画像:Wikipediaより
タペット調整(バルブクリアランス調整)とは
まず「バルブクリアランス」について。
車やバイクのレシプロエンジンには吸排気バルブがありますが、こうしたバルブの開閉動作は、一般的にはエンジン上部のカムシャフトの回転により、カムシャフトに串刺しされている茹で卵の断面のような形のカムによってバルブステムが押し込まれ、その結果、バルブ(弁)が燃焼室との間で開閉をする仕組みです。
その際、カムは直接的にバルブステムと接するのではなく、あいだにタペットを介在します。
バルブクリアランスとは、このカムとタペットとの間の隙間のことです。
したがって、バルブクリアランス調整あるいはタペット調整とは、カムとタペットとの隙間を調整することを言います。
(※)方式によっては、カムではなくロッカーアームがタペットを押し込むやり方もあります。
タペット調整(バルブクリアランス調整)は、バルブタイミング調整を行った場合には、それに伴い必ずやらなければならない調整です。
エンジンにより隙間が指定されている
バルブクリアランスの量(数値)は、各エンジンのサービスデータに最適値が記載されています。
たとえば、
吸気0.20±0.04・排気0.30±0.08(単位はミリメートル)
というように表記されています。
一般的には、排気バルブは高温の排気により熱膨張が大きいので、吸気バルブよりバルブクリアランスの数値は大きめに設定されています。
バルブクリアランス調整(タペット調整)は、吸排気バルブが閉じていて、ピストンが一番上にある状態で行います。つまり、ピストンが圧縮上死点にある状態で行います。
調整作業は、シックネスゲージという工具を使用し、隙間を計測・調整し、ネジを締め込むだけです。コツをつかめば誰でもできる作業です。※不器用なわたしにはできないかも・・・
バルブクリアランスは、エンジンの通常運転温度ではほとんど0付近になるように設計されています。
バルブクリアランスが大きくなると、バルブ開放時間が短くなり、またリフト量(弁の開閉量)が小さくなって、吸排気の効率が低下します。それと同時に、カムやロッカーアームに叩かれる際に発生する音(タペットノイズと呼ばれます)が大きくなります。
これとは反対に、バルブクリアランスが小さいと、カムやロッカーアームに常に押された状態になり、バルブが完全に閉じず、燃焼室の圧縮漏れを起こす場合が出てきます。
なお、ラッシュアジャスター付きの場合は、バルブクリアランスが常に0となるよう自動調整されます。
(※)ラッシュアジャスターは、ハイドロリックリフターとかハイドロリックタペット、あるいは、油圧タペットやオイルタペットとも呼ばれます。
下記の記事も参考になさってください。
ご覧いただきありがとうございました。