【超丁寧解説】ドライブレコーダーの事故映像は提出する義務がありますか?

ドライブレコーダー・映像・提出・義務・裁判・警察・保険会社・裁判所

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事故が発生し、クルマに取り付けてあるドライブレコーダーがその一部始終を録画している場合、この映像は事故の過失割合などを判断する上で立派な「証拠」となりえます。

自動車保険の示談交渉にも役立てられますし、交渉がこじれて交通裁判に持ち込まれた場合にも「証拠映像」となります。

ドライブレコーダーに記録された映像が明らかに相手側に過失が認められる内容であれば、映像の提出を拒む人はこの世に一人もいないと思います。

しかし、なかには微妙なケースもあります。

ひょっとしたら自分の方が不利な事故ではないか・・・というケースでは、映像の提出に躊躇する場面もあるでしょう。

こうした場合、法的にはどうなっているのか?

ドライブレコーダーの映像は、事故の相手、事故の相手が加入している保険会社、警察、裁判所といったところに提出しなければならない義務があるのでしょうか?

これがこのページのテーマです。

具体例を交えてわかりやすく解説しています。

しばらくお付き合いいただけると幸いです。

原則、提出義務はありません

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ドライブレコーダーの事故映像はドライバーの私的所有物であり、提出義務はありません。

※ ※ ※ ※ ※

事故が発生した場合、警察に通報すれば現場検証に駆けつけてきます。

事故現場では、警察や事故の相手とやり取りがあります。

そうしたなかで、警察や事故の相手はあなたのクルマにドライブレコーダーが設置されていることに気づくでしょう。

その際、事故の内容があなたにとって微妙なケース、つまりあなたの過失割合のほうが大きいと思われる事故の場合で、なおかつ、事故の相手はドライブレコーダーを設置してないケースでは、事故の相手からドライブレコーダーの映像を提出するよう依頼があるかもしれません。

事故の現場で依頼がなくても、後日、相手の保険会社を通じて提出依頼がくることもあるでしょう。

また、警察からも映像の提出を依頼されることもあります。

しかし、結論を言えば、こうしたケースではドライブレコーダーの映像を提出する法的義務は生じません。

提出するかどうかは、あなたが加入している保険会社の担当者と、あるいは弁護士をあいだに立てている場合は弁護士と、映像の内容を確認した上で判断すればいいことで、言われるままに提出する必要はありません。

裁判所の「命令」があれば提出義務が生じます

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ただし、示談交渉がもつれて裁判に持ち込まれた場合で、裁判所がドライブレコーダーの映像を提出するよう「依頼」ではなく「命令」した場合は、法的に提出義務が生じます。

提出義務はないけれど提出してしまうケースはよくあります

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わたしはドライブレコーダーが出回りだした頃から、原則として提出義務がないことは調べて知っていました。

けれども、実際の現場ではどうなっているのか、交通事故の報道に強い関心を持ってチェックしてきました。

そこでわかったことは、提出義務はないけれど提出する人はけっこういる、という事実です。

裁判に持ち込まれたケースでなく、警察の取調べの段階で、警察の依頼に応じてドライブレコーダーの映像を提出するケースは、実際にはけっこうあります。

これはわたしの推測なのですが、人身事故を起こし、相手に重傷を負わせたりしたケースでは、ドライバーは強い自責の念を抱きつつ警察や相手とのやり取りを行うことになります。

そんな折に、警察から事故映像の提出を依頼されれば、自分を防衛する気持ちよりも、相手に申し訳ない気持ちが先にたち、言われるままに差し出してしまうのではないでしょうか。

あるいは、こんな事故を起こしたのだから提出するのは当然だろう、と言わんばかりの口調で警察官に詰め寄られるケースもあるかもしれません。

その結果、加害者のドライブレコーダーの映像が決定的な証拠となって事故の事実関係が詳細に報道されることが時折発生します。

みなさんも、こうした新聞記事やテレビニュースをご覧になったことがあるかと思います。

要するに、何が言いたいかというと、裁判命令以外では映像の提出義務はないとは言うものの、状況によっては提出せざるを得ないケース(提出するよう追い込まれるケース)がしばしばあるようです、ということです。

事故の当事者の気持ちを推し量ると、ちょっとわかるような感じがしますが。

保険会社は事故映像を「決定打」として扱う

保険会社は決定打として扱う・ドライブレコーダー・映像・提出・義務・裁判・警察・保険会社・裁判所

損害保険会社が事故処理をする際、ドライブレコーダーの映像は強力な「証拠映像」として扱います。

それは、自社の契約者が提出したドライブレコーダーの映像であっても、事故の相手が提出したドライブレコーダーの映像であっても、等しく平等に分け隔てなく「決定打」として扱います。

もしも双方にドライブレコーダーの映像がない場合であれば、両者の言い分を聞き、事故現場の状況を確認した上で、事故の事実関係を詰めていって、最終的に過失割合を相手側と協定していくことになります。

その際、保険会社が追及するのは、あくまでも「事故の真実」であって、契約者の主張を押し通すことではありません。

保険会社は契約者が不当に不利な立場に陥ることがないように努めはしますが、契約者の主張を盲目に受け入れ弁護する立場は決して取りません。

なぜなら、それではいつになっても事故は解決しないからです。

本当のところはどうなのか

という視点で事故の解決を図ります。

保険契約者の中には、この点を誤解している人がいるようです。

お金を払っているのだから自分に有利な過失割合にするのは当然だ

というわけです。

確かに、契約者により有利になるよう努める義務は当然あります。

しかし、事故には相手があるので、現場の状況から考えて契約者の言い分に無理があり、事故の相手の言い分に理があるケースで、それでも契約者を擁護する形で事故処理を進めれば、示談交渉が決着する日は遠のきます。

