【記事丸わかり】
⇒⇒自動車保険の等級制度って、なに? |
車の任意保険には等級があります。
また等級には事故有期間が必ず付属しています。
たとえば任意保険を他社に乗り換える場合には現在の自分の等級と事故有期間がわからないと困ります。
このページでは車の任意保険の自分の等級・事故有期間がわからない場合の確認方法・調べ方について詳しく解説しています。
しばらくお付き合いいただければ幸いです。
加入している任意保険の等級がわからない場合はどこで確認する?
車の任意保険には等級があります。
ただ単に等級だけわかればいいのではなく、事故有期間も必要です。※事故有期間に関しては後ほど解説します
今加入している保険会社でそのまま続ける場合は、特に等級や事故有期間を意識しなくても問題ないかもしれません。
しかし、ちょっと他社の保険が気になって、1度見積もりを取ってみようかというときには、現在の自分の等級と事故有期間がわからないと保険料計算することができません。
では、どこで確認すればいいのでしょう?
調べ方は?
現在自分が加入している任意保険の等級と事故有期間を知りたい場合は、次の3つの方法があります。
- 保険証券で確認する
- 代理店・保険会社に電話して聞く
- 保険会社の「マイページ(契約者ページ)」で確認する
①の保険証券ですが、下記のように等級と事故有期間が記載されています。
②は代理店あるいは保険会社に電話で問い合わせるケースですが、電話オペレーターに氏名・生年月日・ナンバープレートの番号などを伝え、契約者本人であることの確認が取れれば、その場で教えてくれます。
③はほとんどの保険会社で利用できます。通常、メールアドレスとパスワードでログイン可能で、等級・事故有期間を始め契約内容全般を確認できます。
大事な点なので繰り返しますが、等級を確認する際は事故有期間(事故有係数適用期間)も必ずチェックしてください。
他社の見積もりを取る場合など、単に等級だけでは保険料の計算ができません。
事故有期間が「0年」なのか、「1年」とか「2年」とか「3年」が付いているのか、それによって保険料が変わってきます。※事故有期間は0年~6年のいずれかです
「等級」と「事故有期間」をセットで確認してください。
また、6等級と7等級に関しては、ただ単に「6等級」あるいは「7等級」では保険料計算ができません。
Sのついた新規契約なのか、Fのついた既契約なのか、明確に区別しなければなりません。
他社に乗り換える場合の等級の扱い
他社に任意保険を乗り換える場合は、まずは前の項目でご案内した方法によって現在の等級と事故有期間を確認してください。
そこで、たとえば現在のあなたの等級が10等級で事故有期間が0年だと仮定して、話を進めます。
現在の等級と事故有期間 | |
等級 | 10等級 |
事故有期間 | 0年 |
保険期間の途中で他社に乗り換える場合
1年契約の任意保険を半年経過した時点で他社に乗り換える場合、乗り換え先の契約は10等級・事故有期間0年になります。
つまり、乗り換え前と同じ等級・事故有期間です。
等級が1つアップするには丸1年無事故で経過しなければなりません。
期間の途中で乗り換える場合は、まだ丸1年経過していないので、乗り換え先の等級は現在と同じ等級・事故有期間でスタートします。
そして、他社に乗り換えたら、乗り換えた日付から丸1年経過したところで、保険は更新され、等級が1つアップすることになります。
つまり、この例で言うと、1年半の間10等級を続けることになり、半年分だけソンすることになります(等級の足踏み)。
したがって、よほどやむをえない事情がない限り、期間の途中で他社に乗り換えるのはあまりおすすめできません。
満期をもって乗り換えるのがベストです。
また、期間途中の乗り換えをおすすめできない理由は他にもあります。
乗り換え先がダイレクト自動車保険の場合、インターネット割引や早割りなど様々な特典が用意されているのですが、そうした特典は期間の途中で乗り換えた場合には適用されません。
満期をもってダイレクト自動車保険に乗り換えた場合にのみ、インターネット割引や早割りなどの割引を受けることができます。
インターネット割引などは10,000円~20,000円も安くなりますから、これが適用されるされないはかなり大きな違いです。
そういう意味でも、期間の途中で保険を乗り換えることは得策ではありません。
なお、先ほど、期間の途中で乗り換えた場合は、乗り換えた時点から1年間それまでの等級が適用されるという趣旨の話をしました。
しかし、「保険期間通算特則」を採用している保険会社に乗り換える場合は、乗り換え前と乗り換え先の保険会社で保険期間を通算することができるため、期間の途中で乗り換えた場合のデメリットが発生しません。
