ハブベアリングとは|ガタで異音・放置はNG|交換費用・交換時期|車検基準

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第1章 ハブベアリングとは|役割と仕組み

タイヤ交換をするとき、車体側から突き出た数本のボルトにタイヤをはめ込んでナットを締めます。

このボルトの根本部分には、車輪をスムーズに回転させるための重要な部品が組み込まれています。

それがハブベアリングです。

ハブベアリングは、「ハブ」と呼ばれるホイール取り付け部分と、「ナックル」と呼ばれる車体側の支持部材の間に組み込まれています。

内部には金属製の小さなボールが多数入っており、これがグリスで潤滑されながら回転することで、タイヤと車体の間に生じる摩擦を減らしています。

この仕組みのおかげで、タイヤは滑らかに、かつ安定して回転できます。

ハブベアリングは前後左右の4箇所すべての車輪に、1つずつ組み込まれています。

つまり1台の車には合計4個のハブベアリングがあることになります。

なお駆動輪については、ハブベアリングがドライブシャフトを支える役割も担っています。

そのため駆動輪側のハブベアリングは、非駆動輪よりも負荷が大きくなりやすい傾向があります。

部品名役割
ハブホイールを取り付ける部分
ナックル車体側の支持部材
ハブベアリングハブとナックルの間で回転を支える軸受
項目内容
設置箇所前後左右4輪すべて
1台あたりの個数4個
駆動輪の追加役割ドライブシャフトの支持
この章のまとめ
ハブベアリングタイヤの回転を支える軸受部品
設置数1台につき4箇所
内部構造金属ボール+グリスによる潤滑
駆動輪の特徴ドライブシャフトも支えるため負荷大
引用元
グーネット「ハブベアリングの交換時期と費用|異音の原因と対処法も解説」(中古車情報サイト、2025年8月)
MOBY「ハブベアリングとは?不具合の症状・寿命や交換時期・費用を紹介」(車検・メンテナンス情報サイト)

第2章 ガタ・異音のサインと原因

ハブベアリングが劣化すると、走行中に特有の異音が発生します。

代表的なのは「ゴー」「ゴロゴロ」「ゴリゴリ」「ガタガタ」といった音です。

この異音は、走行速度が上がるほど大きくなる傾向があります。

目安として、時速50kmを超えたあたりから車内でもはっきり聞こえるようになるケースが多いとされています。

ハンドルを切ったときに音の大きさが変化する場合、前輪側のハブベアリングを疑う目安になります。

ただしこれはあくまで目安であり、ドライブシャフトなど他の部品の不具合でも似た異音が出ることがあります。

正確な判断のためには、整備工場での点検が必要です。

自分でできる簡易点検の方法

ジャッキアップしてタイヤを浮かせた状態で、タイヤの上下を手で持ってゆすります。

このときガタつきを感じたら、次にブレーキペダルを踏んだ状態で同じ点検を行います。

ブレーキを踏むとガタが消える場合は、ハブベアリングのガタである可能性が高いといえます。

逆にブレーキを踏んでもガタが消えない場合は、ロアアームのボールジョイントなどサスペンション側の不具合が疑われます。

ただしジャッキアップ作業には転落・落下の危険がともなうため、無理に自分で行わず整備工場に依頼することをおすすめします。

ガタ・異音が発生する主な原因

ハブベアリングは通常の使い方では、めったに壊れることはありません。

しかし、いくつかの条件が重なると劣化が早まります。

原因内容
経年・走行距離使用にともなう自然な摩耗
グリスの劣化高温・水分の侵入・経年劣化による潤滑性能の低下
ローダウンキャンバー角の変化でベアリングへの負担が増加
大径ホイール・スペーサー荷重条件の変化による負荷増大
錆・腐食水分の侵入による内部の劣化
異音の種類疑われる状態
ゴー・ゴロゴロ初期〜中期の摩耗
ゴリゴリ摩耗の進行
ガタガタ(ハンドル操作時)ガタの発生、摩耗が相当進行
この章のまとめ
代表的な異音ゴー・ゴロゴロ・ゴリゴリ・ガタガタ
点検の目安速度時速50km前後から顕著に
簡易点検法ブレーキを踏んでガタの有無を再確認
主な原因経年劣化・ローダウン・グリス劣化・錆
引用元
国土交通省「ホイール・ベアリングの整備不足による車両不具合について」(自動車事故報告規則に基づく調査資料)
グーネット「ハブベアリングの交換時期と費用|異音の原因と対処法も解説」(2025年8月)

