エンジン始動時にブレーキペダルが重く、エンジンがかからないのはなぜ?
車のブレーキペダルには倍力装置がついていて、ドライバーがペダルを踏む力を1とすると、これを3~7くらいの力にブーストします。だから、軽々とブレーキペダルを踏めるのです。倍力装置がついていなかったら、10キロ走行でも車を止めることはできないと思います。
この倍力装置のことをブレーキブースターとかマスターバックと呼びますが、この装置は「負圧」を利用してアシストする力を発生させます。エンジンの燃焼空気を取り込むためのインテークマニホールドでは、急激な空気の流入速度によって常時「負圧」が発生しているので、この「負圧」を利用しているわけです。
「負圧」とは通常の空気圧より低い空気圧のことで、「通常の空気圧」⇒⇒「通常より低い空気圧(負圧)」という物理現象をペダルのアシスト力に変換しています。
「負圧」はエンジンが回転しているときに発生するものなので、エンジンが止まっていれば新たな負圧は取り込めなくなるのですが、しかし、少量なら蓄積できます。
エンジンを切った後でも、ブレーキブースター内部やホース部分に「負圧」が残されているということです。
だからこそ、夕方家に帰宅して、翌朝にエンジンをかける際、ブレーキペダルに足をかけるとスゥーッとペダルが軽く沈むわけです。まだ装置周辺に「負圧」が残っているので、ペダルをアシストする力があるのです。
しかし、ブレーキブースターやホース部分に亀裂や劣化があり、「負圧」が抜けていると、もうブレーキペダルをアシストする力はどこにもないので、ブレーキペダルが重くなるわけです。重いというより固いと感じるはずです。
みなさんご存じのように、AT車の場合は、まずブレーキに足をかけ、キーを回すとエンジンがかかります。しかし、いつもならブレーキに足をかけただけである程度ブレーキペダルは沈みますから、これをセンサーが検知して、あとはキーを回すことでエンジンがかかります。
しかし、「負圧」が抜けた状態だと、ブレーキペダルは簡単には沈み込みません。センサーがペダルを踏んでいると検知するまでペダル位置が移動しないということです。
これこそが、エンジン始動時にブレーキペダルが重くてエンジンがかからないカラクリなのです。
もしも、ブレーキペダルを力任せに踏み込めば、たぶんエンジンはかかります。センサーがペダルの移動を検知するからです。
ただし、そうやってエンジンはかかっても、アシストのないそんな重いブレーキでは絶対に安全走行は不可能です。車を走らせてはいけません。
すぐにJAFを呼ぶか、自動車保険のロードサービスを利用して、修理工場などでブレーキブースターの修理を行ってください。※修理というより交換になりますが
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ご覧いただきありがとうございました。