自動車税・軽自動車税を滞納した場合の時効は何年ですか?

自動車税・軽自動車税・滞納・時効

自動車税・軽自動車税の時効は5年

地方税法の規定

自動車税は都道府県が課税する税金です。

軽自動車税は市区町村が課税する税金です。

しかし時効に関しては同じ地方税法の規定により5年で消滅します。

通常、自動車税・軽自動車税の納期限は新年度が始まったばかりの5月31日です。

この納期限の翌日から5年が経過し、その5年の間に課税当局から何のアクションもなかった場合には、時効が成立し、納税義務は消えます。

地方税法
地方税の消滅時効

第一八条 地方団体の徴収金の徴収を目的とする地方団体の権利(以下この款において「地方税の徴収権」という。)は、法定納期限の翌日から起算して五年間行使しないことによつて、時効により消滅する。

滞納者への現実の対応

時効は五年ですが、それは課税当局が滞納者を5年間放置していた場合の話です。

しかし実際に課税当局が税の滞納者に対して何のアクションも起こさないことはありえない話です。

アクションの手法は自治体によって異なりますが、一般的に、納期限内に納税されない場合、課税当局はまず督促状を送りつけてきます。

督促状は2度3度と繰り返し送られることもありますし、なかなか納付されない場合は督促状よりさらに催促の度合いが強い催告書が送られることもあります。

それでも納付されない場合は差押を通告する書類が届き、あるいは一気に差押が実施されることもあります。

時効との関係で重要なのは、これら督促状の発送、催告書の発送、差押通告書の発送、差押の実行といったアクションを起こした場合、時効期間はその都度中断されるということです。

地方税法
時効の中断及び停止

大十八条の二 地方税の徴収権の時効は、次の各号に掲げる処分に係る部分の地方団体の徴収金につき、その処分の効力が生じた時に中断し、当該各号に定める期間を経過した時から更に進行する。

(略)

二 督促 督促状又は督促のための納付若しくは納入の催告書を発した日から起算して十日を経過した日(同日前に第十三条の二第一項各号の一に該当する事実が生じた場合において、差押えがされた場合には、そのされた日)までの期間

今、全国の都道府県・市区町村は、ほぼ例外なく慢性的な税収難にあり、お金に余裕のあるところなど皆無と言っていい状態です。

人口減少、少子高齢化、労働力人口の減少、主に高齢者の生活保護世帯の増加などにより、税金の確保は至上命題となっています。

自動車税・軽自動車税を滞納した場合、課税当局は「税の公平性」という錦の御旗(真面目に払っている人がバカを見ない)を掲げて強烈な取り立てを開始します。

自治体の滞納処分は年々厳しさを増している

自治体の滞納処分

ここで全国の都道府県や市区町村が、自動車税・軽自動車税の滞納者に対して具体的にどんな取り組みをしているのか、いくつかの例をご紹介します。

平成29年度の静岡県の「自動車税滞納整理強化期間」は平成29年11月から平成30年2月でした。

愛媛県と県下全市町村では毎年11月と12月を「市町村税・県税一斉滞納整理強化期間」としています。

大阪府は例年12月を「税収確保重点月間」として取り組んでいます。

埼玉県滑川市は11月~1月を「滞納整理強化期間」と定めています。

三重県鳥羽市は10月と11月が「差し押さえ強化月間」です。

全国平均で言うと10月~12月を差押強化期間としているところが多いようです。

8月から差押を実行する自治体もある

ここで山梨県のHPを御覧いただきたいと思います。

滞納に対して法律は・・・
地方税法では、税負担の公平性を期すために、督促状を発してから10日を経過しても納税されない時には、滞納者の財産を差押えなければならないと規定しています。

この差押えは、民事上の強制執行とは異なり、裁判所の許可を経ることなく県(徴税職員)が自ら執行できることになっています。また、法律では事前の差押予告通知も必要とされていません。
更には、住居等への捜索などの権限も与えられています。

山梨県のHPより)

山梨県では地方税法の上記規定に基づいて次のような滞納処分のスケジュールを組んでいます。

いかがでしょう?

確かに、山梨県のように8月中に差押に入る自治体はあまり見当たりませんが、しかし今後のことはわかりません。

山梨県に続く自治体が続出しても不思議ではないのが、全国の自治体の財務状況です。

そして繰り返しますが、課税当局がこうした税の回収に向けた何らかのアクションを起こした時点で、時効は中断されます

もしもどうしても自動車税・軽自動車税から逃れようと思ったら、失踪者になる、預貯金口座をすべて処分する、収入を得ている会社等をやめる、財産を持たないなどなど、通常の生活をやめてしまう以外に選択肢はないと思います。

通常の生活を送る限り、課税当局の徴収権はいつまでも行使され続けます。

自己破産しても徴収権は有効であり、逃れることは出来ません(破産法253条)。

自動車税・軽自動車税の時効5年」という規定は文面だけのものと考えたほうがいいです。

それでも滞納し続けるのはどんなケース?

