車検証には、右下や裏面に小さな四角い模様のQRコードが印刷されています。
このQRコードには、どんな情報が入っているのでしょうか。
実は、この内容は2023年1月を境に大きく変わりました。
従来の紙の車検証と、現在の電子車検証とでは、QRコードの数も中身も別物になっています。
本記事では、QRコードに格納されている具体的な情報、読み取りアプリの使い方、そして2026年1月に発生した重要な制度変更まで、最新情報にもとづいて解説します。
第1章 車検証のQRコード、そもそもの役割(2004年〜)
車検証にQRコードが印刷されるようになったのは、2004年の車検証様式改訂がきっかけです。
これは、電子車検証が始まるよりずっと前の話です。
当時の紙の車検証(A4サイズ)には、登録車(普通車)で8個、軽自動車で3個のQRコードが右下部分にまとめて印刷されていました。
ただし、8個すべてに意味があったわけではありません。
実務では、1番目のコードには実用的な情報がなく、7番目と8番目は暗号化された文字列でした。
そのため、実際にデータとして活用されていたのは2番目から6番目までのQRコードでした。
これらは分割QRコードという形式になっており、複数のコードを連結して初めて1件分の情報になる仕組みでした。
QRコード導入の目的
QRコードが導入された最大の目的は、事務作業の効率化と偽造防止の2つです。
紙の車検証を目視で確認しながら手入力していた作業を、QRコードの読み取りだけで済ませられるようにしたのです。
また、車検証の記載内容を誰かが偽造しても、QRコードを読み込めば元の正しい情報がそのまま出てくるため、改ざんがすぐに発覚する仕組みにもなっていました。
この2004年時点のQRコードには、登録番号・車台番号・登録年月日・車体の形状・車体重量・所有者と使用者の氏名住所・車検の有効期限など、車検証に記載されている内容がほぼそのまま格納されていました。
| 項目 | 2004年〜旧・紙の車検証 |
|---|---|
| 登録車のQRコード数 | 8個 |
| 軽自動車のQRコード数 | 3個 |
| 実用的なコード | 2〜6番目のみ |
| 格納情報 | 車検証記載事項をほぼ網羅 |
この「QRコードに全情報が入っている」という仕組みは、実は2023年1月を境に大きく姿を変えることになります。
次の章で、その変化を見ていきます。
| この章のまとめ | |
|---|---|
| 導入時期 | 2004年の車検証様式改訂 |
| 登録車 | QRコード8個(実用は2〜6番目) |
| 軽自動車 | QRコード3個 |
| 目的 | 事務効率化・偽造防止 |
| 引用元 |
|---|
| EPARK車検「車検証の下にあるQRコードって何?」 |
| テクノスタイル株式会社「eDocArrangementで、車検証のQRコードを読み取り」(車検証QRコード仕様の解説) |
第2章 電子車検証への切り替えでQRコードは「8個→2個」に
電子車検証(A6)
大きな転換点となったのが、2023年1月4日から始まった電子車検証制度です。
登録車(普通車)はこの日から、軽自動車は1年遅れて2024年1月から、それぞれ電子車検証への切り替えが始まりました。
電子車検証は、従来のA4サイズの紙とはまったく違う姿をしています。
サイズはA6サイズよりやや横長(縦105mm×横177.8mm)の厚紙で、裏面にICタグが貼り付けられています。
この券面の右下部分に、新しい仕様のQRコードが印刷されています。
なぜQRコードが2個に減ったのか
電子車検証のQRコードは、「コード2」と「コード3」の2個のみです。
旧来の8個から大幅に減っています。
減った理由は主に2つあります。
1つ目は、券面のサイズが小さくなり、欄外に印刷できる余白そのものが少なくなったことです。
2つ目は、電子車検証は継続検査(通常の車検)のたびに券面を刷り直さない運用になったことです。
住所変更や車検更新のように書き換わる可能性がある情報は、券面のQRコードには印刷できません。
刷り直さない券面に古い情報のQRコードが残ると、実際のICタグの中身とズレが生じてしまうためです。
そのため、書き換えの心配がない基礎的な情報だけをコード2・コード3にまとめる方式に切り替わりました。
| 比較項目 | 旧・紙の車検証 | 電子車検証(現在) |
|---|---|---|
| 登録車のQRコード数 | 8個 | 2個 |
| 軽自動車のQRコード数 | 3個 | 2個 |
| 券面サイズ | A4 | A6相当 |
