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【記事丸わかり】
まとめ: 車庫飛ばしは届け出た保管場所とは異なる場所に車を保管する違法行為であり、重い罰則が科せられることがあります。通報により発覚するケースが多く、適切な手続きを行うことが重要です。 ⇒⇒【実は】ややこしい車庫証明、車庫飛ばし!?こんな場合でもイケます! |
車庫飛ばしとは、車庫証明書で届け出た保管場所とは別の場所に車を常時保管することを言います。
車庫飛ばしには、ある目的を持って意図的に行う車庫飛ばしもあれば、ついうっかり手続きを放置している場合など、さまざまなケースがあります。
悪質な車庫飛ばしには重い罰則があり、実際に処罰されています。
通報により発覚する車庫飛ばしも多くあり、通報を受けた警察はかなりスピーディーに現場に駆けつけます。
このページでは車庫飛ばしの実態を詳しく解説しています。
しばらくお付き合いいただきたいと思います。
そもそも「車庫飛ばし」とは?
車庫飛ばしとはどんな行為かを説明するには、実例を挙げるのが一番わかりやすいと思います。
車庫飛ばし:事例1
まず、ディーゼル車規制を逃れるために行った車庫飛ばしの事例を見ていきましょう。
埼玉県は山間部などのごく一部地域を除いてほぼ全エリアが「自動車NOx・PM法」(2002年施行)の対象地域です。
この地域内ではDPFなどの有害物質抑制装置を装着していないディーゼル車は運行が出来ません。
運行が出来ないので車庫証明も取れません。
しかしDPFなどの装置を装着するにはお金がかかります。
1台だけならともかく数十台となると多大なコストが発生します。
そこで規制対象地域内にある電気工事会社は、自社のディーゼル車複数台を、規制対象外である山間部にある営業所に移し(書類だけ)、その地域で車庫証明を取得しました。
規制対象外の地域で車庫証明を取り、その地域内を運行する分には、法的に何の問題もありません。
けれども、実態は違っていて、山間部の営業所で車庫証明を取っておきながら、実際は以前と同じように規制対象地域にある営業所で日々運行していたのです。
これが車庫飛ばしです。
この車庫飛ばしはパトロール中の警察官の通報により発覚しました。
規制地域にある営業所の駐車場を通りかかったところ、その地域を管轄するナンバープレートとは異なるナンバープレートが多数駐車していることに疑念を抱いたのがきっかけです。
結果として、この電気工事会社の関係者は、電磁的公正証書原本不実記載、同供用の容疑で逮捕されました(刑法157条:5年以下の懲役又は50万円以下の罰金)。
(この項目はレスポンス様の記事を参考にさせていただきました)
車庫飛ばし:事例2
Aさんは郊外の住宅街に住んでいました。
住宅街には網の目のように生活道路が張り巡らされていますが、Aさん宅の前はちょうど袋小路になっています。
行き止まりなので、車の往来はありません。
さて、Aさんの息子が高校を卒業し、車を購入することになりました。
Aさん宅にはすでに車が1台あり、住宅付属の駐車場は1台だけのスペースです。
2台は駐車できません。
付近の月極駐車場を探したのですが、800メートルほど離れた場所になってしまいます。
家から離れているだけでなく、当然、料金もかかります。
するとAさんの頭にふっと邪な考えが浮かびました。
「家の前のスペースが空いているじゃないか。行き止まりで車は通らないし、息子の車はそこに駐めればタダだ。向かいのBさんがそのスペースを使っているわけでもないし、誰に迷惑かけることもないだろう。Bさんには菓子折りをやったりして適当に誤魔化せば何とかなる」
Aさんはこの考えを実行に移しました。
いったん800メートル離れた月極駐車場で車庫証明を取り、車庫証明を取ったら、即座に駐車場を解約しました。
そして、それ以後は、自宅前の空いたスペースを息子の車の駐車場として利用し、生活を続けています。
その空いたスペースとは、こんな場所です。
これが車庫飛ばしです。
みなさんの周辺にも、歩道にはみ出して車を駐車している家とか、他人の空き地に無断で駐車している人とか、思い当たることはありませんか?
