車のエアコン|燃料の節約に「温度」は関係ありますか?
車のエアコンは、冷房と暖房で仕組みが異なります。
夏場の冷房では、温度設定を低くすれば燃料の消費が多くなり、温度設定を高くすれば燃料の消費が少なくなります。
だから、冷房の場合は燃料の節約に温度設定は関係してきます。
一方で、冬場の暖房では、温度設定と燃料の消費量は無関係です。何度に設定しても燃費への影響はありませんから、たとえば節約のために低めの温度で我慢するようなことをする必要はありません。
車のエアコンの仕組み
車のエアコンの仕組みですが、冷房は家庭用のエアコンと同じ方式で、コンプレッサーが作動し、冷媒が空気を冷やして、冷えた空気が部屋に吹き出されます。
その際、コンプレッサーを作動させるのはエンジンの動力を利用します。電気自動車や一部のハイブリッド車では電動のコンプレッサーもありますが、水冷式エンジンの車ではエンジンの動力でコンプレッサーを動かしています。
最新のオートエアコンなどでは、温度設定によってコンプレッサーの作動の仕方を細かく制御しているので、たとえば20度に設定したらコンプレッサーはフルに作動し、28度に設定したら一部だけ作動するか作動したり停止したりを繰り返す、というような動きをします。
そして、そうしたコンプレッサーの作動の仕方は、エンジンへの負荷のかかり方が変わることを意味します。20度でキンキンに冷やすときは燃料をより多く消費することになります。
一方で、車の暖房システムはエンジン冷却水の廃熱を利用しています。
常時熱を発するエンジンは、放置しているとどんどん加熱していき、やがてオーバーヒートを起こして車が完全に停止してしまいます。そうならないように、エンジンの周りには血管のように冷却水が張り巡らされています。
エンジン周りを廻った冷却水は、当然熱を持ちます。車を走らせて20分とか30分経過すると常時90度前後の熱を持ちます。この熱を持った冷却水をヒーターコアと呼ばれる熱交換器に引き込み、そこで液体の熱を気体の熱に変換します。
暖められた気体をブロアーで車内に送り出す、これが車の暖房システムです。
だから、暖房の温度を高く設定しても低く設定しても、燃料の消費量には一切影響を与えません。暖房に関しては温度設定は燃料の節約とは無関係です。
冷房時の節約には「内気循環」が有効
車のエアコンは、冷房時の温度設定は燃料の節約に大いに関係しますが、暖房時の温度設定は節約とは無関係です。
なお、冷房時の節約として、温度設定を高めにすること以外に、「外気導入」と「内気循環」のうち「内気循環」の方に切り替えると、燃料の節約に貢献します。
「内気循環」とは、⇒が丸い輪を描いた図柄のスイッチです。車内の空気が換気されずに車内にとどまったままになる設定です。
冷房時にこの設定にすると、いったん冷えた空気をさらにまた冷やすことになるので、より早く設定温度にまで下がり、コンプレッサーの負荷は少なくなり、結果的に燃料の消費量を節約することができます。
もちろん、「内気循環」は一定の条件内でしか使用すべきではありません。乗車している人が複数人の場合は、車内の空気を新鮮に保つことの方が燃料の節約より優先されるべきで、この場合は「外気導入」にすべきでしょう。
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