【記事丸わかり】
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車を廃車(永久抹消・一時抹消)する際は、ナンバープレートを返還・処分・返納しなければなりません。
ただし、もう乗らない車のナンバープレートを返還・処分・返納しないでいても、それ自体は違法ではありません。
違法ではありませんが、自動車税(軽自動車税)が課税され続けます。
では、もし何年間もナンバープレートの返還・処分・返納をしないで放置しておいたらどうなるのでしょう?
このページではナンバープレートを返還・処分・返納する手続き方法と、そうした手続きをしないで放置しておいた場合について詳しく解説しています。
しばらくお付き合いいただくと幸いです。
乗らなくなった車のナンバープレートは返還・処分・返納する
車を廃車する場合はナンバープレートを陸運局(軽自動車は軽自動車検査協会)で返還・処分・返納する必要があります。
これは法的な義務です(返納義務)。
「道路運送車両法 第20条 自動車登録番号標の廃棄等」に規定されています。
第二〇条 登録自動車の所有者は、次の各号のいずれかに該当するときは、遅滞なく、当該自動車登録番号標及び封印を取り外し、国土交通省令で定める方法により、これを破壊し、若しくは廃棄し、又は国土交通大臣若しくは第二十五条の自動車登録番号標交付代行者に返納しなければならない。
一 第十四条第二項において準用する第十条の規定により自動車登録番号の通知を受けたとき。
二 第十五条第一項の申請に基づく永久抹消登録、第十五条の二第一項の申請に基づく輸出抹消仮登録又は第十六条第一項の申請に基づく一時抹消登録を受けたとき。
三 第十五条第三項の規定により永久抹消登録のあつた旨の通知を受けたとき。
ここで言う「廃車」とは、一時抹消と永久抹消のことです。
一時抹消とは、車は残したまま、ナンバープレートをいったん返還・処分・返納し、一時的に公道を走れない状態にする手続きです。
永久抹消とは、車を解体処分し、ナンバープレートを返還・処分・返納し、2度と公道を走れない状態にする手続きです。
これら手続きをする際は、ナンバープレートの返還・処分・返納は義務です。
ナンバープレートの返還・処分・返納は廃車手続きの流れの中で行う
ナンバープレート前後2枚だけ持参すれば、それで簡単に陸運局で返還・処分・返納できるのではありません。
一時抹消あるいは永久抹消の一連の諸手続きの最後の段階として、ナンバープレートの返還・処分・返納は位置づけられています。
ご自分でナンバープレートの返還・処分・返納をやろうということであれば、下記の手続きの流れを参照してください。
各手続きに関して、詳細にわかりやすく解説しています。
イメージを掴む感じでリラックスして御覧ください。
各手続きの最後には「まとめ」があります。
返還・処分・返納をしないで放置していたらどうなる?
仮に、車をすでに使用しなくなっているのに、そのまま放置し、ナンバープレートを返還・処分・返納しないでいたらどうなるかについて、ちょっと触れておきたいと思います。
結論を言いますと、法的には特に問題ありません。
ただ、ちょっと厄介なことになります。
以下、この辺の事情を詳しくお話します。
(ケース1)職権抹消
使用しなくなった車を放置しておけば、当然、車検が切れます。
車検が切れた状態で、ナンバープレートをつけたまま、そのまま何年も放置しても、法的にペナルティーを受けることはありません。
よく「車を使用しなくなったらナンバープレートを返却しないと罰則がある」という記述を見かけますが、そんなことはありません。
たぶん、一時抹消や永久抹消の手続きをする場合はナンバープレートの返却が必須だ、という意味で言っているのでしょう。
その意味では、確かにその通りです。
「道路運送車両法 第20条 自動車登録番号標の廃棄等」の条項に触れますから。
しかし、車検切れでそのままナンバープレートを放置しておいても、公道を走るのでない限り、「道路運送車両法」の範囲には入らず、ノープロブレムです。
問題は税金です!
