画像:三菱自動車
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アクティブヨーコントロール(AYC)とは
アクティブヨーコントロール(AYC)は、三菱自動車のランサーエボリューションやアウトランダーなどに搭載されている装置の名称です。
デファレンシャルギア(差動装置)の動作を、機械式ではなく電子油圧制御することにより、旋回性能とトラクション性能を向上させるために開発されました。
そもそもデファレンシャルギアですが、これはオープンデフとかデフギアとかデフと呼ばれます。
フルタイム4WDの車では、通常、フロントとセンターとリアの3か所に使用されます。センターのデファレンシャルギアは前輪と後輪をつなぐプロペラシャフトの中間に取り付けられています。
デファレンシャルギアの働きは、たとえば前輪で考えると、コーナリング中に発生する左右のタイヤの回転差を調節する役目を果たします。コーナリング中は当然外側のタイヤのほうが回転量が多くなりますが、左右が直結していたら動きがぎくしゃくしてしまいます。
そこで、間にデファレンシャルギアを置き、数多くのギアの時間差による動きで左右の回転差を調節します。
ところが、このデファレンシャルギアには弱点があって、片輪がスピンした場合にはもう片輪に駆動力が伝わらなくなってしまい、車が力強く前に進まなくなるのです。
そこで開発されたのがリミテッドスリップデフ(LSD)です。これにより、片輪が空転した際にももう片輪に駆動力が伝わり、力強いコーナリングが可能になります。
しかし、リミテッドスリップデフにはロスがあります。エンジンの駆動力がロスなくタイヤに伝わらないのです。※FRでドリフト走行するには最適の装置ですが
このロスを極限まで切り詰め、エンジン駆動力をロスなく最大限タイヤに伝えるために開発されたのが三菱自動車のアクティブヨーコントロール(AYC)です。
ランサーエボリューションやアウトランダーなどに採用されています。
アクティブヨーコントロール(AYC)の仕組み・構造
三菱自動車のアクティブヨーコントロール(AYC)は、ハンドル角・ヨーレイト・駆動トルク・ブレーキ圧・車輪スピードなどをセンサーで検知し、これを元にその時点での車両挙動を正確に把握します。
つまり、ドライバーの操作意図を瞬時に読み解くわけです。これを元に、ドライバーの意図に忠実な車両挙動となるよう左右のタイヤに伝わる駆動力・制動力を油圧ポンプの働きでクラッチ制御します。
これにより、高い旋回性能と走行安定性を実現しています。
具体的には、たとえば左にコーナリングする際、内側(左)のタイヤの駆動力を、油圧クラッチの働きにより、外側(右)のタイヤに移動させます。すると、外側のタイヤは通常のデファレンシャルによる駆動配分の2倍の駆動力を得ることになり、パワフルなコーナリングが可能になります。
たとえばリミテッドスリップデフがついたデファレンシャルギアの場合、エンジンからの駆動力が100とすると、原則、これを左右のタイヤに均等に分配し、片輪がスリップしても、本来もう片輪に分配されるはずの50の駆動力を確保してタイヤを回転させます。
しかし、アクティブヨーコントロールの場合、エンジンからの駆動力の100を、外側のタイヤに全部配分させてしまうのです。クラッチの操作でこれは実現します。これにより、LSDの場合に比べてより強力なパワーでコーナーを走り抜けることが可能になります。また、4WDに特有のコーナリング中のぎくしゃくした感じがなくなり、FRかそれ以上の高速コーナリングが可能になります。
ただし、アクティブヨーコントロール(AYC)にも弱点があり、それは、この装置はアクセルONでしか作動しないことです。アクセルを戻した状態ではこの装置は作動しないので、コーナリングの状況によっては、この装置があっても何のメリットも得られないケースが出てきます。
スーパーアクティブヨーコントロール(スーパーAYC)の仕組み・構造
アクティブヨーコントロール(AYC)の上記のような弱点を克服したのがスーパーアクティブヨーコントロール(スーパーAYC)です。
アクティブヨーコントロール(AYC)の場合は、プロペラシャフトの入力部がごく一般的なベベルギア・デファレンシャルでしたが、これをスーパーアクティブヨーコントロール(スーパーAYC)ではプラネタリーギア(遊星歯車)に変更しました。
これにより、アクセルOFF時であっても、電子制御を介入させることで、外側のタイヤに駆動力を移動配分することが可能になり、どのような状況でも力強い駆動力とトラクションを発揮したコーナリングが可能になっています。
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