画像:Wikipedia様より
まず名称について
OHCはOver Head Camshaftの略であり、SOHCはSingle Over Head Camshaftの略です。
この両者は同じエンジン形式です。OHCとSOHCは全く同じもので、そもそもSOHCという名称はこの世に存在しませんでした。
しかし、後にDOHC(Double Over Head Camshaft)が世に出たことから、カムシャフトが2本ではなく1本であるという意味で、OHCをSOHCと呼ぶようになったのです。
いわゆるレトロニム(再命名)です。パソコンはただパソコンと呼ばれていましたが、ノート型が出現したことでデスクトップパソコンと呼ばれるようになりました。
電話もただ電話と呼ばれていましたが、携帯電話が出現したことで固定電話と呼ばれるようになりました。
OHCも単にOHCと呼ばれていましたが、DOHCが出現したことで、SOHCと再命名されたわけです。
OHC(SOHC)エンジンとは:構造と仕組み
OHC(SOHC)エンジンとは、ピストンの往復運動で出力を発生するレシプロエンジンの一形式です。
1本のカムシャフトがピストンの頭上にある形式のエンジンです。カムシャフトが2本あるとDOHCになります。
カムシャフトがピストンの上にあるということは、吸排気バルブもピストンの上にあります。この点ではOHVやDOHCと全く同じです。ただし、その吸排気バルブを作動させる装置であるカムシャフトもピストンの上にある点ではDOHCと同じですが、OHVのカムシャフトはシリンダーブロックの横にあり、この点が大きく異なっています。
さて、OHC(SOHC)とDOHCはカムシャフトが燃焼室の上にある点は共通ですが、異なるのはカムシャフトの本数とその使い途です。
OHC(SOHC)は1本のカムシャフトで吸排気バルブを作動させるのに対して、DOHCは吸気バルブに1本、排気バルブに1本、とそれぞれカムシャフトを配置しています。
メリット
OHC(SOHC)エンジンのメリットは以下の通りです。
- OHVに比べて高回転・高出力を得やすい
- OHVやDOHCと比べて小型・軽量・安価である
- OHVやDOHCと比べて燃費性能がいい
- OHVやDOHCと比べて排出ガス規制に対応しやすい
デメリット
- DOHCに比べると高回転が出しにくい
- DOHCに比べるとバルブタイミングの幅が狭い
- DOHCに比べると高回転時にバルブジャンプやバルブサージングが発生しやすい
ただし、上記デメリットはあくまでも一般論であって、OHC(SOHC)でもDOHCに劣らない高性能なエンジンを作ることは可能。今はDOHCのほうが主流となっているけれど、これはある種の「流行」であって、技術的にはSOHCでも高性能エンジンは作れるようです。
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