ただ、この特則を採用しているのは一部の保険会社に限られています。
2018年11月現在確認できているのは、下記の大手代理店型の保険会社だけです。
- 東京海上日動
- 損保ジャパン日本興亜
- 三井住友海上
- あいおいニッセイ同和損保
ダイレクト自動車保険(通販型自動車保険)はほぼ採用していません。
したがって、乗り換え先が大手代理店型自動車保険である場合に限り、途中乗り換えのデメリットなしに保険を移すことができます。
※保険期間通算特則の詳細は後ほど解説します
満期をもって他社に乗り換える場合
前の項目の続きです。
満期をもって他社に乗り換える場合は、乗り換え先の契約は11等級・事故有期間0年でスタートすることになります。
乗り換え前の契約で丸1年間を10等級・事故有期間0年で過ごしているので、等級は1つアップして、11等級・事故有期間0年の契約となります。※たとえば事故有期間が3年であった場合は、1つ引いた2年になるところですが、0年の場合は引く数字がないので0年のままです
前の項目でも触れましたが、乗り換え先がダイレクト自動車保険の場合、インターネット割引や早割りなどの特典があるので、こうした特典を利用することで、保険料を大幅に節約することが可能です。
なお、インターネット割引が適用される契約は、契約者自身がネットで保険契約を完結させるWeb契約をすることが条件になっています。
電話オペレーターの質問に答えつつ、オペレーターが契約内容を打ち込み、保険料の見積もりから最終的な契約完了までオペレーター主導で行う契約の場合は、インターネット割引は適用されません。
ただし、契約者自身が行うWeb契約であっても、不明なことがあったら電話で質問できる体制が整えられています。
契約画面の端のほうに困ったときの電話番号が表示されているので、疑問点を電話で解決しつつ、契約内容を打ち込むことができます。
早割り(早期割引)という特典もあり、これは乗り換え前の保険の満期日30日前とか50日前までに契約を完了すれば、一定額が割り引かれるというものです。
したがって、どうせ乗り換えるのであれば、早めに手続きに着手することをおすすめします。
等級には「事故有」と「無事故」の2系統ある
任意保険の等級は1等級~20等級まであります。
このうち7等級~20等級は2系統に分かれています。
ノンフリート等級 | 事故有 | 無事故 |
20 | 44%割引 | 63%割引 |
19 | 42%割引 | 55%割引 |
18 | 40%割引 | 54%割引 |
17 | 38%割引 | 53%割引 |
16 | 36%割引 | 52%割引 |
15 | 33%割引 | 51%割引 |
14 | 31%割引 | 50%割引 |
13 | 29%割引 | 49%割引 |
12 | 27%割引 | 48%割引 |
11 | 25%割引 | 47%割引 |
10 | 23%割引 | 45%割引 |
9 | 22%割引 | 43%割引 |
8 | 21%割引 | 40%割引 |
7 | 20%割引 | 30%割引 |
6 | 19%割引 | |
5 | 13%割引 | |
4 | 2%割引 | |
3 | 12%割増 | |
2 | 28%割増 | |
1 | 64%割増 |
※1等級~6等級は2系統でなく1系統です。1等級と2等級と3等級は割増になります
以下、等級が2系統に分かれている理由をお話します。
たとえば、現在の等級が13等級のAさんが3等級ダウン事故を起こして保険を使った場合、翌年度の等級は10等級になります。
そこで次の表をご覧ください。
事故有 | 無事故 | |
10等級 | 23%割引 | 45%割引 |
同じ10等級なのですが、「事故有」は23%引き、「無事故」は45%引きとなっています。
今回10等級になったAさんには「事故有」23%割引が適用されます。
事故が有ったので「事故有」が適用されます。
割引になる数字が小さいということはより高い保険料になるということです。
このように事故で保険を使った契約に適用される割引率のことを「事故有係数」と呼びます。
いっぽう、無事故を続けている契約に適用される割引率のことを「無事故係数」と呼びます。
実は2012年10月まではこのように同じ等級に2つの割引率が並存するようなことはありませんでした。
しかし、現在のノンフリート等級制度では、事故で保険を使った結果として10等級になった人と、無事故で1つずつ等級の階段を昇ってきた結果として10等級になった人とを、同じ扱いにしては不公平だという理由から、このように割引率に差を付けています。
10等級の場合は、実に22ポイントも割引率に差が付いています。
事故で保険を使うと等級がダウンして保険料が高くなること自体は、2012年10月以前も以後もまったく同じです。
