車にしばらく乗らないでいたらエンジンがかからないが・・・
しばらく乗らずに放置していた車があって、いざエンジンをかけようとしたらかからなかった。
こういうケースは日本全国で驚くほどの数で発生しています。こうした事情に詳しいのは廃車専門業者で、業者さんにとって「不動車」は、車を引き取ることになる要因の上位に位置するものです。
ただし、「車にしばらく乗らない」といっても、その「しばらく」にはいろいろあります。
1か月、3ヶ月、6か月、12か月・・・というように、乗らずにいる期間はまちまちですが、少なくとも1か月以上乗らないでいると、何かと問題が発生してきます。
たとえば、下記のようなトラブルが考えられます。
- バッテリーが上がってしまい、セルモーターが回らない
- セルモーターは回るけれど、エンジン発火まで至らず、ひたすらセルモーターが回るだけ
このように、車にしばらく乗らないでいると、まず最初にやられるのがバッテリーになります。
もちろん、本当はエンジンオイルやミッションオイル、ブレーキオイル、ガソリンなどの劣化(酸化や腐敗)など様々な部分にトラブルの芽が発生しているのですが、まず最初のハードルは、やはりバッテリーの劣化です。
すぐにエンジンがかからないときはバッテリーに充電または交換
放置しておいた車のエンジンがかからない場合、修理をプロに依頼するのであれば、JAFか自動車保険のロードサービスを呼び、最寄りの修理工場などにレッカー搬送してもらうのが賢明です。
しかし、できるところまで自分でやってみようというのであれば、まずバッテリーに充電してください。もう一台の車を用意して、バッテリーとバッテリーをケーブルでつなぎ、用意した車のエンジンをしばらく回し続けます。
あるいは、カー用品店などで販売されている充電器で数時間充電します。
バッテリーがそれほど劣化していない場合なら、こうしたやり方で電圧は復活します。
しかし、これでもダメなら、そのバッテリーは使えないので、新品のバッテリーに交換してください。
バッテリーの電力量が確保されれば、よほど長期間乗らずにいたクルマでない限り、セルモーターが力強く回転し、エンジンがかかるはずです。
3か月以上放置しているとバッテリー以外の問題が発生する
「しばらく」乗らないでいる、その「しばらく」が1か月とか2か月程度であれば、バッテリーの電力を確保することで、後は何とかなると思います。
しかし、「しばらく」が3ヶ月とか6か月になってくると、バッテリーを新しくしたとしても、また別のトラブルが待ち受けています。
たとえば、
- ガソリンが「腐って」しまい、燃料噴射口を不純物で詰まらせ、エンジンが安定的に回転しない
- エンジンオイル、ミッションオイルなど潤滑剤として働いているオイル類が、放置されていたあいだ重力により下に落ち切ってしまい、各部が干からびた状態になっている。⇒⇒各パーツが滑らかに回転しなくなる
- ブレーキオイル、パワステオイル、冷却水などが劣化し、本来の性能を発揮しなくなる
こうした事態になるので、仮にバッテリー交換でエンジンがかかっても、そのまま普通に乗り続けてはダメで、一度オイル類を総入れ替えしないと、すぐにトラブルが発生します。
「乗らない車は時々エンジンを回せ」はあまり意味がない
よく「しばらく乗らないでいる車は時々アイドリングだけでもやっておけ」と言われることがあります。
けれども、これは短期間の放置車には意味がありますが、長期間放置しておく場合は、あまり意味がありません。
その理由は、
- アイドリングだけではバッテリーへの充電効率は低い
- エンジンを回しても、ミッションは静止したままであり、ミッションの劣化は進行する
- ガソリンは放置期間が長くなるほど揮発成分が消失するので発火しにくくなり、また酸化を早め、粘度が高くなって、燃料噴射装置等を傷めるようになる
- 走行しないので、ブレーキオイルが劣化し、ブレーキキャリパーやブレーキディスクが錆びついてくる
- 走行しないので、パワーステアリング関連が錆びついてくる
- 走行しないので、サスペンション各部が錆びつき、ブッシュ類が固くなってしまう
- 走行しないので、タイヤの接地面のトレッドがつぶれ、タイヤ全体がいびつな形になってしまう(いわゆる「フラットスポット」ができる)
などなど、放置期間が短期間ではほとんど問題にならないようなことが、期間が長くなるにつれて、あちこちにトラブルの芽が発生してくるのです。
まとめ
車にしばらく乗らないでいたらエンジンがかからない、というトラブルが発生した場合、それが短期間であれば、ほとんどのケースでバッテリー充電またはバッテリー交換で、すぐにエンジンがかかるようになり、そのまま乗り続けることが可能です。
しかし、比較的長期間乗らずにいた場合は、バッテリーの問題だけではすまず、オイル類をはじめとした他の多くの部分に手を入れないと、その後安定的に乗り続けることは困難になります。
もしも、やや長期にわたって車に乗らないでいて、いざエンジンをかけてもかからない、といった事態になったら、
- 修理して使う
- 廃車にして別の車に乗り換える
このいずれかの選択を迫られることになるかもしれません。車への愛着の度合い、そして、予算の額で決まってくると思います。
下記の記事も参考になさっていただけると幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。