【記事丸わかり】
まとめ: 車庫証明を短期契約の駐車場で取得するのは困難で、違法行為として罰則が科される可能性があります。駐車場管理者も短期契約を嫌うため、正確な情報で適切に手続きを行うことが求められます。 ⇒⇒車庫証明の書き方見本と申請方法をプロが解説【普通車・軽自動車】 |
車が欲しい。
でも、車のオーナーになるには車庫証明が必要だ。
実は、車をとめるスペースはある。
だけど、ちょっと事情があってそのスペースでは車庫証明が取れない。
そこで、月極駐車場を1ヶ月だけ借りて、そこを保管場所として車庫証明を取り、車庫証明が取れたら、即座に解約する。
こういうやり方が可能でしょうか?
このページではこうしたケースについて解説しています。
しばらくお付き合いいただきたいと思います。
【事例】自宅の前にあるスペースを保管場所にする
郊外の住宅街などには袋小路になっている場所があって、そこには車1台を駐車させるには十分なスペースがある場合があります。
すでにある1台目の車はきちんと家のガレージに収まっているけれど、2台目が欲しくなり、だけど家のガレージは1台しか駐められず、賃貸駐車場は500メートルほど離れた場所になってしまうし、お金もかかる。
そんな時、違法とは知りつつ、家の前にあるスペースを駐車場がわりにしてしまおう、と邪な考えを抱く人が世の中にはいるものです。
それは、簡単な絵で示すとこんな感じのスペースです。
邪な考えをいだいているのはAさんです。
Bさん宅とのあいだにスペースが有り、行き止まりになっている場所なので、通りがかりの車の邪魔になる場所ではありません。
しかし、Bさんにしてみれば、「そんな使い方が許されるなら、自分だってそのスペースを利用したい」と思うはずです。
けれども、Aさんはこんな邪なことを考えるような人なので、Bさんの気持ちなどは上の空です。
いろんな手を使って煙に巻けばいいだろう、くらいに考えています。
さて、そのAさんが2台目の車を買うつもりでいます。
車を購入するには車庫証明が必要なことは、すでに1台所有しているので、Aさんもわかっています。
しかし、離れた場所で月極の駐車場を借りたら不便だし、お金もかかる。
そこで、とりあえず500メートルほど離れた場所にある月極駐車場と契約し、まず車庫証明書を取ってしまい、車庫証明書が取れたら、すぐに解約してしまおう、とAさんは考えています。
許される許されないは別問題として、とりあえず、こんなことが可能なのでしょうか?
月極駐車場の短期契約は困難が伴う
月極駐車場の管理事務所に行くなり電話するなりして、
「車庫証明だけ欲しいので、1ヶ月だけの契約でもいいですか?」
と尋ねてみれば、こんな答えが返ってくると思います。
「1ヶ月でも2ヶ月でも、車庫証明だけ取るのが目的ですぐに解約する契約はダメですよ。ウチだけじゃなくて、他所の業者さんも同じです」
そこで少し食い下がってこう質問します。
「じゃあ、割増になってもいいから、何とかなりませんか」
すると管理事務所の人は答えるでしょう。
「それなら半年分あるいは1年分を先払いしてくれますか?それならすぐに解約してもかまいませんが。もちろん預かったお金はお返しできません」
「うーん、それはちょっとなあ・・・」
という話になるでしょう。
と言うのも、車庫証明だけ欲しいこうしたケースは、これまでも頻発していて、駐車場経営者はもちろん、車庫証明を発行する警察も頭を悩ませてきたテーマなのです。
その結果、警察はある方策を立て、それが駐車場経営にも影響を与えています。
たとえば月極駐車場の区画「Aの1」という駐車スペースで車庫証明を発行した場合、その「Aの1」では向こう3ヶ月とか6ヶ月のあいだは車庫証明の発行を留保する、という方法を採用したのです。
※車庫証明の発行を留保する期間は警察署によって異なります
こうなると、駐車場経営者としては、一度「Aの1」を短期で解約されたら、次の借り手はしばらく車庫証明を取れないことを知って契約を控えるでしょうから、留保期間が過ぎるまで、実質的に「Aの1」を遊ばせておくしかないことになります。
それでは困ります。
したがって、月極駐車場は短期契約を受け付けないことになりました。
今では多くの駐車場は契約期間に一定の縛りを設けていて、たとえば6ヶ月以上契約することが条件で、もしも6ヶ月以内に解約する場合は違約金を払ってもらう、といった契約内容を採用しています。
あるいは、車庫証明に必要な「保管場所使用承諾証明書」に署名とサインをする際、たとえば半年分の駐車場代を前払いしてもらうなどの条件をつけているところもあります。
そこまでしなくても、「保管場所使用承諾証明書」に署名とサインをするのに10,000円とか20,000円といった「手数料」を取ることで、車庫証明だけ欲しいという人に一定の抑止効果をもたらしている駐車場もあります。
こうした事情があるので、車庫証明だけ欲しいから、まず月極駐車場を契約し、用が済んだらすぐに解約する、といったやり方は、実際のところ、簡単には出来なくなっているのが現状だと言えます。
車庫証明だけ欲しいあなた、それ「違法」ですから
ある場所を車の保管場所として車庫証明を交付してもらったら、車はその場所に駐車しなければなりません。
ところが、車庫証明に記載された保管場所とは別の場所に駐車する人が後を絶たず、それはあくまでも一時的なケースのみ許されることで、継続的に別の場所を使用するのは違法です。
このページで【事例】として扱ってきたAさんがやろうとしていることは、まさにこれです。
Aさんが何とかして車庫証明を取り、車庫証明が取れた直後に駐車場契約を解約して、その後は自宅前の市道であるか分譲会社の敷地かはともかく、空いたスペースを勝手に駐車場として使い続けた場合、明らかに法律違反となります。
では、この場合のAさんはどんな罪に問われるのか?
ここで警視庁のホームページに掲載されている罰則一覧を見てみましょう。
自動車の保管場所の確保等に関する法律 | |
違反内容 | 罰則 |
虚偽の保管場所証明申請 | ・20万円以下の罰金 |
保管場所の不届け、虚偽届出 | ・10万円以下の罰金 |
道路の車庫代わり使用 | ・3ヶ月以下の懲役又は20万円以下の罰金 ・違反点数3点 |
道路における長時間駐車 | ・20万円以下の罰金 ・違反点数2点 |
ざっと見たところ、Aさんが該当するのは、この中で一番重い「道路の車庫代わり使用」になると思います。
3ヶ月以下の懲役又は20万円以下の罰金、そして違反点数3点です。
通常、Aさんのようなケースが発覚するのは通報によってです。
この場合は、隣に住むBさんによる通報の可能性が高いケースだと思います。
※Aさんが警察に処罰される際、警察は通報者のことを伏せますが、AさんがBさんであることを確信して、その後Bさんに対して報復の嫌がらせ等をする可能性大ですが、それはここでは触れません
車庫証明関連の下記記事も参考になさってください。
ご覧いただきありがとうございました。