【記事丸わかり】
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差押調書とは?
自動車税・軽自動車税を納期限までに払わずにいると、納期限の翌日から税の滞納状態に入ります。
滞納状態に入ると、本税とは別に延滞金も発生しますが、実際に延滞金が発生するのは、税額にもよりますが、だいたい8月から10月になってからです。
しかし、延滞金が発生するしないとは別問題として、滞納に対する自治体の催促は粛々と行われていきます。
多くの自治体では納期限が5月31日ですが、ここで納付されなかった場合、1ヶ月ほどで督促状が送られてきます。
最初の督促状が送られて、そこで納付すればいいのですが、そこでも滞納が続いた場合、その後の催促の仕方は自治体によってかなり違いが出てきます。
比較的緩やかな自治体では、その後も2度目3度目の督促状を送ってきて、納付されないでいると、最終的に差押調書が送られてきます。
ちょっとだけ緩やかな自治体では、最初の督促状の次はより催促の度合いが強い催告書を送ってきて、それでも納付されないと差押調書が送られてきます。
最も過激な自治体では、最初の督促状が7月に入ってから送られてきて、この時点ではのんびりしているように感じるのですが、ここで納付がないと、督促状の10日後に財産調査が実施され、すぐに差押予告書が送られてきて、いざ差押に突入します。
山梨県の滞納処分のスケジュールをご覧ください。
山梨県では8月に差し押さえが開始されるのです。
いずれにしても、このように、自治体によって差押が実施される時期は異なるのですが、いざ差し押さえが開始される直前に送られてくるのが差押調書という書類です。
ですから、差押調書はイエローカードではなくレッドカードです。
差押調書が届く前に対策を取るべきです。
差押はルーティン化してきている
自動車税は都道府県が、軽自動車は市区町村が、それぞれ課税する税金です。
したがってこれらの税に滞納があった場合、督促状や催告書を出したり、最終的に差押をしたりするのは各自治体の職員です。
国税庁の職員ではありません。
以前は、各地方自治体の職員は差押に関しては素人同然で、やり方もよくわからず、当然経験も浅く、心理的にハードルの高い業務でした。
しかし今は違います。
国税職員による研修会が地方自治体職員に対して頻繁に開催され、そうした業務知識をもとに実践を積んできているので、全国的に税の徴収率は上がっていますし、滞納金の繰越額も減少しています。
次の3つのグラフをご覧ください。
いかがですか?
自動車税単独の数字ではありませんが、要は徴収の「率」ですから、自動車税も同じことです。
徴収率の高さも滞納繰越額の少なさも、ある意味驚異的な数字です。
NHK受信料の徴収率とか国民年金税の納付率などとは比較にならない好成績です。
近年の差押がいかに激烈なものであるかお分かりいただけたでしょうか?
納税緩和制度(納税を緩和する法律)
確かに、課税当局の側に立つと、「税の公平性」という意味で、納期限までに納付している他の多くの人々がバカを見ないよう、滞納者に厳しく対処することも必要かもしれません。
しかし、その一方で、滞納者のすべてが本当は支払能力があるのにズルして支払わずにいるわけではなく、やむを得ない事情により滞納を続けているケースも現実にあります。
この観点から、納税緩和制度(納税を緩和する法律)も一方であります。
納税を猶予する規定 | 災害等があった場合の納税の猶予をする条文(国税通則法46条) |
徴収を猶予する規定 | 災害等があった場合の徴収の猶予をする条文(地方税法15条の1) |
換価(差押財産をお金に換えること)を猶予する規定 | 事業の継続や生活の維持が困難な場合の換価の猶予をする条文(国税徴収法151条、地方税法15条5) |
滞納処分(差押)の停止 | 差押すべき財産がない場合、あるいは差し押さえすることで生活を著しく窮迫させるおそれがある場合に差押を停止する条文(国税徴収法153条、地方税法15条7) |
(※)自動車税・軽自動車税は地方税法に基づく税金ですが、納税緩和制度は様々な法律を横断的に適用しています。
納税が困難な場合は「納税の猶予」を求める申請書を提出できる
納税緩和制度(納税を緩和する法律)を具体的に見ていきましょう。
自動車税・軽自動車税を滞納していて、何とか納付しようと金策に走ったけれど、どうしても納付できない状況に追い込まれている場合、「納税の猶予」を求める申請書を提出することができます。課税当局はこの申請書を拒否することはできません(国税通則法46条・地方税法15条1・国税庁の通達)。
「納税の猶予」の申請が認められると1年間猶予され、最大2年間まで延長できます。
「納税の猶予」が認められると延滞金(延滞税)が半額まで減額されます。
「納税の猶予」は次のような場合に認められます。
・事業の売上が大幅に落ち込んだときや利益が半減して税を一括で納付できない場合
・納税者本人や家族が病気・ケガなどで多大な出費がかかり税を一括で納付できない場合や、これらの事情で失業して税を納付できない場合
・売掛金が回収困難になったり取引先が倒産して税を一括で納付できない場合
(※)たとえ納付するお金が手元にあったとしても、そのお金を納付してしまったら滞納者の生活維持や事業の継続に著しい支障が生じる場合は「納税の猶予」が認められるケースです。