第3章 放置するとどうなるか|事故リスク

ハブベアリングの異音やガタを放置してはいけません。

軽い違和感の段階であれば、まだ大きな問題に見えないかもしれません。

しかし内部では、確実に摩耗が進行しています。

摩耗が進むと、ベアリング内部の隙間からグリスが漏れ出します。

グリスが減ると潤滑性能がさらに低下し、摩耗がいっそう加速します。

この悪循環が進んだ先にあるのが、ベアリングの焼き付きです。

焼き付きが起きると、車輪が正常に回転しなくなります。

最悪の場合、走行中にタイヤが脱落したり、車両火災につながったりする恐れもあります。

国土交通省の実験データ

国土交通省は、グリスの劣化がホイールベアリングの潤滑性能に与える影響について、再現実験を行っています。

この実験では、グリスを完全に空にした状態で走行させたところ、走行開始からわずか1分程度で焼き付きが発生し、車輪がロックしました。

また、グリスに異常がある状態では、正常時と比較してベアリングの温度が2〜13度上昇するという結果も得られています。

実際に事業用自動車の分野では、ホイールベアリングの整備不足に起因する車両火災や走行不能の事故が、国への報告事例として存在します。

異音や違和感に気づいた時点で速やかに点検することが、こうした重大事故を防ぐ唯一の方法だといえます。

なお、ハブベアリングの交換そのものは、いわゆる骨格部位の修理とは異なり、単独での部品交換が事故歴・修復歴に直結するものではありません。

ただし、ハブベアリングに極端な摩耗やガタが生じている車両は、過去に縁石への強い衝突や足回りへの大きな衝撃を受けている可能性も否定できません。

中古車の購入時にハブベアリングの異音を指摘された場合は、その部品単体の問題として片付けず、周辺部品の状態も含めて確認しておくと安心です。

放置後の経過状態
初期軽い異音・ガタ
中期グリス漏れ・摩耗加速
末期焼き付き・走行不能・車両火災の恐れ
この章のまとめ
放置の結末焼き付き・タイヤ脱落・車両火災
実験結果グリス空の状態で約1分で焼き付き
温度上昇正常時より2〜13度上昇
修復歴との関係単独交換は修復歴に直結しない
引用元
国土交通省「グリス劣化によるホイール・ベアリングの潤滑性能の低下に係る再現実験」(調査報告資料)
国土交通省「ホイール・ベアリングの整備不足による車両不具合について」(自動車事故報告規則に基づく調査資料)

第4章 車検とハブベアリングの関係|保安基準と点検方法

ハブベアリングの状態は、車検の合否にも関わってきます。

道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第89条(走行装置)では、走行装置に関する基準が定められています。

この条文の第2項二号には、「ホイール・ベアリングに著しいがた又は損傷があるもの」は基準に適合しないと明記されています。

つまり、著しいガタや損傷があるハブベアリングは、車検不合格の対象になり得るということです。

ただしこの基準は、あくまで「著しい」異常が対象です。

軽微な摩耗や初期段階のガタ・異音であれば、外観確認や触診が中心の検査で見逃されてしまうこともあります。

つまり車検に通ったからといって、ハブベアリングに問題がないとは限りません。

24か月点検との違い

いわゆる24か月点検(法定点検)では、車検よりも詳細な点検が行われます。

ジャッキアップした状態でタイヤの遊びを確認し、ハブ部を手で回した際の抵抗感や異音、ガタつきの有無まで細かくチェックされます。

そのため、車検だけに依存せず、法定点検のタイミングでしっかり見てもらうことが重要です。

ユーザー車検における注意点

自分で陸運局へ車を持ち込んで検査を受ける、いわゆるユーザー車検の場合も注意が必要です。

検査項目の中にはサイドスリップ検査という、車がまっすぐ走れるかどうかを調べる検査があります。

ハブベアリングの不具合が重症化していると、この検査で不合格になる可能性があります。

検査の種類チェックの深さ
車検目視・触診が中心、著しい異常のみ対象
24か月点検(法定点検)ジャッキアップでの詳細な遊び・異音確認
ユーザー車検サイドスリップ検査で間接的に発覚する場合あり
根拠条文内容
保安基準第9条第1項走行装置の強度等に関する基準
細目告示 第89条第2項二号ホイール・ベアリングの著しいがた・損傷を不適合と規定
この章のまとめ
根拠条文細目告示第89条第2項二号
車検の限界軽微な異常は見逃されることがある
24か月点検車検より詳細なチェックが行われる
ユーザー車検サイドスリップ検査で間接的に発覚も
引用元
国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第89条(走行装置)(2025年1月10日時点)
若林自動車工業有限会社「車検時のベアリング異音の原因は?整備と交換時期を徹底解説」(2025年7月12日)