| 券面の更新 | 検査のたびに再発行 | ICタグのみ書き換え |
登録車は2023年1月、軽自動車は2024年1月にそれぞれ制度が始まってから、すでに1回以上の継続検査(車検)のサイクルを経ています。
自家用乗用車の車検有効期間は初回が3年、以降は2年ごとです。
そのため2026年時点では、公道を走る車両のほぼすべてが電子車検証に切り替わっているとみてよい状況です。
旧来の8個・3個のQRコードが付いた紙の車検証を目にする機会は、今後さらに少なくなっていきます。
| この章のまとめ | |
|---|---|
| 登録車の切替 | 2023年1月4日〜 |
| 軽自動車の切替 | 2024年1月〜 |
| QRコード数 | 8個・3個 → 2個(コード2・コード3)に統一 |
| 減少の理由 | 券面縮小+書換え非対応の情報のみ掲載 |
| 引用元 |
|---|
| 軽自動車検査協会「検査対象軽自動車の自動車検査証の電子化について 令和6年1月〜」(公的機関資料) |
| ライフマイスター株式会社「車検証が電子化されます」(保険代理店による解説記事) |
第3章 QRコードとICタグ、格納されている情報の違い
電子車検証で最も重要なポイントは、QRコードとICタグで格納されている情報が異なるという点です。
これは旧来の「QRコードに全部入り」という発想とは根本的に違います。
QRコード(コード2・コード3)に入っている情報
券面に印刷されたQRコードから読み取れるのは、以下のような基礎的な車両特定情報です。
自動車登録番号(または車両番号)、車台番号、型式指定番号、類別区分番号(るいべつくぶんばんごう)、初度登録年月、型式などです。
有効期間の満了日についても項目自体はコードの仕様に含まれていますが、注意が必要です。
継続検査で券面を刷り直さない場合、コード3内の満了日は実際の値ではなく「999999」という固定のダミー値が設定される仕様になっています。
つまり、QRコードを読んだだけでは正確な車検満了日は分からないケースがあるということです。
ICタグに入っている情報
一方、所有者の氏名・住所、使用者の住所・使用の本拠の位置、有効期間の満了する日(実際の値)、備考欄の一部(牽引車情報など)は、QRコードではなくICタグ側に記録されています。
ICタグの情報を見るには、QRコードを読むだけでは不十分で、専用アプリでICタグ自体を読み取る必要があります。
この方法については次章で説明します。
| 情報項目 | 格納場所 |
|---|---|
| 登録番号・車台番号 | QRコード |
| 型式指定番号・類別区分番号 | QRコード |
| 初度登録年月・型式 | QRコード |
| 所有者・使用者の氏名住所 | ICタグ |
| 車検有効期限(実際の値) | ICタグ |
この設計変更には、実はメリットもあります。
旧来の紙の車検証は、QRコードさえ読めば所有者の住所や氏名まで誰でも入手できてしまう構造でした。
電子車検証では、住所などの個人情報を含む詳しい情報はセキュリティコードの入力とICタグの読み取りがなければ確認できません。
券面のQRコードだけでは車両を特定する程度の情報しか分からないため、結果的にプライバシー保護の強化にもつながっています。
| この章のまとめ | |
|---|---|
| QRコードの中身 | 登録番号・車台番号など基礎情報 |
| 満了日の注意点 | 継続検査時はダミー値「999999」の場合あり |
| ICタグの中身 | 所有者・使用者住所、実際の有効期限 |
| 効果 | 個人情報の保護強化 |
| 引用元 |
|---|
| 国土交通省 電子車検証特設サイト「二次元コード2・3 項目定義」(公的資料) |
| 自動車検査証電子化情報サイト「2026年 自動車検査証が電子化(ICカード化)」 |
第4章 読み取りアプリ「車検証閲覧アプリ」の仕様と使い方
ICタグの情報を確認するために国土交通省が提供しているのが、公式アプリ「車検証閲覧アプリ」です。
iOS・Android・パソコン(Windows等)に対応しており、App Store、Google Play、Microsoft Storeからインストールできます。
パソコンで使う場合は、ICタグを読み取るためのICカードリーダが別途必要です。
ICカードリーダー
スマートフォンの場合はNFC機能が必要で、NFCに対応していないiPadでは利用できません。
基本的な読み取り手順
まずアプリを起動し、「読取開始」を選びます。