確かに納税は国民の義務ですが、一方で最低限度の生活を維持し命を繋ぐ権利があります。
「換価の猶予」を求める場合は請願書を提出する
(「換価」とは差押物件を現金に変えることです。)
いざ差押に入られて財産を没収された場合でも、その財産をお金に変えること(換価)を猶予するようお願いすることができます。
これは申請書ではなく請願書(お願いの文書)で行います。
請願が認められると、最大1年間換価が猶予され、差し押さえられた財産がそのままの状態で保存されます。
(※)「換価の猶予」は「納税の猶予」より認めてもらえる可能性が高い傾向にあります。
(※)「換価の猶予」を請願する際、分割納付(分納)の相談も同時にするといい結果となる可能性が高いです。
「換価の猶予」が認められるのは次のようなケースです。
・差押えた財産を換価することで、事業の継続又は生活の維持ができなくなる恐れがある場合
・差し押さえた財産をすぐに換価しないほうが、今ある滞納金や本税を徴収する上で徴収側(課税当局)にとって有利になる場合(国税徴収法151条、地方税15条5)
延滞金を全額免除できる場合もある
「納税の猶予」や「換価の猶予」が認められると延滞金(延滞税)が半額まで減額される場合があります。
また、災害や病気によるときや不渡手形や不良債権発生のときは延滞金(延滞税)が全額免除されることがあります(国税通則法46条の2・租税特別措置法94条3項)。
さらに、納税者の所有する財産が事業の継続または生活の維持に最少限度必要なもの以外になく、また、所得が少額で納付資金の調達が著しく困難になっていると認められる場合には延滞金(延滞税)が全額免除される場合があります(国税通則法63条)。
そして、財産状況が著しく不良で地方税・国税を軽減又は免除しなければ、『その事業の継続又は生活の維持が困難になると認められた場合でそれ(本税)が軽減又は免除されたとき』は延滞金(延滞税)を免除できる場合があります(地方税法15条9)
差押から滞納者を保護する法律
当たり前の話ですが、「滞納額+延滞金(延滞税)」を超える財産相当額を差押えしてはいけないことになっています。
差押する財産の選択については「滞納者の生活の維持又は事業の継続に与える支障」があるものには十分留意しなければいけないことになっています(国税徴収法基本通達47-17)
給与を差し押さえる場合、「最低生活費+体面維持費+住民税+所得税額」分は差押できません(国税徴収法76条)。
(※)つまり給与全額が差し押さえられることはない、ということです。差押えられるのは手取り額の4分の1くらいまでです。
滞納者にも基本的人権がある
これまで順風満帆に人生を送ってきた人で、納税に関しても一度も滞納することなく真面目に納めてきている人から見ると、自動車税や軽自動車税を滞納している人は、まるでお金があるのに給食費を出し渋っている不埒な親たちのように映るのかもしれません。
順調に人生を送ってきた方々の場合、自治体が滞納処分(差押)の際に錦の御旗として掲げる「税の公平性」という言葉は、まさに我が意を得たりという受けとめをされる方が多いのではないでしょうか。
確かに、一部滞納者の中には、お金があるのに給食費を出し渋る親たちのように、ただ単にお金を手放したくないだけの輩もいるでしょう。
けれども、働いているのに、節約しているのに、贅沢などしていないのに、自分なりに努力しているのに、それでも諸事情によって税の納付にまでお金が回らない人たちも確実にいます。
好景気で高い就職率を誇る時期にいくつも内定をもらった学生と、就職氷河期で一つも内定をもらえなかった学生と、個人の資質に大きな違いがあったのでしょうか?
それはほとんど社会的要因であって、個人のやる気だとか能力の問題ではないはずです。
災害や病気で生活に困窮するのは個人の責任だから放っておけばいいと言うのでしょうか?
事業が回らなくなった人はその後どうなろうとわれわれに関係ないのでしょうか?
納税は国民の義務ですが、義務が果たせない事態は誰にでも起こりうることです。
まず最低限の衣食住を維持し命を繋げていかなければなりません(生存権)。
様々な事情でどうしても税を滞納してしまった場合、延滞金(延滞税)も累積してしまった場合、ひたすら課税当局からの督促を無視するのではなく、ここまで解説してきたように法的な救済策があるのですから、一歩足を踏み出してみてはいかがでしょう。
各自治体では弁護士などによる無料相談会が定期的に開かれています。
あるいは自動車税事務所や市区町村の納税課に直接出向いて、単刀直入に「納税の猶予」の相談をすることもできます。
分割納付(分納)の相談もできます。
余裕資金があるのに納税しないことは許されませんが、最低限の生活資金以外に一切納税すべきお金がないのであれば、課税当局も法に定められた様々な猶予策あるいは免除に関し、相談に応じてくれるはずです(というか、法的に応じる義務がある)。
自動車税・軽自動車税を滞納していて、何とか納付しようと金策に走ったけれど、どうしても納付できない状況に追い込まれている場合、「納税の猶予」を求める申請書を提出することができます。課税当局はこの申請書を拒否することはできません(国税通則法46条・地方税法15条1・国税庁の通達)。
最低限の生活資金までむしり取られる前に、ぜひ一歩踏み出すことをおすすめします。
下記の記事も参考になさってください。
ご覧いただきありがとうございました。