【記事丸わかり】
⇒⇒【トヨタライズ】評判の悪いオートハイビームの真実とは!?~対向車はこう見えています!! |
ハイビームアシスト(オートマチックハイビーム)とは、ヘッドライトのハイビームとロービームの切り替えを自動で行う装置のことです。
センサーが対向車のヘッドライトや前走車のテールランプを感知して自動切換する機能です。
アウディのマトリックスLEDテクノロジーやマツダのアダプティブLEDヘッドライトなどさらに進化したヘッドライトが実用化されています。
このページではハイビームアシスト(オートマチックハイビーム)について詳しく解説しています。
しばらくお付き合いいただけると幸いです。
警察庁の「ハイビームが基本」
近年、歩行者の交通死亡事故の約7割が夜間に発生していることから、警察庁が次のようなアナウンスをすることが多くなりました。
「夜間、街灯が少ない暗い道などを走行する時は、前照灯を上向き(ハイビーム)にすることで歩行者などを遠くから発見することができ、早期の事故回避措置が可能となります。」(警察庁:ハイビームの上手な活用で夜間の歩行者事故防止)
この文言には、次のような但書が続きます。
「ただし、ハイビームは他の車両等を眩惑させるおそれがありますので、対向車と行き違うときや、ほかの車の直後を通行しているときは、前照灯を減光するか下向き(ロービーム)に切り替えてください。」
免許証を取得している方はご存知だと思いますが、ハイビームとロービームの使い分けに関するこうした内容は特に真新しいものではありません。
以前から当たり前のこととしてわたしたちが認識している事柄だと思います。
しかし、なぜ、改めてハイビームの使い方についてこうしたアナウンスがなされたのか、ちょっと考えてみる必要があるかもしれません。
おそらく、わたしたちは常日頃人口が密集した地域の生活に慣れていて、夜間に車を走らせる場合は、
「ロービームが基本」
という考えに固まっていたのではないでしょうか。
たまにハイビームでもOKな状況があっても、正直なところ、いちいち切り替えるのが面倒だと感じる習慣が身についてしまったのかもしれません。
多くの人がこうした習慣を身につけてしまった結果、夜間の人身事故がいっこうに減らない状況を招くことになったのでしょう。
そして、夜間の人身事故を分析したところ、もしもハイビームでより早く歩行者を認識していたら防げたであろう事故が大半を占めていた・・・これが警察庁による「ハイビームが基本」というアナウンスにつながっているものと思われます。
ハイビームアシスト(オートマチックハイビーム)とは?
ハイビームアシスト(オートマチックハイビーム)とは、夜間走行中にヘッドライトのハイビーム・ロービーム切り替えを自動で行う装置のことです。
ほとんどの自動車メーカーが独自の方式でこの機能を実用化しています。
まだ新型車のすべてに標準装備されるところにまで至っていませんが、いずれ全車標準装備という時期がやってくると思います。
具体的な機能をご説明します。
たとえば市街地を走行中は対向車もあり前走車もあることからロービームで走り続けているのですが、郊外の道路に出て、車の往来がまばらになった際、対向車もなく、前走車もない状況になったところで、車の前部に取り付けられているセンサーがそうした状況を感知し、ロービームをハイビームに自動切替します。
しばらく走っていたら、対向車がこちらに向かってきます。
センサーが対向車のヘッドライトを感知し、すぐにハイビームをロービームに自動切替します。
対向車が走り去り、またロービームがハイビームに自動切換されました。
そこへ左側の細い道から車が合流し、前を走り始めました。
さっそくセンサーがその前走車のテールランプを感知し、ハイビームからロービームに自動切換されました。
ハイビームアシスト(オートマチックハイビーム)とはざっとこんな作動イメージになります。
「オートライト義務化」と関連はあるが機能的には別物
夜間の人身事故を分析すると、ハイビームであれば防げた事故が多かったはずという結果から、警察庁は「ハイビームが基本」というアナウンスをしました。
いっぽうで、完全な夜間ではなく、日没前の薄暮時にも人身事故が集中している実態が明らかになり、こちらに対しては「ハイビームが基本」とはまた別の対策が取られることになりました。
それが2020年4月から実施されることがすでに決定しているオートライト義務化です。
オートライトとは、周囲の照度に応じてヘッドライトが自動で点灯したり消灯したりする機能のことです。
みなさんご存知の通り、夕方の薄暮時など、ライトを点灯している車と点灯していない車は実にバラバラな状況です。
