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セレナe-POWERで「元を取る」には何年必要?
※トップ画像はセレナe-POWER AUTECH(Wikipedia様より)
(当記事を書いているのは2021年9月20日ですが、現時点の日産セレナの最新型は2016年に発売されたC27型です。当記事はこのモデルに関する記述です)
日産のミドルサイズミニバンであるセレナはe-POWERとマイルドハイブリッドのいずれかを選択できます。
たとえば、マイルドハイブリッドのX、G、ハイウェイスターに対してe-POWER X、e-POWER G、e-POWER ハイウェイスターといったラインナップになっています。
その際、たとえば上記の3グレードでは、それぞれ42万円、41万円、54万円の差額が出ます。
つまり、e-POWERのお値段が平均すると45万円くらいになるのです。
では、燃費性能の差はどうかと言うと、実際の使用時の燃費に近いWLTCモードで、e-POWERが18.0km/ℓ、マイルドハイブリッドが13.2km/ℓで、1リットル当たり4.8kmほどe-POWERの方が優れています。
すると、セレナの購入を検討している人は誰でも次のようなことをお考えになるのではないでしょうか。
「e-POWERの方が燃費がいいから維持費は安くなる。でも、車両価格が45万円ほど高い。高いけれど毎月のガソリン代は節約できる。では、何年乗ったら初期費用45万円を回収できるのか。つまり何年で元が取れるのか」
その答えですが、平均的な走行距離で平均的な運転の仕方をする前提で計算すると、距離にして11万キロあたりでトントン、つまり「元を取る」ことになります。
年数にすると10年~15年の間でしょう。
「いや、そんなに長く乗らないよ」
という方もいらっしゃるでしょうが、しかし、たとえば8万キロ走行した時点でセレナe-powerを売却または下取りに出したとして、その際の価格はマイルドハイブリッド車よりe-POWER車の方が確実に高く売れるはずです。
新車時の45万円の差額はつかないでしょうが、仮に10万円~15万円高く売れたとしても、その差額分のガソリン代が手放す最後の段階で回収できることになります。
このようにトータルで考えると、e-POWER購入時の初期費用の差額約45万円はほとんどのケースで回収可能であり、つまり「元を取る」ことができると思います。
乗り比べれば迷いは吹っ飛ぶはず
上記はまさに計算上の話ですが、実際にセレナe-POWERの購入を検討している方は、それが新車であればディーラーさんで試乗するでしょう。
e-POWERのセレナとマイルドハイブリッドのセレナを乗り比べてみれば、恐らく100人中97人くらいは元を取れるとか取れないといった問題は吹っ飛んでしまうはずです。
走りが全然違うからです。
マイルドハイブリッドは「もっさり」または「モタモタ」した車です。※今お乗りの方、ゴメンナサイ
e-POWERは俊敏です。
超速いとまではいきません。何しろ1790kg(e-POWERハイウェイスターVアーバンクロム)の車両重量なので、ノートe-POWERと同等の加速とはいきません。
それでも、ミニバンとしては十分な発進加速、中間加速を発揮します。
ちなみに、セレナe-POWERはノートe-POWERのユニットをベースにしていますが、最高出力で7%アップ、最大トルクで25%アップ、駆動用リチウムイオン電池の容量が20%アップしています。
ディーラーでは必ずしも両車を乗り比べることができないケースもありますが、一度e-POWERに試乗すれば元を取るとか取らないといった問題は蒸発して、ごく単純に「e-POWERが欲しい」という気持ちになるはずです。
後は、見積もりを取り、そしてその総額が高いことにのけぞるでしょうが、頑張ればけっこう値引きしてくれるので、そこでどう判断するか、という流れになると思います。※セレナは付けたい装備がある場合に他のオプションとセットでないと付けられないといった売り方をしているので、見積もり総額はとんでもない金額になるのが普通です
e-POWERはハンドリングや乗り心地・乗り味が違う
セレナe-POWERは運転席の下に駆動用バッテリーを載せています。
バッテリーを固定するために標準の骨格に追加する形で補強材が入っています。
恐らくこの補強材がストラットタワーバーのような効果を発揮しているらしく、e-POWERのハンドルの感触はマイルドハイブリッドの感触より明瞭感が高く、ほとんどの人が運転していて楽しいと感じるはずです。
どんな車でもハンドルを切れば切った方向に車は曲がります。でも、ただ漠然と曲がる車もある一方で、ハンドルの切り角と車の動きがよりダイレクトに感じられる車もあります。
セレナe-POWERはバッテリーの台座が結果的にボディーの補強材となって、ハンドリングにいい結果をもたらしています。
また、やはり駆動用バッテリーがボディ重量を増し、しかも増加した重量はボディの端っこではなくほぼ中央部にかかっているので、乗り心地の安定感・安心感につながっています。
それから、e-POWERにはアクセル操作一つでアクセルとブレーキの両方を兼ねるというe-POWER Drive(ワンペダルドライブ)があります。※回生ブレーキを利用する装置
このワンペダル操作は、駐車の際のバック操作などを除いて、通常走行では文字通りワンペダルだけで完結できる優れモノです。
戸惑うのは最初だけで、慣れれば操作が楽しくなるだけでなく、長距離走行時には疲労軽減につながります。
e-POWERは7人乗り限定です。
このページのテーマは「セレナe-POWERは元を取れるか」というものですが、ここまでお話ししてきたように、十分元は取れます。
元を取れるだけでなく、e-POWERは積極的に選ぶべき優位点があり、それが走行性能や運転感覚といったものです。
ただし、もしも「8人乗車できないと困る」という方がいたら、残念ながらe-POWERは諦めるしかありません。
マイルドハイブリッド車には、2列目の中央に「スマートマルチセンターシート」という便利機能があって、普段は3人掛けのベンチシートで、折りたためば便利なマルチテーブルになり、さらにセカンドシートのアームレスト代わり、ティッシュボックスが2個収まる収納スペース代わりとなり、さらにはフロントシートの間にスライドさせることで2列目をキャプテンシートのように使うことも可能になるという、超多才なものが標準装備されています。
けれども、e-POWERの場合、すでに触れたように1列目の下に駆動用バッテリーを搭載しているので、この「スマートマルチセンターシート」が付けられず、結果として7人掛けになってしまうのです。
この点は選択の余地がないのでご注意ください。
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ご覧いただきありがとうございました。