【記事丸わかり】
⇒⇒車税にも時効はある?滞納経験者が差し押さえまでになった経緯を全公開 |
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納期限を過ぎても延滞金はすぐに加算されない
自動車税と軽自動車税
まず自動車税と軽自動車税について。
登録車に課税される自動車税は都道府県が徴収する税金です。
軽自動車に課税される軽自動車税は市区町村が徴収する税金です。
このふたつには共通点もあれば相違点もありますが、このページで解説します「いつまで滞納できる」というテーマに関しては共通です。
あとで解説しますが延滞金を計算する際の利率まで同じです。
納期限を過ぎると
自動車税・軽自動車税の納期限は、ほとんどの自治体で5月31日になっています。
毎年4月下旬から5月の頭にかけて送られてくる納税通知書の裏面を見ると、納期限を過ぎると延滞金が加算され、本来の税額+延滞金の合計額を支払うことになる、といった内容の文面が小さい文字で書いてあります。
もしも納期限を過ぎて9ヶ月とか1年も放置していたら、確かに、この文面通りに延滞金が加算されます。
けれども、延滞金の計算には端数処理などさまざまな算出条件があって、実際に延滞金が発生するのは、多くの場合、納期限から3ヶ月とか4ヶ月経過してからになります。
このページのテーマである「自動車税・軽自動車税はいつまで滞納できる」の答えは、したがって「3、4ヶ月先までは大丈夫そう」というのがとりあえずの答えです。
計算上の答えです。
8月から差押が始まる自治体もある
計算上は納期限から3ヶ月4ヶ月過ぎても延滞金が発生しないとしても、そういう計算とは関係なく、自治体は何とかして滞納状態にある税金の回収にエネルギーを注いできます。
全国いずれの自治体もほとんど例外なく税収減に悩んでいるので、近年の税の滞納に対する態度はとても厳しいものがあります。
具体的には、5月31日の納期限に納付されなかった場合、まず督促状が届きます。
さらに催告書が届き、差押事前調書が届き、差押調書が届き、そして実際の差押が始まることになります。
これが一般的な差し押さえに至るスケジュールですが、自治体によって対応は異なります。
一例として、山梨県の恐るべき滞納処分のスケジュール表をご覧ください。
山梨県は人口80万人前後の小さな県ですが、滞納者に対する回収業務(取り立て)にたいへん力を入れています。
予算規模とかは関係なく、予算の大きいところも小さいところも、いずれも財政難であることに変わりはないので、全国的にどの自治体も対応が厳しくなっています。
山梨県のHPには下記の恐ろしい文面も記載されています。
この差押えは、民事上の強制執行とは異なり、裁判所の許可を経ることなく県(徴税職員)が自ら執行できることになっています。また、法律では事前の差押予告通知も必要とされていません。
更には、住居等への捜索などの権限も与えられています。
この畳み掛けるような文体は何なのでしょう。
恐ろしいです。
血も涙もない感じがします。
実際、山梨県の滞納処分のスケジュール表はこの文面通りになっています(だから怖い)。
とは言え、ここに書かれているのは「いざとなればこういう事もできる」ということであって、すべての自治体がこの文面通りの滞納処分を行っているのではありません。
(※)それは温情で、ということではなくて、ただ単に予算・人員が限られているからですが。
実例を見てみましょう。
平成29年度の静岡県の「自動車税滞納整理強化期間」は平成29年11月から平成30年2月でした。
愛媛県と県下全市町村では毎年11月と12月を「市町村税・県税一斉滞納整理強化期間」としています。
大阪府は例年12月を「税収確保重点月間」として取り組んでいます。
埼玉県滑川市は11月~1月を「滞納整理強化期間」と定めています。
三重県鳥羽市は10月と11月が「差し押さえ強化月間」です。
全国平均で見ると10月~12月に集中しています。
しかし、なかには山梨県のように突出して早い段階(8月)から差し押さえに突入する自治体もあることを知っておいてください。
それから、上記のように、各自治体では税の滞納者に厳しい滞納処分を行っていますが、その年度内にすべての滞納者から全額滞納額を回収できているのではありません。
未回収の税金はどうしても発生しています。
やはり予算・人員に限りがあるからです。
実際に延滞金が発生するのはいつから?