また、そうした無理を通そうとする行為は、相手保険会社に不信感を抱かせ、その結果、今度は相手保険会社は別の案件で無理難題を突きつけてくるでしょう。

ちょうどアメリカと中国の貿易戦争で関税の吊り上げ合戦が続くような事態になってしまいます。

損害保険会社は、こうした事態に陥ることを避けるために、契約者が不当に不利な立場に陥ることを防ぐ努力は当然しますが、その一方で、事故解決は「客観性」を最重視します。

保険会社はこうした姿勢で事故解決に臨んでいるので、そこに「客観性」をまとったドライブレコーダーの映像が提出されれば、それが契約者が提出した映像であろうと事故の相手が提出した映像であろうと、決定的な証拠としてこれを受け入れます。

もちろん、同じ映像を見ても、立場によって主張が異なることはごく普通にありますが、しかし、そこで生じる違いは、あくまでも同じ土俵で展開される主張の違いなので、交渉が長引くことはめったにありません。


「客観性」を重視するのは保険代理店も同様です。

契約者さんのドライブレコーダーの映像、あるいは事故の相手が提出したドライブレコーダーの映像、それを見て、あきらかに契約者さんに不利な内容であった場合、代理店は契約者さんに不利な過失割合になることを受け入れるように説得します。

その際、過去の判例で80:20になる事故で、契約者さんの過失が80になるような事故であれば、少しでも相手の過失が増えるように保険会社の担当者に要請はします。※保険代理店に示談交渉権はありません

事故映像のなかで、相手側にスピード超過があるとか、車線をはみ出しているとか、何かしら押し返せる要因を探り、80ではなく75や70になるように努力します。

そういう努力は当然しますが、もしも契約者さんが50:50でなければ同意しないなどと言い張る場合には、

それは無理ですよ。こういう事故形態では、判例からいっても80:20が平均値です。もう少しがんばりますが、50:50というのは無理ですよ。

と契約者さんを説得します。

この事例のように契約者さんが50:50を主張しているからといって、保険会社や代理店が相手保険会社に対して50:50を主張することは、ドライブレコーダーの映像の中身が原則80:20の事故内容を指し示しているのである限り、1000兆%絶対的にありえない話です。

それでも強硬に契約者が50:50を主張し続けたらどうする?

とツッコミが入りそうですが、その時は、保険会社も代理店も、

では、裁判を

というスタンスです。


このページのテーマは、ドライブレコーダーの映像は提出義務があるか、という点なので、この項目の話はやや脱線していますが、参考までにご紹介しました。

事故映像の提出方法

事故映像の提出方法・ドライブレコーダー・映像・提出・義務・裁判・警察・保険会社・裁判所

ドライブレコーダーの事故映像を保険会社等に提出する方法ですが、ドライブレコーダー本体に挿し込んであるマイクロSDカードやUSBなどの記録媒体をそのまま提出します。

その際、提出先が保険会社であれば後日返却されます。

返却はされますが、念のために、あらかじめパソコンなどにバックアップを取っておいた方がいいと思います。

別の方法として、Dropboxなど外部のストレージサービスに動画ファイルをアップロードし、そのURLをメール等で伝えるやり方もあります。

自動車保険のドライブレコーダー特約【4社徹底比較】

自動車保険のドライブレコーダー特約・4社比較・ドライブレコーダー・映像・提出・義務・裁判・警察・保険会社・裁判所

ドライブレコーダーは様々な種類の製品が出回っていますが、初心者にはドライブレコーダー特約付き自動車保険がおすすめです。

ドライブレコーダー特約付き自動車保険は、あいおいニッセイ・三井住友海上・東京海上日動・損保ジャパンの4社が扱っています。

通常の自動車保険の保険料にプラス月額850円で専用ドライブレコーダーが貸与(レンタル)されるので、市販のドライブレコーダーを買う必要がありません。※東京海上日動のみ月額650円

下記のページで4社のドライブレコーダー特約を徹底比較しています。

参考になさってください。

自動車保険のドライブレコーダー特約(ドラレコ特約)・比較・おすすめ・割引・ドライブレコーダー付き自動車保険

【4社比較】自動車保険のドライブレコーダー特約(ドラレコ特約)|比較・おすすめ・割引

2022年11月4日

自動車保険のドライブレコーダー特約【4社を個別に詳細解説】

自動車保険のドラレコ特約・4社個別解説・ドライブレコーダー・映像・提出・義務・裁判・警察・保険会社・裁判所

下記のページでは4社のドライブレコーダー特約を個別に詳細解説しています。

気になる会社があったら、ぜひ参考にしてください。

個別に解説:4社のドライブレコーダー特約
あいおいニッセイ

タフ・見守るクルマの保険(ドラレコ型)

詳細内容はこちらのページ
三井住友海上

GK・見守るクルマの保険(ドラレコ型)

詳細内容はこちらのページ

東京海上日動

ドライブエージェントパーソナル

詳細内容はこちらのページ

損保ジャパン

DRIVING!

詳細内容はこちらのページ

 

下記の記事も参考になさってください。

ご覧いただきありがとうございました。