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目次
「ビッグモーター上場廃止」とネット上に広まっている理由を調査しました。
【2023年7月18日追記】「国交省、ビッグモーター聴取へ 保険金請求巡る不正で」(時事通信)
斉藤鉄夫国土交通相は18日の閣議後会見で、中古車販売大手のビッグモーター(東京)が自動車保険金を不正に受け取っていたとされる問題に関し、「道路運送車両法に関する疑いがないか、今後同社からヒアリングを行う」と明らかにした。(時事通信)※この一報が入っただけで、詳細はまだ不明。でも、たぶんかなり大掛かりな事件に発展するはず。今年の4月頃一度騒がれたときは大手メディアは沈黙していましたが、今回はそうでもないようです。国交大臣が動くのは大きなサインだと思います。
【2023年7月13日追記】
タイトル | 損保大手、修理代不正水増しのビッグモーターに過払い保険金返還請求[新聞ウォッチ] |
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掲載日 | 2023.07.13 |
出典 | レスポンス |
内容 | ・中古車販売大手のビッグモーターによる自動車保険の保険金不正請求が全国で横行していた問題で、損保ジャパンなど損害保険大手がビッグモーターに対し、事故車両の修理代として過払いした保険金の返還を請求していることが分かった。 ・不正はビッグモーターの外部弁護士による調査報告書が認定。 ・損保ジャパンや三井住友海上火災保険など損保大手は、サンプル調査で不正と判断した分の過払い金返還を先行して請求。 ・報告書で不正と認められた分も今後、返還請求を本格化するほか、契約者が必要のない保険を使って下がった等級は本来の水準に戻す手続きを進めるという。 |
ヤフコメ欄 | 1. 個人でやったら変換(返還)より先に逮捕される内容なのに企業なら返金が先でいいのか?結局は保険会社もビッグモーターもズブズブな関係であったけど、公になったからこうしただけ。不正の影響を受けたのは購入利用者だけ。 2. ビッグモーター最近 店舗増やし過ぎてたから怪しいと思った 盛者必衰ですね |
【2023年7月7日追記】「中古車ビッグモーター、修理の4割で保険金過大請求疑い」(日本経済新聞)
項目 | 詳細 |
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事件の概要 | 中古車販売大手ビッグモーターが事故車の修理に伴う保険金を水増し請求し、過大に保険金を受け取っていた。 |
不正行為の割合 | サンプル調査で4割超。全国の整備工場から無作為に抽出した約3000件の修理案件を調査した結果、1000件以上で不適切な行為の疑いがあった。 |
具体的な不正行為 | 車体に故意に傷を付けたり、不要な部品交換や塗装をしたりしていた。実施していない架空の作業を計上し、損保会社に報告していた。 |
契約者への影響 | 修理代が高額になった結果、本来つかわずに済んだ保険を使うことで自動車保険の等級が下がり、契約者は割高な保険料を支払っている可能性がある。 |
損保会社の対応 | 契約者の等級を是正し、払いすぎた保険料を返還するため、ビッグモーターに対してより詳細な調査と情報開示を求める。保険金の過払い分の返還請求を検討する。 |
不正行為の原因 | 整備工場に不合理な目標設定を強いていたことや、上司の裁量による不適切な降格処分があった。コンプライアンス(法令順守)意識が低く、ガバナンス(企業統治)が機能不全に陥っていた。 |
不正行為の発覚 | 2022年3月ごろ、内部告発で表面化した。 |
ビッグモーターの対応 | 公式ホームページで調査委員会から報告書を受け取ったと公表。「事態を重く受け止め、企業体質の改善に努める」としている。 |
損保側のビッグモーターに対する位置づけ | ビッグモーターを優良事業者として、契約者から事故の連絡があった際には修理工場として紹介していた。 |
問題の焦点 | 不正行為をただせなかった損保側の責任と、保険金の水増し請求が自動車修理業界の慣行となっていないか。 |
【2023年5月9日追記】
ちょっと前までビッグモーターではタイヤ保証サービスを提供していました。このサービスは、2年間の契約期間中にタイヤが1本でもパンクすれば、工賃のみで全4本の新品タイヤに交換できるというもの。しかし、元社員による告発で、ビッグモーターがこの保証サービスを悪用して、パンクしていないタイヤに穴を開け、不正に保険金を取得していたことが明らかになりました。報道によると、穴を開ける方法についての指南動画も存在していました。手口の一例として、高級タイヤをパンクしたことにして保険金を請求し、安い新品タイヤを装着し、差額を売り上げに計上していたこともあったとされています。(「くるまのニュース」「MOBY」「FRYDAY digital」)
