【記事丸わかり】
⇒⇒自動車税を滞納したら延滞金はいつから、いくら発生するの?【計算方法&計算結果一覧】 |
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本税も延滞金も免除されるケースがある
自動車税も軽自動車税も共に地方税法を根拠に課税される税金です。
自動車税は都道府県が、軽自動車税は市区町村が課税主体です。
徴収方法、納期限、滞納者に対する差し押さえ、諸事情による税の免除、延滞金(延滞税)の免除など、法律を運用する様々なシーンで地方税法だけでなく、国税通則法、国税徴収法、租税特別措置法などを横断的に適用して、実際の手続きが実施されます。
また、全国一律のルールを定めているのではなく、各自治体の<裁量権>が認められているので、様々な運用面において自治体間での違いはかなり幅広くあります。
したがって、このページのテーマである延滞金(延滞税)の免除に関しても、本税の免除とともに、基本はほぼ全国共通なのですが、細かな点で違いがあることは予めご承知おきいただきたいと思います。
本税の免除と延滞金(延滞税)の免除
予め整理しておきたいと思いますが、自動車税・軽自動車税を納期限までに支払わなかった場合、税の滞納状態になりますが、この時点で滞納しているのはいわば「本税」です。
そして、この滞納状態が継続すると、だいたい3ヶ月後くらいから延滞金(延滞税)が発生するようになります。
その後も滞納が続くと、延滞金(延滞税)の額はさらに膨らんでいきます。
法律の条文では、延滞金(延滞税)の免除と本税の免除とはそれぞれ別の条文で規定されていますが、実際に税の滞納状態にある人にとって、この2つを分けて考えることは無意味だと思います。
ですから、このページでは本税と延滞金(延滞税)を絡めてお話していきます。
滞納処分(差押)の規定
(※)ここにある規定通りに実務の現場が動いているわけではなく、あくまでも法律の規定です。
自動車税・軽自動車税に滞納があった時、自治体は滞納者に督促状を送って納税を促しますが、督促状を発行してから10日以内に納税がない場合は財産の差押を行います(国税徴収法47条)
自動車税・軽自動車税の滞納者の場合、給与・預貯金・車などが差し押さえられるケースが多いです。
納税緩和制度(納税を緩和する法律)
確かに、課税当局の側に立つと、「税の公平性」という意味で、納期限までに納付している他の多くの人々がバカを見ないよう、滞納者に厳しく対処することも必要かもしれません。
しかし、その一方で、滞納者のすべてが本当は支払能力があるのにズルして支払わずにいるわけではなく、やむを得ない事情により滞納を続けているケースも現実にあります。
この観点から、納税緩和制度(納税を緩和する法律)も一方であります。
納税を猶予する規定 | 災害等があった場合の納税の猶予をする条文(国税通則法46条) |
徴収を猶予する規定 | 災害等があった場合の徴収の猶予をする条文(地方税法15条の1) |
換価(差押財産をお金に換えること)を猶予する規定 | 事業の継続や生活の維持が困難な場合の換価の猶予をする条文(国税徴収法151条、地方税法15条5) |
滞納処分(差押)の停止 | 差押すべき財産がない場合、あるいは差し押さえすることで生活を著しく窮迫させるおそれがある場合に差押を停止する条文(国税徴収法153条、地方税法15条7) |
納税が困難な場合は「納税の猶予」を求める申請書を提出できる
自動車税・軽自動車税を滞納していて、何とか納付しようと金策に走ったけれど、どうしても納付できない状況に追い込まれている場合、「納税の猶予」を求める申請書を提出することができます。課税当局はこの申請書を拒否することはできません(国税通則法46条・地方税法15条1・国税庁の通達)。
「納税の猶予」の申請が認められると1年間猶予され、最大2年間まで延長できます。
「納税の猶予」が認められると延滞金(延滞税)が半額まで減額されます。
「納税の猶予」は次のような場合に認められます。
・事業の売上が大幅に落ち込んだときや利益が半減して税を一括で納付できない場合
・納税者本人や家族が病気・ケガなどで多大な出費がかかり税を一括で納付できない場合や、これらの事情で失業して税を納付できない場合
・売掛金が回収困難になったり取引先が倒産して税を一括で納付できない場合
(※)たとえ納付するお金があったとしても、そのお金を納付してしまった場合、滞納者の生活維持や事業の継続に著しい支障が生じる場合は「納税の猶予」が認められると思います。