滞納

普通に生活している場合はまず滞納できない

通常、5月31日の納期限までに自動車税・軽自動車税が納税されなければ、これまで解説してきたように、課税当局は様々な徴収権を行使し、最後は差押という最終手段を行使してきますから、1年も2年も滞納を続けることはまず不可能です。

けれどもこれは課税当局が滞納者の住所を把握していて、なおかつ滞納者がその住所に住んでいる場合の話です。

そこに実際に住んでいる以上、仮に預貯金口座や給与から回収できなかったとしても、少なくとも車はあるでしょうし、家財道具、土地、建物もあるでしょう。

強権的手法を使ってでも必ず回収するでしょう(と言うか、差押こそがそもそも強権的手法なのですが)。

滞納が起こりうるケース

けれども、こういうケースもあると思います。

引っ越しをして、他の地域から現在の地に移り住んでいるのだけれども、その際、本来やらなければならない車検証の住所変更を怠ったために、課税当局が発送した納税通知書が手元に届かないケース。

(※)郵便局に新住所への転送願いをしておかなければ、前の住所に届いてそこで行き止まりになる。

この場合、当人としては、毎年送られてくる納税通知書が来ないことをいいことに、そのまま放置して、時間だけが経過するわけです。

結果的に、滞納状態が続きます。

あるいは、これは実に気の毒なケースですが、災害等で行方不明になり、課税当局からの連絡が一切届かなくなるケースです。

しかしこのケースは意図的な滞納とは違いますから、ここでは問題にする必要はないでしょう。

車に乗り続けることができなくなる

上のケース、つまり引っ越しを契機に納税証明書が届かなくなり、それをいいことに滞納を続けるケースですが、しかし、これも長くは続けられません。

乗用車の場合、新車で3年目、それ以降は2年毎に車検があります。

車検は自動車税・軽自動車税が納税されていないと検査が通りません。

したがってその車に乗り続けようと思ったら、車検の際に滞納分を含めて自動車税・軽自動車税を支払う以外に方法はなくなります。

車検切れで放置した場合

車検の時期を迎えても、なかには滞納した自動車税・軽自動車税を支払うお金がないために、あるいは支払いたくないために、車を放置してしまうケースもあります。

当然、車検切れになります。

車検切れになっても、その車で公道を走らない限り、特に違法ではありません。

しかし自動車税・軽自動車税は別で、滞納状態は依然として続き、逃れることは出来ません

(※)時効との関係ですが、このケースでは当人のところへは督促状が届いてないとしても、課税当局は督促状、催告書、差押通告などのアクションを起こしているはずですから、そのアクションの度に時効の中断が成立しています。

レアケースだが「嘱託保存(しょくたくほぞん)」になることも

嘱託保存

車検切れで放置し、滞納している自動車税も支払わずにいた場合、いよいよ税事務所が差押に入るのですが、通常、差押は預貯金口座とか給与のように取りやすいものから手を付けます。

しかし何らかの理由で車に嘱託保存という措置を及ぼすケースがあります。

この嘱託保存には「抵当権を設定」する場合と「滞納による差押」の2種類あります。

いずれのケースも、嘱託保存された車は自由に名義変更したり廃車したりすることが出来なくなります

自由に処分するには滞納していた自動車税・軽自動車税を延滞金を含めて納付しなければなりません。

ところで、この嘱託保存ですが、実務の世界ではあまり出会うことがない非常にレアなものです。

通常、課税当局が車を差し押さえしたら、ヤフオクなどに出品して換金します。

つまり車は滞納者の手元にはないはずです。

インターネット公売の実施について
身延町では、財政基盤である町税収入確保と納税の公平性の確保のため、町税の滞納者から差し押さえた動産を、ヤフー株式会社が提供するインターネットオークションシステムを利用して公売を行います。

山梨県身延町のHPより。他の多くの自治体でも同様のアナウンスが行われています。)

したがって嘱託保存がどのようなケースで実施される措置なのか、あまりに実例が少ないために、よくわからないのが正直なところです(というより、わたしの調査力不足ですが)。

実例は少ないとしても、実際に行われていることは間違いなく、自動車税・軽自動車税を滞納し、なおかつ車は手元にある人で、自分の車が嘱託保存の措置が取られているかどうかは、下記の書類で確認できます。