次に、電子車検証の券面右下に記載されているセキュリティコード(4桁の数字)を入力します。
その後、スマートフォンの読み取り部分を電子車検証のICタグ部分にかざします。
これで車検証情報が画面に表示され、内容をPDFとして保存することも可能です。
読み取ったデータは、アプリを終了すると消去される仕組みになっているため、必要なときはその都度読み取り直す必要があります。
アプリで確認・利用できる機能
単に情報を見るだけでなく、車検証閲覧アプリにはいくつかの実用的な機能が用意されています。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 車検証情報の閲覧 | ICタグ読み取りで詳細を表示 |
| ファイル出力 | PDF・JSON・XML・CSV形式 |
| リコール情報確認 | 該当車両のリコール有無を表示 |
| 満了日お知らせ通知 | 90日前・60日前・30日前・満了1日後 |
| 一部OSS申請 | 変更登録・一時抹消登録(登録車のみ) |
2024年7月からは、マイナンバーカードと組み合わせることで、住所変更などの変更登録や一時抹消登録の一部手続きをアプリ上で完結できるようになりました。
ただし対象は登録車のみで、軽自動車・二輪車・法人所有車・代理人による申請は対象外です。
アプリは頻繁にアップデートされており、2026年1月のバージョンでは、自動車リサイクル料金システムとの連携機能などが追加されています。
業務での読み取り
整備工場や検査場では、一般ユーザー向けアプリとは別に、特定DTC照会アプリのような業務用ソフトと専用の二次元コードリーダーを組み合わせてQRコードを読み取ることもあります。
2024年10月からは、車載式故障診断装置(OBD)を使った検査でもQRコードの読み取りが本格的に活用されるようになりました。
ディーラーや民間車検場、街の整備工場などでは、こうした専用機器によって受付や検査前の準備作業を効率化しています。
| この章のまとめ | |
|---|---|
| アプリ名 | 車検証閲覧アプリ(国土交通省提供) |
| 必要なもの | セキュリティコード(4桁)+NFC対応端末 |
| 主な機能 | PDF保存、リコール確認、満了通知、一部OSS申請 |
| 業務用 | 特定DTC照会アプリ等の専用リーダーも活用 |
| 引用元 |
|---|
| 国土交通省 電子車検証特設サイト「車検証閲覧アプリ」(Google Play掲載、最終更新2026年3月25日) |
| 国土交通省 電子車検証特設サイト「車検証閲覧アプリ 最新バージョンリリースのお知らせ」(2026年1月5日) |
| SOMPOダイレクト「教えて!おとなの自動車保険」内「車検証の電子化で何が変わった?「車検証閲覧アプリ」の機能や使い方も解説」(2025年8月18日) |
第5章 【2026年最新】「自動車検査証記録事項」窓口配布終了の影響
ここからは、QRコードとアプリの重要性が一気に高まった2026年最新の制度変更を解説します。
電子車検証の導入当初、券面やICタグだけでは不便だという声に配慮し、補助的な書類として「自動車検査証記録事項」というA4サイズの紙が、車検の際に窓口で一緒に渡されていました。
この紙には、電子車検証の券面には載っていない有効期限や所有者・使用者の住所などが記載されており、事実上「今までの車検証」に近い役割を果たしていました。
2026年1月から何が変わったか
2025年12月末をもって、継続検査(通常の車検)で券面記載事項に変更がない手続きについては、この「自動車検査証記録事項」の窓口での配布が終了しました。
つまり、2026年1月以降に通常の車検を受けても、これまでのように紙を自動的に受け取ることはできません。
一方、住所変更や名義変更など券面の記載事項そのものに変更がある手続きについては、引き続き窓口で交付されますが、こちらも2027年12月末で終了する予定です。
| 手続きの種類 | 窓口配布 |
|---|---|
| 継続検査(券面変更なし) | 2025年12月末で終了 |
| 新規登録・住所変更等(券面変更あり) | 2027年12月末まで継続 |
| 運輸支局の印刷端末 | 2027年12月末まで利用可 |
今後どうやって確認すればよいか
窓口で紙をもらえなくなった以上、有効期限や住所の確認は利用者自身が行動する必要があります。
方法は主に2つです。
1つ目は、これまで説明してきた車検証閲覧アプリでICタグを読み取り、必要に応じてPDFをダウンロード・印刷する方法です。
