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OHV(オーバーヘッドバルブ)エンジンとは:構造
まず、OHVはOver Head Valve(オーバー・ヘッド・バルブ)の略です。ピストンの往復運動で出力を発生するレシプロエンジンのうち、4ストロークエンジンの一形式です。
吸排気機構がシリンダーヘッドにある形式のことをOHVと呼びます。そのため「頭上弁式」とも呼ばれます。
ちょっとややこしい話になりますが、吸排気バルブがシリンダーヘッドにあるということは、SOHCもDOHCも同様なので、これらすべてがOHVエンジンということになり、実際に広い意味ではその通りなのですが、でも、そこがちょっと違います。
一般的な区別では、OHVエンジンはシリンダーヘッドにカムシャフトを持たないエンジンのことを指します。吸排気バルブはシリンダーヘッドにあるけれど、カムシャフトはヘッドにないエンジン、これがOHVと呼ばれます。
では、カムシャフトはどこにあるかというと、何と、シリンダーブロックのところにあって、そこからプッシュロッドと呼ばれるクレーンのような形状の棒を吊り上げ、ロッカーアームを押し下げることでバルブを開閉させる機構です。
そして、SOHCやDOHCはシリンダーヘッドにカムシャフトがある形式のことを言い、OHVとは区別されます。
OHVのメリット
OHV(オーバーヘッドバルブ)エンジンは、燃焼室を小さくすることができ、表面積が小さくなるので、高い圧縮比を得ることが可能になります。これは前身となるサイドバルブエンジンの欠点を補っている点です。
また、熱の放出が少なく、ノッキングが起こりにくい点も特徴です。
そのため、サイドバルブエンジンに比べて燃費性能が良くなります。ただし、後のSOHCやDOHCに比べると劣ります。
OHVのデメリット
OHV(オーバーヘッドバルブ)エンジンは、エンジンの高回転化が困難です。
なぜなら、往復運動するパーツが多いからです。バルブジャンプやバルブサージングといった現象が起きやすく、許容回転数を上げることが構造的に困難な形式です。
やはり、プッシュロッドのようなトリッキーな機構にやや難があるものと思われます。
音の特徴
OHVの歴史は古いのですが、だからと言ってクラシックカーにしかないエンジン形式ではありません。
日本車では2代目スバルレオーネ(1979~1984年)のEA81型が最後の量販車ですが、アメリカではシボレーコルベットやカマロのV8、クライスラー300CのHEMIエンジンは現役のOHVエンジンです。
現役です。
プリウス乗りからすれば失神しそうなとんでもない燃費性能ですが、音の魅力はとんでもなく高いのだと思います。バケツでガソリンをばらまくような車であっても、脳髄を病的状態にするようなエンジン音の魅力には勝てないのかもしれません。
バイクではハーレーのOHVも現役バリバリです。
ミルウォーキーエイト(MILWAUKEE-EIGHT)とエボリューション(EVOLUTION)はOHVエンジンです。
ドコドコと鼓動のように空気を震わせ、聴くものを依存症にしてしまう魔性のミュージックだと思います。
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ご覧いただきありがとうございました。