(登録車は陸運支局で入手できる)

登録事項等証明書の「現在証明」(300円ほど)

(軽自動車は軽自動車検査協会で入手できる)

検査記録事項等証明書の「現在記録」(300円ほど)

車検切れで放置している車にも車検証が残っているはずですが、その車検証には嘱託保存の記録は当然記載されていません。なぜなら所有者の意思に関係なく課税当局が強権的に実施している措置であるからです。したがって「現在証明」あるいは「現在記録」を申請して確認するしかないのです。

車検切れから3年経過すると職権抹消になることも

職権抹消

上の嘱託保存に比べると、こちらの方は比較的よくあるケースです。

職権抹消(しょっけんまっしょう)です。

車検が切れたのに、継続車検も取らず、ナンバープレートの返納もなされずにいる車は、当然、陸運局や軽自動車検査協会でも電子システムで把握できます。

車検切れしてから3年ほど経過すると、当局の権限により職権抹消という措置が取られることがあります。

実務的には車検切れから5年ほど経過しないとこの措置は取られないのですが、規定上は3年で取られることになる措置です。

強制的に永久抹消の手続きがなされるのです。

そしてこの職権抹消は、自動車税・軽自動車税の滞納者にとっては、天の恵みのようなありがたい措置でもあります。

なぜなら、この措置をとってもらうことで、以後の自動車税・軽自動車税の課税をストップしてもらえるからです。

そもそも自動車税・軽自動車税はナンバープレートに紐付けられているので、ナンバープレートが返納されない限り課税され続けます。

しかし職権抹消の措置が取られると、実際のナンバープレートは放置した車につけられているにしても、法的には返納処分された状態(厳密には「保留状態」ですが)になり、課税が止まるわけです。

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公式の規定と実際の運用は必ずしもイコールではない

自動車税軽自動車税時効

ここまでご説明してきて、いくつか曖昧な部分があり、すっきりしないところです。

つまり、自動車税・軽自動車税を滞納し続けた場合、滞納状態が続くと嘱託保存の措置が取られることがあり、また車検切れから3年経過すると職権抹消されることがある、と解説してきました。

しかし、その前の説明で、今は自治体の滞納処分は厳しくなっており、滞納の1年目から差押等の取り立てが行われていて、税から逃れることは困難であるかのような記述もしてきました。

いったい何が正解なのか?

と思われる方もいらっしゃるでしょう。

実際、そうなんです。

自動車税・軽自動車税の滞納者に対してのアクションは、各自治体によっても異なりますし、同じ自治体でも同条件の滞納者に対しては全て同様のアクションがなされるというのでもありません

そこは、やはり、限られた予算と限られた人員の中で行われることです。

どうしても公式の規定と実際の運用には違いが出てきます。

滞納から2年経過すると自動的に嘱託保存の措置が取られたり、車検切れから3年経過したら自動的に職権抹消されるというのでもありません。

そうなる場合もあれば、ならない場合もある、ということです。

規定の上ではそうした措置が取られることがあります、というふうに解釈していただきたいところです。

とはいえ、慢性的な税収不足のなか、各自治体が徴収業務に力を注いでいるのは間違いないことです。

自動車税・軽自動車税に時効があるにしても、実際のところは、決して逃れられるものではなく、どういう形であれ、支払わなければならないものと認識していただきたいところです。

(※)車検切れの車両に関しては、すべての自治体ではありませんが、自動車税課税保留制度を適用する自治体もあります。

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元保険代理店代表です。現在はブログ記事作成を日課にしています。自動車保険の記事が中心ですが、その他クルマに関するお役立ち記事に取り組んでいます。(ラグビーワールドカップ期間中はドライブレコーダーの記事ばかり書いていました。)朝起きるとコンビニの菓子パンを1個食べてから昼までブログ記事を書きます。昼食はお米とおかずをしっかり食べ午後はSNSや情報のインプットに努めます。夕方に5,000歩ほど歩き夕食は炭水化物をカットしています。せっかく炭水化物をカットしているのにフルーツをよく食べます。みかん・デコポン・甘夏・いよかんなどの柑橘類が好きです。地元山梨産のもも・ぶどうも人からもらったときだけ食べます。寝る前にはウイスキーをストレートで飲みDLifeチャンネルの海外ドラマを見て寝ます。目が悪いです(網膜はく離の手術してます)。 <※ついに「あおり運転」で免許取り消しに。警察庁が動きます。令和2年の通常国会に道路交通法改正案が提出される予定です!!(2019年11月7日朝日新聞)>