恐ろしい差し押さえの話はこのくらいにして、もう一度前の話しに戻ります。
つまり、自動車税・軽自動車税の納期限を過ぎてもすぐに延滞金は発生しない、という話です。
延滞金は1日経過するごとにいくら(あるいは何%)という単純なものではなく、ちょっと入り組んだ計算方法で算出され、その結果、実質的に2ヶ月~4ヶ月程度は猶予期間となっている、というわけです。
どの自治体を例にとっても同様ですが、ここでは京都府から引用させていただきます。
1.納期限の翌日から1箇月を経過する日までの期間
平成30年1月1日から平成30年12月31日までは年2.6%で計算します。
2.納期限の翌日から1箇月を経過した日から納付の日までの期間
平成30年1月1日から平成30年12月31日までは年8.9%で計算します。
(京都府HPより抜粋 2018年)
また、納税通知書の裏面にある注意書きをまとめると次の端数処理をして計算されます。
・滞納税額(最初の税額)が2,000円未満の時は延滞金はかかりません。
・滞納税額に1,000円未満の端数があるときは、端数を切り捨ててから計算します。
・算出した延滞金が1,000円未満は延滞金はかかりません。
・算出した延滞金に100円未満の端数があれば切り捨てます。
いくつかの端数処理の中で特にこの赤字の一行が大きな意味を持っていて、税額にもよりますが、たいてい8月以降にならないと実際の延滞金が発生しないのです。
では、わたくしMr.乱視のトヨタ・プレミオで計算してみましょう。
延滞金が発生するボーダーラインは何月何日かを絞り込みます。
自動車税39,500円(排気量1500cc~2000ccクラス)
【延滞金=滞納税額 × 延滞日数 × 延滞金率 ÷ 365】
最初の1ヶ月:
39,000×30×2.6%÷365=83
7月の1ヶ月間:
39,000×31×8.9%÷365=294
8月の1ヶ月間:
39,000×31×8.9%÷365=294
9月の1ヶ月間:
39,000×30×8.9%÷365=285
10月の4日間:
39,000×4×8.9%÷365=38
83+294+294+285+38=994
以上、10月4日に納付する場合は、延滞金が994円になりますが、延滞金額が1,000円未満の場合は切り捨てる端数処理の規定により、結果として延滞金はかかりません。
自動車税39,500円(排気量1500cc~2000ccクラス)
最初の1ヶ月:
39,000×30×2.6%÷365=83
7月の1ヶ月間:
39,000×31×8.9%÷365=294
8月の1ヶ月間:
39,000×31×8.9%÷365=294
9月の1ヶ月間:
39,000×30×8.9%÷365=285
10月の5日間:
39,000×5×8.9%÷365=47
83+294+294+285+47=1003
10月5日に納付する場合は、延滞金が1,003円となり、延滞金額が1,000円未満の場合は切り捨てる端数処理には該当せず、かつ延滞金額の100円未満を切り捨てる規定により、最終的な延滞金の額は1,000円となります。
納付すべき税額合計:39,500円+1,000円=40,500円
ご覧頂きましたように、自動車税・軽自動車税の実質的納期限はかなり後になることをご理解いただけたと思います。
とは言え、わたしのトヨタ・プレミオの例がすべての税額に当てはまるわけではありません。
延滞の利率と1,000円未満を切り捨てる規定は同一ですから、39,500円より税額が低い場合は納期限がより後ろになりますし、税額が高い場合はより前に来ます。
ですからあくまでも目安として考えていただきたいと思います。
それから、繰り返しになりますが、いくらしばらくの間は延滞金が発生しないといっても、放置しておくと、いきなり差し押さえになることもあり、しかもそれは法的に抗えない、という点もお忘れにならないでいただきたいです。
自動車税・軽自動車税の詳しい内容はこちらのページを参考にしてください。
下記の記事も参考になさってください。
ご覧いただきありがとうございました。