まず固着について:どうしてリングが固着するの?
車やバイクのレシプロエンジンでは、シリンダー内をピストンが往復します。その際、ピストンには3つのリングが付いているのですが、
「ピストンリングが固着しているようだ」
という時のリングは3番目のリングであるオイルリングです。
オイルリングは、その名の通り、シリンダー内壁に付着する余分なエンジンオイルをかき落とし、薄くてちょうどいい油膜を残す役割を果たしています。これにより、ピストンの焼きつきを防止します。
しかし、エンジンオイルの交換を怠っていると、オイル内に金属粉が混入し、この金属粉がピストンリングにスラッジとしてへばりつきます。これがピストンリングの固着を招きます。
(※)スラッジとは粘性の高い汚れのことで、炭素や金属の燃えかすなどを含みます。
そもそも、オイルリングは、エンジンを分解してリングだけ取り出した場合、1ヵ所に切れ目が入っています。そして、そうやって取り出した状態のピストンリングはシリンダーの内径より径が大きいです。
その本来シリンダーより大きなリングを無理やりピストンに巻き付けてシリンダー内壁を上下させることで、リング自体に外へ外へという力が働きますから、この力でシリンダー内壁のエンジンオイルをかき落とし、ちょうどいい薄さの油膜を残す働きをしています。
「オイルリングが固着する」とは、リングがピストンにへばりついたまま離れずにいる状態のことで、シリンダー内壁のエンジンオイルをかき落とす本来の役目を果たせずにいる状態のことです。
この結果、クランクからエンジンオイルがシリンダー内に混入し(オイル上がり)、燃焼室内で混合気だけでなくエンジンオイルも燃焼してしまうことになり、マフラーから白煙が出たり、エンジンオイルの減りが早くなったりする症状が出ます。
添加剤の効果は?
オイルリングがピストンに固着して動かない場合、最悪の場合はエンジンのオーバーホールで対処しなければなりませんが、それだと工賃だけで10万円とか20万円は軽くかかってしまいます。
そのため、分解しないで何とか対応するにはエンジンオイル添加剤しか方法がありません。
リングの固着具合が軽症なら、エンジンオイル添加剤で固着が解消するケースもあります。試してみる価値は十分あると思います。なぜなら、オーバーホールならとんでもない金額になるからです。
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