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タイヤを「限界まで使う」ために知っておくべき4つの注意点
車のタイヤ交換は、何か特別な事情がない限り、普通は4本まとめて交換すると思います。
カー用品店やタイヤショップで交換してもらう場合なら、タイヤ本体の料金にプラスして、バランス調整を含めた工賃も発生するので、ある程度のまとまった出費になってしまいます。
だから、誰に言われなくたって「限界まで使う」のは当然のことであり、みんなそういう気持ちでいるはずです。
しかし、タイヤを安全性に支障が出ない程度、まさに「限界まで使う」には、タイヤに関する最低限の知識が必要です。
どこまでなら安全を確保できるか、どんなサインが出たら即座に交換すべきか、知っておく必要があると思います。
まず、タイヤを「限界まで使う」ための大原則ですが、下記のようになります。
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以下、順を追って詳しく解説していきたいと思います。
①スリップサインが出たら使用の限界
乗用車の夏用タイヤの場合、トレッド面の溝の深さは約8mmあります。
タイヤはこの8mmの溝が無くなってツルツルになるまで使えるかと言うと、もちろんそんなことはなくて、ツルツルになる少し前の段階で使用限界がやってきます。
それがスリップサインです。
タイヤが摩耗してくると、溝の部分に上記画像のようなスリップサインが浮き出てきます。スリップサインはタイヤの内側から外側にかけて数カ所あるのが普通です。
スリップサインは約1.6mmの高さがあります。
つまり、新品時から6.4mm(8mm-1.6mm)すり減った時点で露出することになります。
これがタイヤの使用限界です。
どこか1カ所でもスリップサインが露出するようになったら、そのタイヤは使用限界です。交換するしかありません。
確かに、スリップサインが出たタイヤでもとりあえず走行することは可能です。
しかし、雨の日の撥水性能、カーブを曲がる際の踏ん張り、高速走行する際の直進性などが、路面のちょっとした不整にすぐさま影響を受けて、自損事故や対面事故に発展してしまいます。
ですから、スリップサインが露出したタイヤは使用限界です。すぐに交換すべきです。
なお、冬に活躍するスタッドレスタイヤにもスリップサインがあり、やはりゴムの残りが1.6mmの時点で露出します。
その意味では夏タイヤもスタッドレスタイヤも同じです。
しかし、違いもあります。
スタッドレスタイヤの場合、新品時の溝の深さは約10mmあり、5mmすり減った時点でプラットホームと呼ばれるサインが浮き出てきます。
このプラットホームが露出したら、そのスタッドレスタイヤは雪道や凍結路の走行用としては使用不可です。
ただし、まだ通常の舗装路なら使用できます。もうしばらく夏用タイヤと同様の使用はできますが、やがて1.6mmのスリップサインが露出してきます。
こうなったら、冬用としても夏用としてもそのスタッドレスタイヤは使用限界です。交換するしかありません。
つまり、スタッドレスタイヤには使用限界を知らせる2つのサイン(プラットホームとスリップサイン)が埋め込まれているわけです。
②距離にして30,000キロ~40,000キロ走行したら使用の限界
タイヤの摩耗の仕方は、車種によっても異なりますしドライバーの運転の仕方によっても異なりますが、平均的には30,000キロ~40,000キロ走行すると、①で解説したスリップサインが露出してきます。
そうなったら使用限界なので、新品のタイヤと交換するしかありません。
調査によると、タイヤは5,000キロ走行すると1mm程度摩耗するのが平均的な数値です。
これを基に計算すると、30,000キロで6mmすり減ることになります。スリップサインが露出するのは6.4mm(8mm-1.6mm)ですから、だいたい30,000キロから40,000キロくらいの走行距離でスリップサインが出てくる計算になります。
タイヤの摩耗の仕方は車種やドライバーで異なるものの、おおよその目安にはなると思います。
もしも40,000キロを経過してもまだ十分に山が残っているのであれば、それは摩耗に強い超エコタイヤであるか、あるいは、ドライバーの運転の仕方が穏やかでやさしいからだと思います。
③年数にして製造日から8年~10年が使用の限界
この「8年~10年」という数字におやっと思った方もいらっしゃるでしょう。
一般的には、
「タイヤは3年から5年で交換すべき」
と言われているからです。
しかし、私が言っているのは「製造日から」です。製造日から8年~10年が使用限界という意味です。