自動車税が問題です(軽自動車なら軽自動車税)。
乗らなくなった車にいつまでもナンバープレートをつけたままにしておくと、自動車税は毎年課税されることになります。
車検が切れていても、ナンバープレートが返還・処分・返納されなければ、行政側からするとそのナンバープレートは「生きている」ことになりますから、毎年4月1日時点の「所有者」(「所有者」がディーラー名やローン会社名の場合は「使用者」)に自動車税が課税されることになります。
ただし、永遠に課税され続けることはありません。
車検が切れてから3年~5年くらいすると、運輸支局の権限でその車を強制的に抹消処分します。
これを「職権抹消(しょっけんまっしょう)」といいます。
つまり、本来なら、車を使用しなくなったらその車のオーナーが一時抹消なり永久抹消の手続きをすべきなのですが、それを怠っているとみなして、行政側がオーナーに成り代わって抹消手続きをしてしまうという制度です。
だから、ある意味、ありがたい制度でもあります。
自動車税(軽自動車税)の課税が何年分も累積することを防止してくれるのですから。
しかし、放置したツケは後からやってくる
放置していた車を再度車検を通し、また公道を走れるようにするにしても、あるいは、解体処分して2度と乗れないようにする手続きをするにしても、いったん職権抹消された車は、かなりやっかいな手順を踏まなければなりません。
この辺の詳細はこちらのページを参考にしてください。
(ケース2)自動車税課税保留制度
すべての自治体ではありませんが、車検の有効期間が終わり、継続検査の手続きもされず、一時抹消や永久抹消の手続きもされずに、まさに放置されていると思われる車両に対して、自動車税の課税を「保留」する措置が取られています。
これを自動車税課税保留制度といいます。
これはすべての都道府県が導入している制度ではありません。
一部自治体です。
また自動車税課税保留制度そのものも、内容が厳格にルール化されているものではなく、運用面で自治体間による違いがあります。
ネットの質問サイトとか口コミ、体験談など、車検切れの車に対する自動車税の扱いに関しては、実に多種多様な言説が渦巻いていて、いったい何が本当の答えなのか困惑してしまう経験がおありかと思いますが、それはこうした事情があるからです。
※車検切れで放置してある車に対して、「職権抹消」の措置が取られるのか、「自動車税課税保留制度」の対象になるのか、明確な規定はないようです。各自治体によって対応が異なります。
自動車税課税保留制度の骨子
自動車税課税保留制度はすべての自治体で導入している制度ではありません。
また導入している自治体間においても、運用面で様々な違いがあります。
したがって、まずは<共通点>を見ておきたいと思います。
車検の有効期間が終了した車両に対し、自動車税の課税を一時的に凍結する、つまり「保留」にするのですが、放置していた車両に車検を通して再度乗り始める場合、あるいは永久抹消等の廃車手続きが行われた場合、車検が有効であった期間に発生していた滞納分は決して放棄しません。
まあ、これは当たり前の話で、特に書き留めるようなことではないのですが、しかし、この点しか共通点はないのです。
あとはバラバラで、運用方法は<ゆらぎ>の連続です。
<ゆらぎ1>
「車検切れの車には課税を保留にする」という場合の「車検切れ」の判断を、前年の12月31日現在とする自治体もあれば、年度末の3月31日現在とする自治体もあれば、それ以外もあります。
<ゆらぎ2>
車検切れの車にこの制度を適用する際、自治体が一方的に保留状態にするケースが多いけれど、車の所有者に連絡を取って理由書のようなものを取り付けた上でこの制度を適用する自治体もあります。
<ゆらぎ3>
たとえば車検切れから5年経過した車に車検を通す場合、車検の前にいったん一時抹消登録をしてから車検を通した場合、保留にしていた車検切れ以降の滞納分をご破算にしてくれる自治体もあれば、3年分ほどしっかり徴収する自治体もあります。
(※)繰り返しますが車検が有効であった期間の滞納分はすべての自治体が徴収権を放棄しません。つまり滞納分を完納してからでないと車検は通せません。また廃車することはできますが、廃車手続きをした1ヶ月から1ヶ月半後くらいに「滞納分の自動車税を払ってください」という通知が送られてきます。
<ゆらぎ4>
これはwikipediaに記載されている例ですが、自治体間のゆらぎというよりも一人の担当者によるゆらぎと呼ぶべき運用例があって、普通の車にはこの制度を適用するけれど、高級車や年式の新しい車などには適用しないで課税し続ける、という担当者の嫉妬心からではないかと疑われるようなケースもあります。
<ゆらぎ5>
車検切れと判断した車にはすべて一律に課税を保留する自治体がある一方で、納税者の顔色を見るかのような気色の悪い対応を取る自治体があり、その自治体では、車検切れの車にも保留制度を適用せずに納税通知書を送付し、その通知書で真面目に納税した人には、翌年度も車検切れであることを承知の上で納税通知書を送りつける、といった対応をしておきながら、その一方で、納税通知書を無視して納付しないでいる人に対しては、2年とか3年といった一定期間が経過した後に、経過した期間をさかのぼって保留制度を適用するという、信じがたい運用をしている自治体があります。
希望すれば古いナンバーを持ち帰れるようになりました!
2017年(平成29年)4月3日に新しい制度がスタートしました。
それはナンバープレート記念所蔵と呼ばれる制度で、上記廃車手続きの際、本来なら返還・処分・返納すべきナンバープレートを、希望すれば記念の品として家に持ち帰ることができる制度です。
原則無料です。
この制度ができた理由は明白です。
それはラグビーワールドカップを記念したナンバープレート、オリンピック・パラリンピックを記念したナンバープレート、ご当地ナンバープレートなどなど、今後続々と個性的なナンバープレートが発行されるなか、近い将来、そうしたナンバープレートを記念として残したいという要望が確実に見込まれるためです。
もちろん、コレクションとして持ち帰れるナンバープレートは、そうした記念のナンバープレートだけでなく、ごく普通のペイント式のナンバープレートや字光式のナンバープレートも対象です。
軽自動車のナンバープレートもOKです。
二輪車や原付きなどは対象外ですが。
この制度に関する詳細はこちらを参考にしてください。
ナンバープレート関連の下記記事も参考にしていただけると幸いです。
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ご覧頂きありがとうございました。