2つ目は、各運輸支局・自動車検査登録事務所の窓口付近に設置されている印刷端末を利用する方法です。
ただし、この印刷端末による発行も2027年12月末までとされており、その先はさらにアプリ中心の運用に移行していく見込みです。
ETCコーポレートカードなど実務への影響
この変更は、一般ユーザーだけでなく実務にも影響します。
たとえばETCコーポレートカードの申請では、電子車検証のコピーではなく「自動車検査証記録事項」の提出が求められる場合があります。
窓口配布が終了したことで、申請予定の事業者はあらかじめアプリで書類を取得しておく必要が出てきています。
| この章のまとめ | |
|---|---|
| 変更日 | 2025年12月末で窓口配布終了(継続検査分) |
| 変更なし手続き | 2027年12月末まで窓口配布継続 |
| 今後の確認方法 | 車検証閲覧アプリ/運輸支局の印刷端末 |
| 印刷端末の期限 | 2027年12月末まで |
| 引用元 |
|---|
| JAHIC日本高速情報センター「【2026年1月〜】電子車検証で「自動車検査証記録事項」の提供が終了!今後の入手方法と注意点」(2026年5月7日) |
| 金子行政書士事務所「自動車検査証記録事項、継続検査時の窓口配布が令和7年末で終了」(2026年3月12日) |
| 行政書士法人Tree「車検の種類と有効期間|継続検査・新規検査・構造等変更検査の違いを解説」(2026年4月18日) |
第6章 中古車購入・実務でのQRコード活用と注意点
最後に、QRコード・ICタグの仕組みが実際にどう役立つのかを整理します。
中古車購入時のチェック
気になる中古車の車検証を見せてもらえる場面では、電子車検証のQRコードから車台番号や型式などの基礎情報を素早く確認できます。
ただし、以前の紙の車検証とは違い、所有者情報や正確な有効期限まで確認したい場合は、セキュリティコードの入力とICタグの読み取りが必要になる点に注意してください。
これは前述の通り、個人情報保護のための仕組みであり、誰でも簡単に住所まで読み取れてしまう状態ではなくなっています。
なお、QRコードやICタグの読み取りは車両の基本情報や有効期限の確認には役立ちますが、事故歴や修復歴の有無までは分かりません。
中古車の実質的な価値を判断する際は、QRコードによる確認とあわせて、修復歴の有無や骨格部分の損傷状況を別途チェックすることが欠かせません。
陸運局・自動車関連業者での活用
QRコードとICタグの仕組みを最も日常的に活用しているのは、やはり陸運局や、ディーラー・中古車ショップ・民間車検場・整備工場といった自動車関連業者です。
紙の情報をいちいち手入力していては時間もかかり、入力ミスも発生しやすくなります。
QRコードや専用リーダーでデータを取り込めば、正確さとスピードの両方が向上します。
さらに、国から委託を受けた記録等事務代行者(きろくとうじむだいこうしゃ)による電子車検証の記録更新・検査標章印刷の仕組みも整備が進んでおり、運輸支局への出頭そのものを減らす方向で制度が動いています。
| 活用者 | 主な用途 |
|---|---|
| 一般ユーザー | 有効期限・住所の確認、中古車チェック |
| 陸運局 | 検査・登録事務の効率化 |
| ディーラー・整備工場 | 受付業務の迅速化、OSS申請 |
| 記録等事務代行者 | ICタグ書換え・検査標章印刷の代行 |
電子車検証への切り替えとQRコード仕様の変更、そして2026年からの窓口配布終了は、いずれも同じ方向を向いた変化です。
つまり、車検証にまつわる情報確認の主役が、紙からアプリへ移っているということです。
今後、車検証閲覧アプリの操作に慣れておくことは、単なる便利機能の話ではなく、実務上ほぼ必須の準備になっていくといえます。
| この章のまとめ | |
|---|---|
| 中古車購入時 | QRコードは基礎情報確認用、修復歴の確認は別途必要 |
| 個人情報 | ICタグ側はセキュリティコードなしでは読めない |
| 業務活用 | 陸運局・ディーラー・整備工場で事務効率化 |
| 今後の方向性 | 紙からアプリへの完全移行が進行中 |
| 引用元 |
|---|
| 株式会社ファーストアクセス公式ブログ「【2026年1月~】電子車検証の発行時に「自動車検査証記録事項」の提供が終了!」 |
| サン・モータース「車検証電子化!どうやって見るの?お答えします!」 |
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