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【記事丸わかり】
⇒⇒【2023年1月施行!】電子車検証(実物)で使い方を解説!ICチップをスマホで読み取り! |
電子車検証(車検証の電子化)とは?簡単にわかりやすく解説!
(※軽自動車の電子車検証は2024年1月からスタート予定です。)
2023年1月4日より車検証の電子化がスタートしました。ICチップを貼り付けた文庫本サイズの電子車検証となります。
ただし、1月4日をもって世の中のすべての車検証が電子車検証になるのではありません。1月4日以降に新車登録したり継続車検を受けたり住所変更したり、といったタイミングをとらえて、順次電子化された車検証に切り替えていく、という方式です。
したがって、今現在みなさんが使用している自動車やバイクに備え付けられた従来の車検証も、当面は「現役」として通用します。いずれその時が来たら電子車検証に切り替わっていく、という話です。
今まで通り「紙」の書類:携行義務は変わらず
従来の車検証はA4サイズのペラ紙でしたが、電子車検証はA6サイズ(文庫本くらい)の厚紙で、右側面にICチップを貼り付けたものになります。
つまり、「電子化」といっても、依然として紙ベースの書類です。電子化という言葉に惑わされないでください。
私たち自動車ユーザー・バイクユーザーの立場から見ると、これまで通り「紙」の電子車検証を車検証入れに挟んでグローブボックスなどに保管・携帯する義務があります。携帯義務は自動車でもバイクでも同じです。※バイク乗りは、厚紙になったので、どこに保管すればいいか悩ましいと思います
(※)道路運送車両法第66条により運転時は車検証と車検シールの携帯が義務。コピー不可。不携帯で捕まると同第109条9項により50万円以下の罰金。なお、不携帯は交通違反とはならず、違反点数の累積はない。
(※)バイクは自動車に比べて盗難被害に遭いやすく、その結果二次被害にも発展しやすい。ネット上では車検証のコピーでもOKだったという声、いやダメだったという声が交錯しています。法的にはコピーはNGです。
電子車検証の記載内容(紙の部分)
さて、上記の画像ではわかりずらいと思いますが、電子車検証の「紙」の部分に記載される項目は、従来の車検証に記載されていた項目より少なくなっています。
電子車検証の「紙」に記載されるのは、「ナンバープレートの番号」「車名」「初度登録年月日」「乗車定員」などの項目です。これらの項目は、たとえば継続車検を受けたり住所変更する場合などでも訂正する必要がない項目です。
電子車検証の記載内容(ICチップの部分)
一方で、電子車検証のICタグの中に埋め込まれる項目は、「車検証の有効期間」「所有者住所」といった継続車検や住所変更などで書き換えが必要な項目です。もちろん、「紙」の部分に記載されている項目も埋め込まれています。
さらに、ICタグの中には、自動車税の納付済み・未納の情報とか、駐車違反をしていたらその記録等が埋め込まれます。今後、他に埋め込まれる情報が増えるかもしれません。
あれ、今までより不便じゃないの?
ここまでお読みになり、こんな疑問を抱く方もいらっしゃるのではないか。
「自動車保険に加入する時とか、勤務先に通勤使用車の車検証を提出する時とか、電子車検証の紙の部分には今までより少ない情報しか記載されていないので、ちょっと困るのでは?」
3年間の経過措置:代用品を用意
そうです。困ります。そこで、経過措置として今後3年間は、電子車検証とは別に「自動車検査証記録事項」というペラ紙が発行されます。この書類の記載内容は従来の車検証と同じです。※縦型の書類になっているのは混同を避けるためと思われます。
つまり、2023年1月からの3年間に発行される車検証は、厚紙の「電子車検証」とペラ紙の「自動車検査証記録事項」の2枚ということになります。このペラ紙があれば、保険加入や会社への提出も今まで通りのやり方でできます。
では、3年後は?
