドカー割引が適用できれば7等級からスタート
ご覧いただきありがとうございました。