油圧式パワステに特有の「ウィーン」
ハンドルの操舵力をアシストするのがパワーステアリング機構です。
以前は油圧式が主流でしたが、最近は燃費性能の向上を主目的に電動式が増えています。
とは言え、この記事を書いている2021年7月現在でも、油圧式のパワステ車はまだまだたくさん公道を走っています。
油圧式パワステの場合、ハンドルをアシストする力は文字通り油圧式のパワステポンプが担っています。
ハンドルを操作した際に発生する「ウィーン」という異音は、パワステポンプのオイルの量に関係しています。
パワステポンプの仕組み
パワステポンプはエンジンの回転を利用して作動します。
エンジンの回転はエンジン下部のクランクプーリーに伝達され、このクランクプーリーにベルトをひっかけて、そのベルトがパワステポンプのプーリーを回転させることで油圧を循環させる力に変換されます。
パワステポンプによって循環するオイルは、ハンドル操作によって動くステアリングギアボックスの動きをアシストします。
ステアリングギアボックスはタイロッドを動かし、タイヤの向きを変えます。
「ウィーン」はどこから?
そこでウィーンという異音です。
この異音は、パワステポンプとオイルの経路のいずれかに亀裂や穴や接続部の緩みなどが発生し、そこからオイルが漏れ出している場合に発生します。
もちろん数cc程度のごく少量の漏れでは問題ありませんが、リザーバータンクが空になるほどの漏れがあると、ハンドルを動かすたびにウィーンといった異音を発生させます。
オイル補充で一時しのぎはできるが・・・
油圧式パワステでウィーンという異音が発生したら、オイル量の不足が原因であることが多いです。
そこでオイルを補充します。
しかし、そもそもオイルの量が少なくなった原因をたどれば、それはオイルの経路のいずれかに漏れが発生しているからです。
だから、漏れの原因を修理しないとまた同じ現象が発生します。
ただし、何年もかけて少しずつオイル漏れしていたような場合であれば、補充することでまた当面の間は何とかしのげるでしょう。
近々車を手放す予定であれば、こうした対症療法でも十分なはずです。
でも、本格的に修理しようと思ったら、オイルを補充するだけでなく、漏れている個所を修理する必要があります。
自分で漏れている個所を特定できなければ、ディーラーや修理工場やカー用品店に車を持ち込んでプロのスタッフさんに診断してもらうべきです。
下記の記事も参考になさってください。
⇒⇒パワステのオイル交換(フルード交換):パワステに使用しているオイル(フルード)は、エンジンオイルほど精密な働きはしていません。少々古くなって色が黒くなったり酸化したりしたとしても、「だからなあに?」という感じでせっせとステアリングのアシストをし続けます。 ⇒⇒電動パワステと油圧パワステの違い|構造|異音・重い?:しばしば油圧パワステより電動パワステのほうが燃費性能がいいといわれます。しかし、電動パワステを満足に作動させるにはより強力なバッテリーとそのバッテリーに電気を充電するオルタネーターの高効率化が必要になります。日々のガソリン代は少し浮いても、別のところでコストを払っている可能性は大です。 ⇒⇒パワステオイル(パワーステアリングフルード)の交換:他のオイル類(フルード類)と同じように、パワステオイル(パワーステアリングフルード)も使用に伴って劣化します。ハンドルが重くなったり、ハンドルを切っている途中で「引っ掛かり」のようなものを感じたり、ハンドルを切るたびにウィーンといった異音が聞こえてきたりします。 ⇒⇒ミッションの異音|ウィーン:ウィーンと唸るような音、あるいは甲高いリコーダーのような音、こうした異音がミッションから出てくることがあります。マニュアルトランスミッション(MT)でこうしたウィーンが出る場合は、ギアが欠けていたり、クラッチがすり減っていたりすると発生しやすいと思います。しかし、ウィーンが圧倒的に発生しやすいのはCVTです。 ⇒⇒車のアクセル踏むと異音|ウィーン:アクセルを踏み込んだ際に金属質の甲高いウィーンという音が出たら、それはベアリング関連の劣化が原因であるケースが多く、たとえば、電気を発電しているオルタネーターの内部にあるベアリングがウィーンを発していることがよくあります。 ⇒⇒オルタネーターの異音の原因|ウィーン・ガラガラ等:エンジンルームには数多くの機器が詰め込まれているので、たとえばキュルキュルという異音が聞こえた場合、それがオルタネーターベルトからの異音か、パワステベルトからの異音か、その他のベルトからの異音かは、まさに「蓋を開けてみないとわからない」ということになります。 |
ご覧いただきありがとうございました。
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