3年後には、ペラ紙の「自動車検査証記録事項」はなくなり、厚紙の「電子車検証」のみとなります。この場合は、電子車検証の右端に貼り付けてあるICタグ(ICチップ)の情報を、専用アプリをダウンロードすることで、スマホやPCで読み込むことになります。
スマホの場合はNFC(読み取り機能)が必要ですが、最近の機種にはほぼついています。PCの場合は非接触型のICカードリーダーが必要です。※アマゾンで1,600円くらいのがあります(2023年1月時点)。
専用アプリはすでに入手可能なので、今でも私たちユーザーはICタグから情報を入手できます。ただ、現状ではそこまでする必要性はほぼないと思います。
自動車関連事業者には大きなメリットが
けれども、事業者側ではおおいに必要性があります。自動車ディーラー、整備工場、中古車販売店、行政書士などは、全てではありませんが多くの業者がすでに「記録等事務代行者」としての登録を済ませています。
「記録等事務代行者」とは、継続車検や住所変更等の手続きを、自らの事業所で完結する資格を与えられた者のことです。従来なら、いちいち陸運局に出向き、そこで車検証の書き換え等を行っていたものを、自らの事務所で電子車検証のICタグ内の情報を書き換えできるのです。
たとえば自動車ディーラーに継続車検を依頼したとします。ディーラーは保安基準に沿った検査を行い、すべて完了して合格となったら、従来だとディーラーの担当者が陸運支局に出頭して、そこで車検証の書き換え、車検ステッカーの交付といった手続きを行う必要がありました。
けれども、今後は、ディーラーの裁量で電子車検証のICチップの内容を書き換え、車検ステッカーを発行する権限を持つのです。※「記録等事務代行者」は車検ステッカーを印刷する専用プリンターも備え付けています。
私たちユーザーのメリット・デメリット
制度がスタートした現時点において、電子車検証は私たち自動車ユーザーにとって、これといって大きなメリットはないように見えます。ですが、考えられるメリットあるいはデメリットとしては、次のようなものが考えられます。
メリット
- 車検に要する時間が短くなる:ディーラーや整備工場で手続きが完結するので時間が短縮されると思います。
- 自分の車のリコール情報が確認できる:車検証閲覧アプリでICチップ内にある自分の車のリコール情報を確認できるようになります。
- アプリ導入により車検満了日前にお知らせ通知が届く:現状でもディーラー等からお知らせのハガキが届くので新たなメリットとは言えませんが、ないよりあったほうがいいですね。
デメリット
- スマホやPCがないと内容を確認できない:当面は従来の車検証の代用となる自動車検査証記録事項が付いてくるからいいけれど、いずれ電子車検証のみとなる。そうなると、全情報を確認するにはスマホかPCが必須となる。
- スマホの機種変更時に手間がかかる:車検証閲覧アプリは、スマホの機種変更をした際に、まずアンインストールし、新規にインストールする必要がある。
- 電子車検証の管理に気を遣う:ICチップは折り曲げや高温に弱い。特にバイク乗りは電子車検証の管理がいままでより大変になるはず。
- 車検時の手数料値上げ:今回の新制度に伴い、車検手数料が車種により50円~500円値上げされました。車検時の手数料は2021年10月に一律400円値上げされたばかりです。Why?
まとめ
- 2023年1月から、新車を購入したり継続車検を行った場合に、電子車検証が発行される。従来の車検証は継続車検等を行った時点で順次電子車検証に切り替わっていく。※だからその時までは何もする必要はない。
- 電子車検証はA6(文庫本サイズ)の厚紙で、右端にICタグが貼り付けてある。
- 本来なら電子車検証1枚のみの発行であるが、利便性を考慮して、今後3年の間は従来の車検証と同等の記載内容をもつ「自動車検査証記録事項」というペラ紙が同時発行される。
- つまり、2023年1月からの3年間は、電子車検証と自動車検査証記録事項の2枚の書類が発行される。
- 電子車検証は私たち自動車ユーザー・バイクユーザーにとっては、当面の間、特に大きなメリットは見当たらないが、自動車事業者には大きなメリットが生まれる。
- 自動車事業者は、継続車検等の際、従来ならいちいち陸運支局に出頭する必要があったが、今後は電子車検証のICチップ内の情報を自らの権限で書き換え可能になる。これにより業務の簡素化・スピードアップが実現でき、従来より車検証が早く発行されるので、私たちユーザーも多少の恩恵を受ける。
- 車検証電子化はDX(デジタルトランスフォーメーション)の1つのはずだが、2023年1月1日から車検時の手数料が車種により50円~500円ほど値上げされた。ICタグのコストの転嫁だそうです・・・。
- 電子車検証は、どうせならキャッシュカードサイズにすべきところを、文庫本サイズという意味不明な中途半端なサイズにしたため、バイクユーザーは保管場所に苦しむことになる。「バイク 車検証 どこに入れる」「バイク 車検証 折り曲げ」といったKWでグーグル検索すれば、バイクユーザーがひどい思いをしていることがわかる。ペラ紙でさえ困っていたのに、厚紙でなおかつICタグ部分を折り曲げるなと言われて、どうすればいいのか。3年後までにサイズ変更すべきである。
- 電子車検証はいい制度だが、改善の余地がある。
簡単ではありますが、以上で電子車検証のご説明を終わります。