どのメーカーのタイヤであっても、タイヤの側面に4桁の数字が記載されています。たとえば「1020」と刻んであった場合、前の「10」は週を表し、後ろの「20」は西暦を表します。したがって、「1020」は2020年の第10週(3月の第2週あたり)が製造年ということになります。
実際に車にタイヤを取り付けて使用を開始してからは、一般に言われている通りに3年~5年が交換の目安になります。
タイヤは使用すれば太陽光線や風雨に晒されますから、年数が経過するにしたがってどんどん劣化していきます。
たとえ距離を走らず溝が十分残っていても、ゴムの部分は劣化しますし、ゴムとゴム内部のカーカスコードとの接着部分が剥離してバーストを起こしやすくなったりします。
けれども、しっかりした施設で保管されている場合、タイヤはそう簡単に劣化はしません。
ちゃんとした場所に保管されていたタイヤであれば、製造年から8年~10年くらいは問題なく使用可能です。
そもそもタイヤは、タイヤメーカーで製造されたらいったん倉庫に保管されていて、タイヤショップなどから注文が入った時点でその都度出荷されます。
その際、倉庫には2年とか3年くらいは普通に保管されています。中には4年とか5年保管されるタイヤもあります。※あまり保管期間が長いタイヤは格安で販売されたりします
タイヤメーカーの保管倉庫は、タイヤが劣化する要因をできるだけ避ける仕様になっていて、たとえば太陽光線は完全に遮断しているので紫外線による劣化はほぼありません。
また、雨や風や雪に晒されることはないので、ゴムの部分の劣化は最小限で済みます。
極端な温度変化もないので、ゴムとゴムの内部のカーカスコードが剥離するリスクも避けられます。
このように保管状態がいいタイヤは新品時の性能が著しく劣化するようなことはなく、ごく普通に「新品タイヤ」として流通しています。
しかし、いったん車に取り付けて使用を開始したら、走行距離にかかわらず、3年~5年くらいでゴムやゴムの内部が劣化するので、使用限界が近づいてくることになります。
もちろん、ここでも使用による差は生じます。常に屋根付きのガレージで保管しているケースと青空駐車の場合では、当然、タイヤの劣化具合は異なりますから、使用可能な年数にも違いが出てきます。
3年から5年というのは、あくまでも目安です。
④ヒビ割れや亀裂や偏摩耗(内減り・外減りなど)が目立つと使用の限界
タイヤのヒビ割れや亀裂は、特にタイヤのサイドウォール(横面)あるいはショルダー(肩)に発生します。
ヒビ割れや亀裂ができると、その隙間から雨や泥などがタイヤ内部に侵入し、ゴムの内部に埋め込まれているカーカスコードやスチールベルトなどが錆びたり、あるいは、ゴムとの接着部分に剥がれが生じ、結果的にバーストを起こしやすくなります。
タイヤのバーストとは、主に高速走行で発生しやすい現象で、パンクなどとは異なりタイヤが爆発して粉々になります。
そのへんの路面にタイヤの小片が散り散りになって、もう大変です。
命が助かれば儲けもの、というくらいの惨事であり、一生に一度だって経験したくないトラブルです。
また、偏摩耗も大敵です。
偏摩耗とは、タイヤのトレッド面(路面との接地面)が平均的に摩耗するのではなく、内側がより早く減ったり、外側が減ったり、あるいは、中心部ばかりがツルツルになったり、両端が先にすり減っていったり、そうした偏った摩耗をすることを言います。
偏摩耗の原因は様々です。
空気圧を高くし過ぎるとタイヤの中央部が早く摩耗します。反対に空気圧が低すぎたりいつも重い荷物を積んだりしていると両端が早く摩耗してきます。
極端なネガキャン(ネガティブキャンバー)にすると内減りが激しくなり、ポジキャン(ポジティブキャンバー)にすると外減りが激しくなります。
このような偏摩耗が発生した場合、たとえ摩耗してない部分の山が十分に残っていたとしても、摩耗した部分のスリップサインが露出したり内部のカーカスコードが顔をのぞかせたりしていたら、それはもう使用限界です。
タイヤ交換するしかありません。
まとめ
以上、タイヤを「限界まで使う」場合に心得ておくべき基本的な知識を解説してきました。
もう一度繰り返しますと、
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ということになります。
上記以外にも、たとえば運転していて「やけにロードノイズが目立つな」とか「なんとなくタイヤからヘンな音が聞こえてくるけれど・・・」といった異変を感じたら、そろそろ交換時期だと観念すべきかもしれません。
いくら「限界まで使う」と意気込んでみても、経済性より安全性が優先です。
迷ったら、安全性をより優先していただきたいと思います。
下記の記事も参考になさってください。
⇒⇒車検|タイヤ溝の基準・測り方|外側内側が片減りはNG?トラック・スタッドレスは? ⇒⇒タイヤのひび割れ・亀裂|原因・防止・補修・交換|車検基準|高速でバーストが怖い |
ご覧いただきありがとうございました。