しかし、2012年10月以降は保険料の上がり方が極端になり、小損害の事故では保険を使いづらくなっています。
「事故有」の等級には必ず「事故有期間」がつきまとう
前の項目の例を続けます。
等級が13等級だったAさんが、3等級ダウン事故で保険を使ったために翌年の保険が10等級にダウンした場合、事故有期間(事故有係数適用期間)が3年付きます。
3等級ダウン事故では「3年」、1等級ダウン事故では「1年」が付きます。
保険証券にも下記のように記載されます。
上の画像では事故有期間は「0年」になっていますが、3等級ダウン事故で保険を使った場合の翌年の保険証券には「3年」と表示されます。※1等級ダウン事故なら「1年」と表示
この事故有期間というのは、「事故有係数による割引率を適用する期間」という意味です。
つまり、事故で保険を使うと2系統ある割引率のうちのより割引率の低い事故有係数を適用するけれど、永遠にそこに留まるのではなく、定められた期間を過ぎたら、また無事故係数に復帰できる、というわけです。
事故有期間 | |
3等級ダウン事故 | 3年 |
1等級ダウン事故 | 1年 |
もしも同じ年度に2度、3度と事故を起こして保険を使ったら、その分は事故有期間が加算されるのですが、事故有期間は最長6年で打ち止めになります。
たとえば3等級ダウン事故で3回保険の支払いを受けた場合、事故有期間は9年ではなく6年になるということです。
※もっとも3等級ダウン事故を同じ年度に3回起こしたら、翌年度は「引き受け拒否」の扱いになる可能性大です
話を整理します。
13等級だった人が3等級ダウン事故で保険を使うと、翌年の保険は10等級になります。
この10等級は、無事故で等級の階段を昇ってきた人の10等級とは割引率が異なり、より割引率の低い事故有係数が適用されます。
同時に、事故有期間が3年付きます。
3年間は事故有の割引によってより高い保険料を支払うことになりますが、3年間無事故で過ごせば、4年目にはまた13等級に戻ります。
戻った13等級は、事故有期間の3年がリセットされているので、無事故係数による割引率が適用されます。
3等級ダウン事故で保険を使った場合 |
無事故で過ごせば4年後に元の等級に戻る |
1等級ダウン事故で保険を使った場合 |
無事故で過ごせば2年後に元の等級に戻る |
「保険期間通算特則」について
たとえば、現在10等級の契約を保険始期から10ヶ月経過した時点で他社に乗り換えた場合、通常、乗り換えた日から向こう1年間を10等級で過ごすことになります。
乗り換えをしないでいれば、あと2ヶ月で11等級に上がっていたところです。
保険期間の途中で保険会社を乗り換えると、こういうことになります。
ところが、乗り換え先の保険会社が「保険期間通算特則」という制度を採用している場合は、事情が変わってきます。
この制度を採用している会社が保険を引き受けた場合、前の契約はすでに10ヶ月経過しているので、残り2ヶ月した時点でいったんその契約は満了となり、そこからまた1年間の契約が始まります。
そして、新しく始まる契約の等級は10等級から11等級に上がります。
つまり、新旧の保険会社が異なっていても、同じ保険会社で契約を続けた場合と同じ扱いにするというものです。
「保険期間通算特則」を利用する際の注意点は1つだけです。
それは「解約日」と「始期日」を同じ日付にすることです。
もっとも、これは保険期間の途中で他社に乗り換える場合と同じやり方ですが。
ところで、この「保険期間通算特則」を採用している保険会社ですが、各社のホームページには特に記載されていないので、電話で確認しました。
その結果です。
東京海上日動 | 保険期間通算特則あり |
損保ジャパン日本興亜 | 保険期間通算特則あり |
三井住友海上 | 保険期間通算特則あり |
代理店型の大手損保はこの制度を採用しています。
次に通販型各社です。
おとなの自動車保険(セゾン) | 保険期間通算特則なし |
イーデザイン損保 | 保険期間通算特則なし |
アクサダイレクト | 保険期間通算特則なし |
ソニー損保 | 保険期間通算特則なし |
三井ダイレクト | 保険期間通算特則なし |
ご覧のように、通販型はほぼ全滅です。
もちろん、他にも通販型の自動車保険はありますが、5社連続して「なし」の返答を受けて気持ちが萎えてしまいました。
通販型のオペレーターさんは、みなさん「保険期間通算特則」という言葉を始めて耳にしたようでした。
必ず聞き返されました。
いずれにしても、代理店型の大手保険会社に乗り換える場合は、「保険期間通算特則」が利用できるので、中途で乗り換える場合はぜひご利用ください。
ご覧いただきありがとうございました。