車のエアコン|温度と燃費の関係|効率のいい設定温度は?
家庭用のエアコンは冷房と暖房を同じ方式で作動させていますが、車のエアコンでは、冷房と暖房は異なる仕組みになっています。
車の冷房は、エンジンの動力でコンプレッサーを作動させ、冷媒を使って冷気を生み出します。いっぽうで、車の暖房は、エンジンの冷却水の廃熱を利用しています。
冷房の温度と燃費の関係
そこで、まず車の冷房について。
一般的に、車の冷房の設定温度は25度前後が最も効率がいいといわれています。しかし、この点はあまり神経質になる必要はないと思います。
23℃に設定しても、27度に設定しても、いずれにしても10%前後燃費が悪くなるのが車の冷房です。それなら、できるだけ快適な温度で過ごしたほうがいいと思います。
ただ、そうはいっても少しでも燃費を良くしたいという場合は、設定温度よりも「内気循環」か「外気導入」かを意識したほうがいいと思います。
「内気循環」のスイッチを入れると、車内の空気はずっととどまり続けます。すると、冷房で冷えた空気をさらにまた冷房で冷やすことになるので、冷房効率は高まり、結果としてコンプレッサーの負担は減って燃費が少し良くなります。
「外気導入」だと、常時外から暖かい空気が侵入することになるので、なかなか設定温度にまで冷えず、設定温度になるまではコンプレッサー全開の状態になるので、燃費は落ちます。
とはいえ、これも道路状況次第です。トンネルに入ったり、前を黒煙を上げて走る車がいたりする場合は「内気循環」でいいと思いますが、複数の乗員が乗り合わせていたりしたら、冷房効率も大事ですが新鮮な空気の方がより重要でしょう。状況次第です。
暖房の温度と燃費の関係
次に、車の暖房について。
車の暖房システムは、エンジンの冷却システムを利用しています。エンジンは常時熱を発する機関で、放置しておけば温度はどんどん上昇していき、やがてオーバーヒートで停止してしまいます。
そうならないように、エンジンの周りには血管のように冷却水が張り巡らされていて、異常な温度になることを防止しています。
そのため、エンジンの冷却水は常時90度前後の熱を持った状態にあります。この熱を持った冷却水ですが、夏場に冷房を使うような時期には、ラジエーターに戻ってそこで冷却され、空気中に放熱されるだけです。つまり捨てているわけです。
しかし、冬場はそんなもったいないことはしません。熱を持った冷却水をヒーターコアと呼ばれる熱交換器に引き込み、そこで液体の熱を気体の熱に変換し、温まった空気をブロアーで車内に吹き出す、これが車の暖房システムです。
だから、車の暖房に関しては、設定温度を何度にしようと燃費には一切影響しません。もともと捨てていた熱を捨てずに有効活用しているだけです。空気中に放熱されるはずの熱を車内に送り込んでいるだけで、何度に設定しようと燃費には一切悪影響を与えません。
また、「内気循環」でも「外気導入」でも燃費には影響を与えません。
風量には注意
車の冷房にしても暖房にしても、風量設定には注意が必要な場面があります。燃費とは関係ありませんが、バッテリー上がりと関係するので、念のために書かせていただきます。
たとえば、10キロとか20キロといった渋滞にはまった場合、あるいは、駐車場などに車中泊するような場合、エンジンをアイドリング状態にしたまま冷房や暖房を付けっぱなしにすることがあると思います。
そんなケースでは、冷房や暖房の風量をできるだけ小さいものにすべきです。エアコンの風を送るブロアーの消費電力はけっこう大きいからです。
車が順調に走行しているときは、オルタネーターもしっかり働いて電気を作り出しているので、バッテリーの電力も安定しています。しかし、アイドリング状態ではオルタネーターの発電量は少なくなり、消費される電力分を常時補充できない状態になり、結局バッテリー上がりを起こしたりします。
すでにバッテリーが弱っているような場合は、特にこうした現象が発生しやすくなります。
したがって、アイドリング状態で冷房や暖房を使用する場合は、風量を最低にしておいたほうがいいと思います。その際に、夏なら設定温度をちょっと低めに、冬ならちょっと高めにすることで、風量が少ない分を補ってください。
燃費に関係することではありませんが、ご参考までに。
下記の記事も参考になさってください。
ご覧いただきありがとうございました。