エンジンフラッシングをすることで逆に故障するケース
(※)トップ画像はオートバックス松阪店さんのHPより
エンジンフラッシングはエンジン内部を洗浄することであり、洗浄するのだからメリットしかないように思われますが、逆にデメリットになるケースがあります。
たとえば、長期間エンジンオイルの交換をしないで放置している場合など、エンジン内部にはヘドロ状のオイルが漂っています。
この状態でフラッシングオイルあるいは添加剤などを入れてエンジンをフラッシングした場合、汚れ切ったヘドロ状の液体をエンジンの隅々にまで行き渡らせるという皮肉な結果になり、かえってエンジンの故障の原因を作ることがあります。
良かれと思ってやったことが結果としてデメリットになるわけです。
しかも、このような過程を経てエンジンが故障した場合は、かなり高くつきます。
つまり、オーバーホールするしかない結果となり、いっそのこと車を乗り替えたほうがいいということになりがちです。
エンジンフラッシングは下記のように基本的に「エンジンにいいこと」をする作業です。
でも、すでにエンジン内部が相当汚れ切っているようなケースでは、慎重にやらないと故障の原因となるケースもあり、事前にディーラーやカー用品店のスタッフさんに相談したほうがいいと思います。
そもそもエンジンフラッシングとは?
エンジンフラッシングとはengine flushingのことで、flushingの基本形であるflushは「洗い流す」という意味です。
つまり、エンジン内部をきれいに洗浄することをエンジンフラッシングと言います。
具体的な洗浄方法には主に3種類あります。
- 添加剤でフラッシング:通常のエンジンオイル交換の直前に添加剤を入れてしばらく走行し、汚れを落としたエンジンオイルを新しいエンジンオイルに交換します
- フラッシングオイルでフラッシング:通常のエンジンオイル交換の際に、まず古いエンジンオイルをすべて抜き取り、そこにフラッシングオイルを注入してしばらく走行します。走行してエンジン内部をきれいに洗浄したらそのフラッシングオイルを抜き取り、そこに新しいエンジンオイルを入れます
- フラッシングマシンでフラッシング:ディーラーやカー用品店などにある専用のフラッシングマシンを使います。古いエンジンオイルを抜き取ってから洗浄液(オイル?)をエンジン内部で循環させて汚れを落とし、最後に新しいエンジンオイルを入れます
一般的には全く不要な作業です
日頃からエンジンオイルの交換をメーカーの指定通りに行っていれば、エンジン内部が走行に支障が出るほど汚れることは有り得ず、したがってエンジンフラッシングはまったく不必要な作業と言えます。
というのも、エンジンオイルそのものが、エンジン内部の潤滑油としての役割だけでなく、エンジンの洗浄の役割を担っているからです。※エンジンオイルはその他にエンジンの冷却の役割も担っている
普通にオイル交換していればエンジン内部は十分きれいに保たれます。
エンジンフラッシングが有効なケース
では、どんなケースでエンジンフラッシングが有効かと言うと、スポーツ走行などでエンジンを酷使するケースです。
エンジンの高回転域を連続して使用するスポーツ走行を重ねると、一般的な実用車としての使用に比べて、エンジンは短時間で重度に疲弊します。
こうしたエンジンをケアするために、エンジンフラッシングはとても有効な方法です。
また、しばらく乗らずに放置していた車、走行距離の多い中古車を購入した場合など、エンジン内部をリフレッシュしてまた活躍してもらうためにエンジンフラッシングは大いに効果を発揮します。
ただし、すでに触れたように、放置車や過走行車にもいろいろ程度の違いがあって、エンジン内部が度を超した傷みようである場合、エンジンフラッシングが逆に故障を招くことがあります。
良かれと思ってやったことが逆にデメリットとならないように、こういうケースではまずカー用品店やディーラーでプロのスタッフさんの診断を受けることが重要です。
その上で、エンジンフラッシングにゴーサインが出たら、思いっきりエンジン内部をきれいにしてあげてください。
水を得た魚のように車が喜ぶはずです。
ご覧いただきありがとうございました。