重い罰則の対象となる「意図的な」車庫飛ばし
前の項目で紹介した2つの事例は、車庫飛ばしの中でも悪質性の高い「意図的な」ものです。
事例1はディーゼル規制逃れが目的であり、規制対象区域で有害な排気ガスを出しまくる結果となっていて、悪質性は非常に高いと思います。
事例2の車庫飛ばしは、最初から道路を車の保管場所にする意図で行っている行為であり、近隣の風紀を乱す原因を作る行為でも有り、罪は重いと思います。
ここで警視庁のホームページに掲載されている罰則一覧を見てみましょう。
自動車の保管場所の確保等に関する法律 | |
違反内容 | 罰則 |
虚偽の保管場所証明申請 | ・20万円以下の罰金 |
保管場所の不届け、虚偽届出 | ・10万円以下の罰金 |
道路の車庫代わり使用 | ・3ヶ月以下の懲役又は20万円以下の罰金 ・違反点数3点 |
道路における長時間駐車 | ・20万円以下の罰金 ・違反点数2点 |
事例1のディーゼル規制逃れは、自動車の保管場所の確保等に関する法律で裁くなら、上の表の一番上にある虚偽の保管場所証明申請に当たると思いますが、警察はより刑罰の思い刑法157条(電磁的公正証書原本不実記載、同供用)の容疑で逮捕しています。
事例2のAさんは、上の表で一番重い「道路の車庫代わり使用」になると思います。
3ヶ月以下の懲役又は20万円以下の罰金、そして違反点数3点です。
誰もが行い得る「ついうっかり」の車庫飛ばし
車庫飛ばしとは、車庫証明書で届け出た保管場所とは別の場所に車を常時保管することを言います。
旅行や短期の出張で一時的に本来の駐車場に駐めないことは何の問題にもなりません。
あくまでも、常時、本来の場所とは別の場所に車を駐めることが問題です。
では、引っ越しした場合はどうでしょう?
引っ越しすれば車の保管場所(駐車場)も当然変わります。
ここで法律の条文を見ておきましょう。
(要旨)自動車の保有者は、保管場所の位置を変更したとき、変更した日から十五日以内に、変更後の保管場所の位置を管轄する警察署長に届け出なければならない。
上の条文に違反した場合は10万円以下の罰金に処されることになります(自動車の保管場所の確保等に関する法律17条3項1号)
つまり、条文に従えば、引っ越ししたら15日以内に新しい住所地で車庫証明を取り直す必要があるということになります。
ところが、実際にこの条文通りに手続きしている人がどれくらいいるでしょうか?
引越しに伴うその他様々な手続きに追われて、ついそのままにしているケースが多いのではないでしょうか。
あるいは、法的には新たに車庫証明を取らなければいけないと知りつつ、その必要性に疑問を抱いている人もいるはずです。
「そんなに悪い事しているのかなあ。新しい住所に引っ越してからも、ちゃんと駐車場を確保して、毎日そこに駐車しているんだから、それを車庫飛ばしと言われてもなあ。別に誰に迷惑かけてるわけでもないのになあ」
とモヤモヤした気持ちでいる方もいらっしゃるかもしれません。
ここで車庫証明の根拠となる法律の条文を見てみましょう。
この法律は、自動車の保有者等に自動車の保管場所を確保し、道路を自動車の保管場所として使用しないよう義務づけるとともに、自動車の駐車に関する規制を強化することにより、道路使用の適正化、道路における危険の防止及び道路交通の円滑化を図ることを目的とする。
通称「車庫法」と呼ばれるこの法律の第1条は、このように道路を保管場所にしないことを最重要事項としてて強調しています。
この観点から見ると、引っ越しして車庫証明を取らずに放置している人は、(すでに提出している車庫証明とは別の場所に車を保管していると言う意味で)厳密には車庫飛ばしをしている状態であるものの、悪質性という観点では、それほど責められる行為をしているとは言えないようにも思います。
だって、ちゃんと駐車場を確保していて、そのへんの空き地や道路に勝手に駐車しているのではないからです。
実際、誰に迷惑かけているわけでもありません。
こうした実情を考慮してか、警察も杓子定規に法の運用を行ってはいません。
非常に柔軟な対応をしているのが実情だと思います。
ただ、だからと言ってそのまま放置していたらどうなるのか、罰せられるのか、何事もないのか、損か得か、このあたりの問題を詳細に解説した記事があるので、参考になさっていただければ幸いです。
通報により発覚する車庫飛ばし
車庫飛ばしが発覚するのはほとんどが「通報」によってです。
みなさんのご近所には、道路にはみ出す形で車を駐車している人がいないでしょうか?
そこが広々とした道路で、やや目には付くけれど、道路の往来に大きな支障をきたすものでなければ、あえて通報する人もいないかもしれません。
しかし、実際に車で通りかかったりする際に危険な思いをすることが度々あるような状況であれば、腹に据えかねて警察に通報する人も出てくるでしょう。
このように、車庫飛ばしは近隣の住民による通報で発覚するケースがほとんどです。
通報を受けた警察は、かなりスピーディーに駆けつけてくれるようです。
もちろん、警察は通報者の名前は伏せます。
伏せますが、通報された側の人は、誰が通報したか鋭い嗅覚で探り当てるのが普通です。
その結果、理不尽なリベンジが行われることもあり、そういう意味で、通報には一定のリスクが伴います。
通報するのなら、ある程度先の展開を読んだ上で、意を決して通報するべきだと思います。
また、こうした近所トラブルの延長としての通報とは別に、「風紀委員」のような人も世の中にはいて、ちゃんと駐車場に駐めていて、その意味では近所迷惑になっているわけではないけれど、しかし、その車のナンバーが他県ナンバーであることを問題視し、それを警察に通報するケースも稀にあるようです。
引っ越しして車に関する手続きを放置しているケースがこれに当たります。
社会生活を送るということは、このように様々な視線にさらされることでもあるので、何かと気をつけていただきたいと思います。
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ご覧いただきありがとうございました。