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(ここから記事本文)
「車買取〇年連続日本一」のフレーズで有名なビッグモーターですが、ネット上には、
「ビッグモーター 上場廃止 理由」
といった検索語が飛び交っています。
結論を言うと、ビッグモーターはそもそも株式上場をしておらず、したがって「上場廃止」はしていません。
では、なにゆえ上場廃止などという言葉が流通しているのか?この点をプチ調査しました。
上場廃止したのは子会社化したハナテンの株式
2015年10月にさかのぼりますが、ビッグモーターは傘下のハナテンにTOB(株式公開買い付け)を実施して、完全子会社化すると発表し、その後2016年1月にハナテンは上場廃止となっています。(日本経済新聞)
ビッグモーター自体はどの証券取引所にも株式を上場していないにもかかわらず、あたかもビッグモーターの株式が「上場廃止」になったかのような流言が広まっているのには、理由があるようです。
それは、度重なる不祥事に関する報道です。
不祥事に関する報道
ビッグモーター関連の主な不祥事報道には以下のものがあります。
インサイダー取引
ハナテンの上場廃止に伴う混乱の中、2016年12月9日、ハナテン株のインサイダー取引をしたとして、大阪府在住の80代男性の会社役員に217万円の課徴金納付命令が出され、同様の行為をした大阪府在住の70代の会社員男性にも177万円の課徴金納付が命じられました。
男性らに利益を得させる目的で情報を伝えたハナテンの役員の50代男性に対しては171万円の課徴金納付を命じるよう勧告されています。(日経QUICKニュース)
「罰金」疑惑
2016年12月4日、ビッグモーター社内で自動車保険の契約について月間目標額が定められ、目標を下回った販売店の店長が上回った店長に現金を支払う慣行があったことが産経新聞に報じられました。(産経新聞)
水増し請求疑惑
「ビッグモーターと取引のある損害保険ジャパン、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険の3社は2022年2月以降、修理費の請求書類を各社それぞれ数百件抽出してサンプル調査を実施。すると、全国に33ある整備工場のうち25の工場で、水増し請求が疑われる案件が合計80件超見つかったという。」(東洋経済)
不正車検
2023年3月28日、「車検で必要な検査の一部を実施せず、58台の車両を不正に合格させたとして、九州運輸局は中古車販売大手ビッグモーターの熊本浜線店(熊本市中央区)に対し、民間車検場の指定を取り消し、検査員2人の解任を命じた。」(ライブドアニュース)
※公平を期して記しますが、いわゆる「ペーパー車検」の不正はトヨタ系列の販売店でも連続して発覚しているので、クルマ業界の「流行」なのかもしれませんね。逆に言うと、しっかり検査しないで「合格」を出した車が、特に問題もなく走り続けるほど今の車が丈夫に作られているのであれば、車検の期間を長くする方向で法律改正したほうがいいのでは?
車買取トラブルについて
ビッグモーターには、上記のような不祥事報道の他に、とりわけ車買取にまつわるトラブルが口コミで流布しています。
キャンセル料を請求された
「一括査定で申し込んでビッグモーターで買取してもらうことになり、車の買取契約書にサインと捺印をしてしまったのですが、キャンセルしようとすると、損害賠償としてキャンセル料が発生します、とビッグモーターの担当の方にいわれました。」
⇒⇒車を中古車店に引き渡していないのであれば、中古車店には何の損害も発生しないので、法的にキャンセル料は発生しません。たとえ引き渡していても、直後のキャンセルならキャンセル料は発生しないのが普通です。
二重査定(契約後に減額請求される)
ビッグモーターに関する数ある口コミの中で最も言及が多いのが、この二重査定です。車をビッグモーターに買い取ってもらう契約を結び、入金前のこともあれば入金後のケースもありますが、あとから「ここがへこんでいるから減額します」「あそこが壊れているから減額します」といった減額の請求をされるという事例が多数あります。
減額請求の理由として多いのが次の4点です。
- 事故歴が発覚した
- 水没車であることが発覚した
- 機関が正常に動かない
- メーターその他に改造がある
もしも売買契約成立後に減額請求されたらどう対応すればいいのでしょう?法律はどうなっているのでしょう?
