画像:トヨタSuper CVT-i・Wikipediaより
CVTのエンジンブレーキ
トランスミッションがMT(マニュアル)やトルクコンバーターによるATではなく、無段変速機CVTの場合でも、エンジンブレーキはちゃんと効きます。
エンジンブレーキとは、その時点で設定されているミッションの位置で強制的にエンジンを回し、その結果エンジンにかかる負荷が抵抗となって車を減速させることを言います。エンジンの動力でタイヤが回るのではなく、反対に、タイヤの回転でエンジンを回すことになります。
したがって、CVTでもエンジンブレーキは効きます。
ただし、コンピュータ制御の方法によって、エンジンブレーキの効き具合にはけっこう車種によるばらつきがあります。
効かない場合と効きすぎる場合
長い下り坂に差し掛かった場合、それまでDレンジで走っていたものを、そのままDレンジで下っていくと、たいていの車はエンジンブレーキが効かないと思います。
厳密に言うと、効かないのではなく、効きが弱いと思います。
なだらかな下り坂なら何の問題もありませんが、急角度の下り坂だと、どんどんスピードが上がってしまいます。
この場合は、DレンジからSとかB(メーカーにより名称が異なる)などのレンジに入れ替えると、CVTのプーリーが間隔を調節してスチールベルトが移動し、マニュアルミッションの3速とか2速に相当するギアに入り、その結果エンジンブレーキによって車は減速していきます。
ただし、このあたりの制御はクルマによって異なります。賢いコンピュータ制御の車なら、ドライバーがシフトチェンジしなくても、自ら判断して下のギアにチェンジするものもあります。
一方で、CVTの場合には、エンジンブレーキが効きすぎて困るシーンがけっこうあります。
渋滞で、ちょっと進んで、また止まり、また進んで、また止まる・・・というような交通状況の場合など、アクセルを踏んで前に進むときはいいけれど、アクセルを離したとたんに急激なエンジンブレーキがかかって、体が前につんのめることがあります。
これは、マニュアルミッションの車で言えば、1速で走り出し、1速に入れたままアクセルを離した際の反応に相当します。
ここでも、賢いコンピュータ制御がなされた車なら、アクセルを離したら車が空走するような走りになるはずです。
もしも、アクセルを離したらエンジンブレーキがまともに効きすぎる車の場合、故障ではなく、それはその車の特性あるいは「宿命」なので、直しようがないと思います。慣れてください。
エンブレの多用は故障の原因?
山道を走る機会が多い方の場合、エンジンブレーキを多用することも多いと思います。
しかし、エンジンブレーキを頻繁に使ったからといってCVTが故障することは考えにくいことです。普通に使い続ければいいと思います。
ただし、特に急な下り坂に差し掛かった時など、エンジンブレーキを使用するとうなるような音や高周波の金属的な音が発生することがあります。
この場合、うなるような音は特に問題ないと思いますが、高周波の金属的な音には注意が必要です。
CVTのスチールベルトが劣化している可能性があるからです。
チェック方法は、車を停止させ、ギアをニュートラルにした状態でエンジンを空ぶかしします。空ぶかしでCVTから同様の金属的な音が聞こえなければ、それはCVTの劣化あるいは故障ではないと思います。
しかし、そこでも異音が発生すれば、ディーラーなどに診断してもらった方がいいと思います。早めに見てもらえば、たとえ故障であったとしても安い修理代で済むかもしれません。
燃費
なお、道路状況に応じて適切にエンジンブレーキを使用すれば燃費の向上も期待できます。うまく活用してください。
下記の記事も参考になさってください。
ご覧いただきありがとうございました。