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車のエアコンは冷房と暖房で仕組みが異なります。ですから、夏と冬ではちょっとだけ使い方が異なります。
車のエアコンの仕組み
車のエアコンでは、冷房に関しては家庭用のエアコンと同じ機構です。コンプレッサーの働きでエアコンガス(冷媒)を液体から気体、気体から液体に変化させ、その変化する際の熱の変化を利用して空気を冷やします。
一方で、冬の暖房は全く別の機構です。車のエンジンは常時熱を発して、放っておくと異常な高温になってオーバーヒートを起こします。そこでエンジンの周りに冷却水を血管のように張り巡らせて、エンジンの熱を冷却水が引き取ります。
この温まった冷却水の熱を利用するのが車の暖房です。本来はラジエーターで冷却して空気中に捨ててしまうはずの熱を、捨てずに暖房として使うのです。
だから、水冷式のエンジン車の場合、冷房は燃費を悪化させる要因になりますが、暖房は燃費に影響しません。
そもそも車のエアコンに付いている「A/C」ボタンは、コンプレッサーを作動させて冷房と除湿を行うためのスイッチです。夏場の冷房時はONにする必要がありますが、冬場の暖房時はOFFでも車は温まります。
車のエアコンの使い方:夏の冷房時の使い方
オートエアコンでもマニュアルエアコンでも、夏に冷房を使うときは「A/C」スイッチをONにし、自分の好みの温度設定にします。
オートエアコンなら、あとは機械が自動で風量調整をしてくれます。
マニュアルエアコンの場合は自分で風量調整します。
いずれにしても、これで夏場のエアコンは作動します。
車のエアコンの使い方:冬の暖房時の使い方
冬場の暖房時は、温度設定をすれば、あとはオートエアコンなら風量を自動で調整してくれますし、マニュアルエアコンなら自分で風量調整します。
これで冬場のエアコンは作動します。
「A/C」のスイッチは基本的にOFFのままで大丈夫です。暖房はエンジンの冷却水の廃熱を利用しているので、コンプレッサーを作動させる必要がないからです。
ただし、フロントガラスが曇ったり結露したりする場合は「A/C」をONにすると除湿機能が作動して曇りや結露が取れます。その際、デフロスターも併用すると効果的です。
しかし、車内を温めるために「A/C」スイッチをONにする必要はありません。OFFのままでも車内は温まります。
電気自動車・ハイブリッド車のエアコン
電気自動車やハイブリッド車は、「車を動かす」という目的だけを考えると、とても効率のいいシステムが出来上がりつつあります。
しかし、乗員の快適性を確保するためには、夏の冷房と冬の暖房は必要不可欠です。そして、この冷房と暖房を加味すると、電気自動車やハイブリッド車はとたんに非効率な部分が浮き彫りになります。
電気自動車にはそもそもエンジンがないので、エンジン冷却水の廃熱を利用することができず、代わりにPTCヒーターと呼ばれる電熱線で空気または水を温めることで車内の暖を取る仕組みを採用している車種もありますし、あるいは、化石燃料を使った家庭用のFFファンヒーターや温水暖房機を装着している車種もあります。
ハイブリッド車の場合は、方式は様々ですが、多くの車種ではエンジンの冷却水の廃熱を利用しています。つまり普通の水冷式エンジン車と同じです。
しかし、普通のエンジン車の場合は、冷却水の廃熱を暖房に再利用する場合もしない場合も、とにかく車を動かすためにエンジンを回しますが、ハイブリッド車ではモーターで車を動かす余裕が十分ある場合でも、暖房のためには冷却水を常時温める必要があるので、本来ならエンジンを止めていられるはずなのにただ冷却水を温めるためだけにエンジンを回す時間帯が発生します。
その結果、ハイブリッド車の多くは夏の冷房より冬の暖房の方が燃料消費量が多くなり、航続距離が短くなるケースが発生しています。
電気自動車とハイブリッド車に関しては、決定打となる暖房方式がまだ確立されていないのが現状です。各社試行錯誤している状況です。
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下記の記事も参考になさってください。
⇒⇒車の暖房を早く効かせる方法は?温まるのが遅いんですが・・・
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