ツインインジェクター(デュアルインジェクター)とは:仕組み
ツインインジェクター(デュアルインジェクター)とは、燃料噴射装置が1気筒につき2つ備わった機構のことです。
その際、2つのインジェクターは全く同じものを使用します。まれに異なる種類のインジェクターを使うこともありますが、多くは同じものを使います。
インジェクターを1気筒につき2つにする目的は、1本では燃料噴射量の細かい調節が困難だからですが、その詳細は下記のとおりです。
- 1本だと噴射時間が長くなるが、2本だと1本当たりの噴射時間を短くできる
- 1本だと燃料を霧化する効率が劣る
- 1本だと無効噴射時間が増えてしまう※無効噴射時間とは、噴射信号をECUから受けて実際に噴射するまでにかかる作動時間の遅れのこと
こうした特性を持つツインインジェクター(デュアルインジェクター)は、レーシングカーなどで使われることが多いのですが、量産車でも採用されています。
世界で最初に量産車に採用したのは日産自動車です。※現行車ではジュークに採用
メリット
ツインインジェクター(デュアルインジェクター)のメリットは、前の項目に挙げたこと以外にもあります。
インジェクターを2本にすることで、噴射燃料が微粒化し、燃焼が安定します。特に省燃費車(エコカー)においては、より多くのEGRの導入が可能になります。
EGRとは、排気ガスを再度還流してシリンダー内に取り込み、燃費向上とNOx(窒素酸化物)の削減を目指す機構のことです。
また、インジェクターを吸気バルブに近い位置に配置して噴射制御を最適化することで、シリンダー内へ直接燃料が入る割合が増えます。これにより、燃料気化によるシリンダー内の温度低下が期待できます。
シリンダー内の温度が低下すると、エンジンの大敵であるノッキングを抑制でき、さらに圧縮比を上げることができます。
これはシリンダー内に直接燃料を噴射する直噴エンジンの目指すところに近い方式です。もちろん、直噴エンジンほどの効率性はありませんが、それでも、直噴エンジンに必要な様々な補器類や高圧インジェクターやポンプなどのパーツを使わずに、これに近い効果が得られるもので、コストパフォーマンスの高い方式です。
各社の名称
ツインインジェクター(デュアルインジェクター)は、自動車メーカーにより呼び名が異なります。
- 日産:デュアルインジェクター
- スズキ:デュアルジェットエンジン
- ホンダ:ツインインジェクションシステム
- ダイハツ:デュアルインジェクタ
下記の記事も参考になさってください。
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