「換価の猶予」を求める場合は請願書を提出する
(「換価」とは差押物件を現金に変えることです。)
いざ差押に入られて財産を没収された場合でも、その財産をお金に変えること(換価)を猶予するようお願いすることができます。
これは申請書ではなく請願書(お願いの文書)で行います。
請願が認められると、最大1年間換価が猶予され、差し押さえられた財産がそのままの状態で保存されます。
(※)「換価の猶予」は「納税の猶予」より認めてもらえる可能性が高い傾向にあります。
(※)「換価の猶予」を請願する際、分割納付(分納)の相談も同時にするといい結果となる可能性が高いです。
「換価の猶予」が認められるのは次のようなケースです。
・差押えた財産を換価することで、事業の継続又は生活の維持ができなくなる恐れがある場合
・差し押さえた財産をすぐに換価しないほうが、今ある滞納金や本税を徴収する上で徴収側(課税当局)にとって有利になる場合(国税徴収法151条、地方税15条5)
延滞金を全額免除できる場合もある
「納税の猶予」や「換価の猶予」が認められると延滞金(延滞税)が半額まで減額される場合があります。
また、災害や病気によるときや不渡手形や不良債権発生のときは延滞金(延滞税)が全額免除されることがあります(国税通則法46条の2・租税特別措置法94条3項)。
さらに、納税者の所有する財産が事業の継続または生活の維持に最少限度必要なもの以外になく、また、所得が少額で納付資金の調達が著しく困難になっていると認められる場合には延滞金(延滞税)が全額免除される場合があります(国税通則法63条)。
そして、財産状況が著しく不良で地方税・国税を軽減又は免除しなければ、『その事業の継続又は生活の維持が困難になると認められた場合でそれ(本税)が軽減又は免除されたとき』は延滞金(延滞税)を免除できる場合があります(地方税法15条9)
差押から滞納者を保護する法律もある
当たり前の話ですが、滞納額+延滞金(延滞税)を超える財産相当額を差押えしてはいけないことになっています。
差押する財産の選択については「滞納者の生活の維持又は事業の継続に与える支障」があるものには十分留意しなければいけないことになっています(国税徴収法基本通達47-17)
給与を差し押さえる場合、「最低生活費+体面維持費+住民税+所得税額」分は差押できません(国税徴収法76条)。
(※)つまり給与全額が差し押さえられることはない、ということです。
滞納者にも基本的人権がある
これまで順風満帆に人生を送ってきた人で、納税に関しても一度も滞納することなく真面目に納めてきている人から見ると、自動車税や軽自動車税を滞納している人は、まるでお金があるのに給食費を出し渋っている不埒な親たちのように映るのかもしれません。
こうした方々にとっては、自治体が滞納処分(差押)の際に錦の御旗として掲げる「税の公平性」という言葉は、まさに我が意を得たりという受けとめをされる方が多いのではないでしょうか。
確かに、一部滞納者の中には、お金があるのに給食費を出し渋る親たちのように、ただ単にお金を手放したくないだけの輩もいるでしょう。
けれども、働いているのに、節約しているのに、贅沢などしていないのに、自分なりに努力しているのに、それでも諸事情によって税の納付にまでお金が回らない人たちも確実にいます。
納税は国民の義務ですが、まず最低限の衣食住を維持して生活しなければなりません。
また長い一生の間には、金回りがいいときもあれば悪い方に回ってしまう時期もあるものです。
様々な事情でどうしても税を滞納してしまった場合、延滞金(延滞税)も累積してしまった場合、ひたすら課税当局からの督促を無視するのではなく、ここまで解説してきたように法的な救済策があるのですから、一歩足を踏み出してみてはいかがでしょうか。
各自治体では弁護士などによる無料相談会が定期的に開かれています。
あるいは自動車税事務所や市区町村の納税課に直接出向いて、単刀直入に「納税の猶予」の相談をすることもできます。
余裕資金があるのに納税しないことは許されませんが、最低限の生活資金以外に一切納税すべきお金がないのであれば、課税当局も法に定められた様々な猶予策あるいは免除に関し、相談に応じてくれるはずです。
最低限の生活資金までむしり取られることはないので、ぜひ一歩踏み出すことをおすすめします。
下記の記事も参考になさってください。
ご覧いただきありがとうございました。