これでは歩行者の安全が守れない、あるいは車同士も互いを認識できないということから、あたりが1,000ルクス未満の明るさになったら2秒以内にヘッドライトが点灯する装置を標準装備するようメーカーに義務付ける、これがオートライト義務化です。
ところで、このページのテーマであるハイビームアシスト(オートマチックハイビーム)の機能は、オートライトとは別物です。
同じヘッドライトに関する機能なのでもちろん関連はありますが、オートライトはライトのON・OFFを自動化する機能であるのに対して、ハイビームアシスト(オートマチックハイビーム)はすでに点灯しているヘッドライトを上向きにするか下向きにするかを自動化する機能であり、両者は別物です。
オートライトとハイビームアシスト(オートマチックハイビーム)は、機能面でも交通法規の上でも、区別してとらえるべき機能です。
とはいえ、近い将来、ハイビームアシスト(オートマチックハイビーム)の機能がより実用的でネガティブな部分が極小化された暁には、メーカーに搭載を義務化するときがやってくるかもしれません。
機能は進化を続けている
ハイビームアシスト(オートマチックハイビーム)の機能に関してはすでに解説しています。
このところ、こうした基本機能にとどまらずに、さらに1歩も2歩も先を行く高度な機能が開発されてすでに実用化されています。
アウディがすでに実用化しているマトリックスLEDテクノロジーは、ハイビームアシスト(オートマチックハイビーム)の基本機能は当然のこととして、それに付加する機能として、ヘッドライトを分割し、対向車にはロービームで対応しつつ、前走車がなければこちらはハイビームというように、従来では不可能だった複雑な対応を可能にしている装置です。
アウディのマトリックスLEDテクノロジーは次の2つのアウディ公式動画をご覧いただくとご理解いただけると思います。
こちらの動画では、ヘッドライトが多くのパートに分割され、前方のスクリーンにありとあらゆるパターンで照射される様が描かれています。 何と10億通りのパターンで照射可能とのこと。 これにより、ライトを直接当ててはいけない対象(対向車、前走車、歩行者、自転車など)にはライトを照射せず、当ててもかまわない領域にはより広い範囲を照らし出すことが可能になります。 |
こちらはアウディTTが道路を走る際のイメージ動画です。 前走車や対向車にはライトを直射せず、それ以外の部分にはしっかりとライトを当ててより広い視界を確保しつつ走行します。 圧巻なのは、前走車の後ろをロービームで走行しているシーンです。 ロービームなのですが、前走車以外の部分はハイビームでしっかり視界を確保しています。 そこへ対向車がやってきます。 すると対向車の部分は当然ロービームに切り替わるのですが、対向車が通り過ぎると、通り過ぎて前走車との間に生じたスペースを、スペースが広がる程度に応じてライトの照射範囲を連続的に広げていく様です。 これはイメージ動画ですが、もしも実際にこの通りに作動し、しかもタイムラグ等で対向車や前走車のドライバーに眩しさを与えないとするなら、これはとんでもないびっくり仰天のハイテクノロジーです。 アウディ恐るべし、と言うべきかと。 |
ハイビームアシスト(オートマチックハイビーム)の進化型ともいうべき技術は、アウディだけにとどまりません。
マツダはALH(アダプティブLEDヘッドライト)の名でアウディのマトリックスLEDテクノロジーとほぼ同様の機能をすでに実用化しています。
トヨタもAHS(アダプティブハイビームシステム)の名でやはり実用化しています。
その他のメーカーも続々と同様の機能を備えたヘッドライトを開発しているところです。
今後注目すべき点は、こうした技術がメーカーの謳い文句通りに作動するかどうか、という点でしょう。
たとえば、対向車がきたらロービームに切り替え、通り過ぎたらハイビームに切り替わるのですが、これがどんな速度域でも正確に作動するかどうかが問題です。
どのメーカーのものとは言いませんが、一部ユーザーの声によると、90キロ以内の場合はほぼ正確に作動するけれど、90キロ超で走行している時はハイビームからロービームへの切り替えが一瞬遅れ、眩しさを感じた相手からパッシングの抗議を受けることがある、ということもあるようです。
これ以外に、歩行者や自転車を感知して、こうした対象物にはハイビームを照射しない機能もすでに実用化されているものの、本当に歩行者や自転車が眩しい思いをしないでいられるか、やや怪しいところがあります。
細かな機能面で詰めていくべきところはまだまだ残されています。
今後の進化を心から期待したいと思います。
下記の記事も参考になさってください。
ご覧いただきありがとうございました。