契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)
契約不適合責任とは、以前は瑕疵担保責任と呼ばれていたものです。2020年4月の民放改正によって生まれたものです。(民法566条、民法570条)
契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)とは、下記の記載の通りです。
売買契約に基づいて買い主へ引き渡された目的物に、引渡しを受けたときには分からなかった瑕疵(欠陥やきず)があった場合、売り主が買い主に対して負う責任をいう。たとえば中古車を購入したところ、購入時には容易にみつけることができない不具合がエンジンにあり、買い主(購入者)が修理しなければならなかった場合には、買い主は売り主に対して修理に要した費用を損害賠償として請求することができる。(コトバンク)
上記の説明は、どちらかというと、私たちが中古車を購入した際の説明になっています。しかし、このページでは、私たちが買取店に車を売る際の話をしています。
私たち一般ユーザーが企業に車を売る際の話なので、法の運用はどちらかというと私たちに寄りそう方向になると思います。
そもそも、中古車店が車を買い取る際には、「査定」が行われます。「査定」をして車の状態を確認した上で契約を締結しているのですから、車を売る側によほど悪質な隠蔽等がなければ、上記の契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)を問われることはありません。
逆に言うと、「よほど悪質な隠蔽等」がある場合に限り、減額請求またはキャンセルに応じなければなりません。
具体的には、事故歴があったり、目に見えない部分で不正な改造が行われているようなケースでは、減額やキャンセルに応じなければならないでしょう。
しかし、故意に事故歴を隠していない場合であれば、減額に応じる必要はないでしょう。たとえば、中古車で購入した車で、それまでずっと事故歴のない車と認識して乗り続けてきたようなケースです。
契約成立後の減額請求は「悪質な車買取店の常套手段である」
私たちが車を手放す場合、最近は車一括買取サイトなどを利用することが多いと思います。こうしたサイトでは、複数の買取店が少しでもライバル社より高い査定額を出し、自社を利用するよう働きかけます。
そこで高い査定額が出れば、当然、売る側は他のライバル社に断りの電話を入れ、高い査定額の店と契約する流れになります。
買取店の側からすると、高い査定額を出すことで、いわば「ライバル社を蹴落とす」わけです。そうやって車を引き取り、契約書まで交わした後から、
「あのですね、ここがダメだから、〇万円減額します」
と言い出すのです。
この時点では、売る側としては、様々な手間や精神的エネルギーを考慮すると、もはや引き返せない地点に立っているわけです。不本意であっても減額要求をのまざるを得ない心境に追い込まれるわけです。
まさしく、こうなることを狙っているのが、悪質な車買取業者です。最初からこうした流れを見込んでやっているとしか言いようがない。
ビッグモーターがこうした業者であるかどうかは私は明言できません。様々な情報を集めて、みなさんがご判断ください。(・・・とうまく逃げる私)
契約成立後のトラブルを避けるための予防策
車の買取契約が成立した後で減額請求されたりするトラブルはしばしば発生しています。こうしたトラブルを防止するためには、事前に次のような点を注意し、トラブル防止に努めていただきたいと思います。
- 事故歴の正確な開示:事故歴がある場合、その詳細を買取店に正確に伝えましょう。事故歴が発覚した場合、減額請求がされる可能性があります。
- 水没歴の確認と報告:水没歴があるかどうかを事前に確認し、買取店に報告しましょう。水没車であることが後から発覚すると、減額請求や契約解除の原因となります。
- エンジンや機械類の動作確認:エンジンやトランスミッションなどの機械類が正常に動作するか確認し、異常があれば買取店に報告しましょう。正常に動かない場合、減額請求が発生することがあります。
- 車検証や整備記録の提示:車検証や整備記録を買取店に提示し、車両の履歴や状態を把握させましょう。これにより、後からトラブルが起こることを防ぐことができます。
- 車の外観や内装の状態確認:車の外観や内装に傷や破損がないか確認し、買取店に報告しましょう。隠れた傷や破損が発覚した場合、減額請求がされることがあります。
- 複数の買取店で査定を受ける:適正な価格を把握するために、複数の買取店で査定を受けましょう。これにより、減額請求やキャンセルの請求が不当であることを判断しやすくなります。
- 事前に契約条件を明確化する:減額請求やキャンセルの請求が発生する条件を事前に確認し、納得できる範囲で契約しましょう。
- 評判の良い買取店を利用する:インターネットや口コミを利用して、評判の良い買取店を選ぶことでトラブルを回避できる可能性が高まります。
いろいろ予防策を挙げましたが、⑧の「評判の良い買取店を利用する」が最も手っ取り早い予防策かもしれませんね。
まとめ
<「ビッグモーター上場廃止」とネット上に広まっている理由を調査しました。>のテーマで解説してきました。
ビッグモーターは上場廃止していません。そもそも株式を上場していない会社です。「上場廃止」があったのは子会社化したハナテンです。これが「ビッグモーター上場廃止」という文言が広まっている理由の1つと思われます。
それにしても、悪い口コミの多い会社ですね。ブログ記事のリサーチでこんなに悪口のオンパレードを目にするのは久しぶりです。
ご覧いただきありがとうございました。