第5章 交換時期と交換費用の最新相場

ハブベアリングの交換時期は、走行距離10万km前後が一般的な目安とされています。

ただしこれはあくまで目安であり、走行距離が7万km〜8万km程度でも不具合が出るケースは珍しくありません。

車種による差も大きく、もともとベアリングが小さい軽自動車やコンパクトカーでは、早めに劣化が進むこともあります。

ローダウン車や大径ホイールを装着している車は、ベアリングへの負荷が大きいため、通常より早く交換時期を迎える傾向があります。

交換費用の最新相場

ハブベアリングの交換費用は、車の構造によって大きく異なります。

ベアリング単体で交換できるタイプの場合、1箇所あたり工賃込みで15,000円〜30,000円程度が目安です。

一方、近年の車に多いハブAssy(ハブと一体化した圧入タイプ)の場合は、ベアリング単体での交換ができないため、部品代が高くなります。

この場合、工賃込みで1箇所あたり約40,000円前後になることもあります。

実際の修理実績データを集計すると、一般パーツ利用時の交換費用は平均で31,830円程度という結果も出ています。

なお、4輪すべてを同時に交換するケースは多くありません。

実際には片側1〜2箇所の交換で済むことがほとんどです。

タイプ費用目安(1箇所)
ベアリング単体交換型15,000円〜30,000円
ハブAssy一体型約40,000円前後
平均相場(実績集計)約31,830円
交換時期の目安状況
10万km前後一般的な目安
7万〜8万km早期劣化のケース
それ以下ローダウン・大径ホイール装着車など
この章のまとめ
交換時期の目安走行距離10万km前後
単体交換型の費用15,000円〜30,000円
Assy一体型の費用約40,000円前後
平均相場約31,830円
引用元
カープレミア「ホイールハブベアリングの故障」(部品交換費用実績データ、修理工場監修記事)
smart-info「ハブベアリング交換費用の全解説!車種別コストと節約方法」(2024年4月30日)

第6章 交換の依頼先|DIYは避けるべき理由と特定整備との関係

ハブベアリングの交換は、足回りの安全性に直結する重要な作業です。

そのため、DIYでの交換はおすすめできません

ベアリングの脱着には、油圧プレスなどの専用工具が必要です。

圧入の際には、新品のベアリングを傷つけないよう慎重な力加減も求められます。

さらに、締め付けトルクの管理やグリスの扱いなど、車種ごとの正確な知識も欠かせません。

これらの作業を誤ると、走行中の異音やブレの原因になるだけでなく、最悪の場合はホイールが外れる事故につながる恐れもあります。

費用を抑えたい気持ちは理解できますが、安全性を最優先に考えるなら、整備工場やディーラーへの依頼が確実です。

特定整備制度との関係

自動車の整備には、特定整備という制度があります。

これは2020年4月1日に、それまでの「分解整備」という名称から改められた制度です。

特定整備の対象には、走行装置のうち「フロント・アクスル」「前輪独立懸架装置(ストラットを除く)」「リア・アクスル・シャフト」を取り外して行う整備が含まれます。

ハブベアリングの交換だけであれば、アクスルシャフトの取り外しを伴わない場合、特定整備の対象外となるケースが多いといえます。

ただし車種や構造によっては、アクスルシャフトの取り外しをともなう作業になることもあります。

この場合は特定整備に該当するため、認証を受けた整備工場でなければ作業を行うことができません。

依頼先を選ぶ際には、認証整備工場かどうかを確認しておくと安心です。

依頼先ごとの特徴

依頼先は主に、ディーラー、一般の整備工場、カー用品店の3つに分かれます。

依頼先特徴
ディーラー純正部品での確実な対応、費用はやや高め
整備工場柔軟な部品選択、費用相談がしやすい
カー用品店対応可否は店舗による、事前確認が必要
DIYが難しい理由内容
専用工具油圧プレスなどが必須
トルク管理誤ると脱輪リスク
特定整備該当の可能性無認証での作業は法令違反となる場合も
この章のまとめ
DIY交換専用工具と専門知識が必要なため非推奨
特定整備2020年4月に分解整備から名称変更
該当条件アクスルシャフト等の取り外しを伴う場合
依頼先の選び方認証整備工場かどうかを確認
引用元
グーネット「特定整備とは?分解整備との違いや認証条件について解説!」
京都府自動車整備振興会「自動車の特定整備」(道路運送車両法施行規則第3条関係)

 

ご覧頂きありがとうございました。