乾式クラッチと湿式クラッチの違い
クラッチは摩擦による発熱がつきもので、これをどのように冷却するかは大きな技術的テーマです。
その際、装置をむき出しにして空気で冷却する方式が乾式クラッチです。
一方で、装置がオイルに浸かっていて、オイルにより熱の冷却をする方式が湿式クラッチです。
車でもバイクでもこうした違いは同一ですが、ただし、バイクは装置が丸裸ですが、車はエンジンルーム内に収まっています。
これによる違いは、主に音として現れます。
バイクは乾式と湿式で、特に音の発生の仕方で大きな違いが出てきます。
バイク:乾式クラッチのメリット・デメリット
レース仕様のバイクには乾式クラッチを使ったバイクが多いです。以下、乾式クラッチのメリット・デメリットをご案内します。
(乾式クラッチのメリット)
- 冷却効果が高く、オイルに浸かっていないためにパワーロスが少ない
- クラッチの切れている時とつながっている時の感触がはっきりしていてメリハリがある
- オイルに浸かっていない分だけメンテナンスが楽
(乾式クラッチのデメリット)
- オイルに浸かっていない分、摩擦による金属の摩耗が早く、耐久性に劣る
- 乾式特有の乾いた金属音が発生してうるさいが、走りに特化した車両ではこの音が魅力になることもある
- 半クラッチの状態を作りづらく、パッとつながりパッと離れるという感じで、レースならともかく、日常的な使い勝手がいいとは言えない
バイク:湿式クラッチのメリット・デメリット
そもそもバイクのクラッチはほぼすべてが湿式クラッチです。以下、そのメリットとデメリットをご案内します。
(湿式クラッチのメリット)
- 常にオイルに浸かっているので、金属の摩耗が少なく、耐久性に優れている
- 半クラッチが簡単にできるので日常的な使い勝手がいい
- 乾式クラッチのような金属音はなく、静粛性に優れている
(湿式クラッチのデメリット)
- 乾式に比べてダイレクト感が薄く、駆動力をロスしている
- オイルを定期的に交換する必要があり、けっこう高い
自動車:乾式クラッチのメリット・デメリット
比較的最近の自動車で乾式クラッチと湿式クラッチの比較に最適な車種があって、それはフォルクスワーゲンゴルフ(7代目)です。
ゴルフのトランスミッションはDCT(フォルクスワーゲンではDSGと呼ぶ)で、機構としてはマニュアルミッションそのものですが、これをオートマチック制御しているので、AT限定免許で運転できます。
そして、このDCTには乾式クラッチのものと湿式クラッチのものがあって、それぞれ特徴が異なります。
(乾式クラッチのメリット)
- コストが安い
- 湿式より燃費性能がいい
(乾式クラッチのデメリット)
- オイルで冷却しないので発熱しやすく金属の摩耗が早い。それゆえ耐久性が悪い
- 発進時などのクラッチのつながり方が湿式にくらべてギクシャク感がある
自動車:湿式クラッチのメリット・デメリット
(湿式クラッチのメリット)
- 6.5リットルの冷却用オイルを使用しているので、金属摩擦が発生しにくく、ハイパワーエンジンにも対応できる
- 乾式より半クラッチが得意で、発進時などのつながり方がなめらか
- オイルに浸っているので金属摩耗が少なく、耐久性に優れている
(湿式クラッチのデメリット)
- コストが高い
- 6.5リットルのオイルを定期的に交換する必要があり、かなり高い
現在私が乗っている車は7代目ゴルフのコンフォートライン(1.2リットル)ですが、乾式クラッチを採用しています。ダイレクト感が高く、燃費もいいのですが、発進時にギクシャクした感じが少しだけあります。
下記の記事も参考になさってください。
ご覧いただきありがとうございました。