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車やバイクのエンジンは、シリンダーヘッドとシリンダーブロックに分かれています。
この2つの合わせ目に挟み込むパッキンのことをヘッドガスケットといいます。
ヘッドガスケットは、シリンダーの内圧を外に逃がさない働きをすると同時に、冷却水やエンジンオイルのシリンダーへの流入を防ぐ働きをしていて、エンジンに用いられる各種ガスケットの中でも最も高い強度とシール性能が求められるパーツです。
ヘッドガスケットは経年劣化でオイル漏れなどを発生させます。
交換時期
何年何万キロという目安があるわけではなく、下記に列挙するような様々な不具合が出てきたら、それが交換時期ということになります。
- オイル漏れ
- 水温上昇
- オーバーヒート
- 圧縮の抜け
上記症状は、必ずしもヘッドガスケットが劣化した場合だけに見られるものではありません。エンジンルームをよく観察し、不調の原因がどこかわからない場合は、プロに相談してください。
交換費用
ヘッドガスケットそのものの費用は3,000円前後で、特に高価なパーツではありません。
しかし、場所が場所なので、DIYでは難易度がトップクラスです。
プロの見積もりでも5時間~6時間の作業時間が見込まれる高度な作業になります。
エンジン形式によって作業工程は大幅に異なりますが、比較的単純なエンジンの場合でも、
- ヘッドガスケット交換
- タイミングベルト取り外し
- エンジンオイル交換
- 冷却水交換
という作業が必要になり、部品代と工賃の総額で50,000円~70,000円かかるのが普通です。※タイミングチェーンの場合はさらに工賃が割り増しされます
さらに、V型エンジンでは、各バンクごとに上記作業が必要になるので、単純計算でも上記の2倍の費用が掛かります。
抜けとは?
「ガスケットが抜けた」とよく表現されますが、この「抜け」とは、要するに、パッキンに漏れが発生している状態のことです。
たとえば、気筒と気筒のあいだが欠けたりひび割れしたりすれば、正常な圧縮比で燃焼できなくなり、結果的に走行不能になるケースが出てきます。
大きな欠けなどが発生すれば上記のような症状が出ますが、そこまでいかなくても、程度に応じて下記のような症状が現れます。
- マフラーから白煙が上がる
- パワーが明らかに落ちる
- あれよあれよという間に水温が上昇し、放置するとオーバーヒートになる
- エンジンオイルに冷却水が混入して白く濁ってくる(乳化現象)
- クーラント液に排気ガスが混入する
とにかくエンジンにとってろくでもないことが発生するわけです。
厚みと圧縮比
ヘッドガスケットには、厚みを調節することで、圧縮比を高くしたり低くしたりする働きもあります。
たとえば、ヘッドガスケットの厚みを厚くすることで燃焼室の容積を広くし、その結果、圧縮比を低くすることができます。
逆に、薄めにすることで燃焼室の容積を狭くし、圧縮比を高くすることができます。
これらは完全にプロの領域です。
ヘッドガスケットの厚みを調節する場合は、経験を積んだプロにご相談ください。
液体ガスケット
ヘッドガスケットを交換する際、液体ガスケットを補助的に使用すべきかどうか、意見が分かれるところです。
整備士により、あるいはディーラーや整備工場により、考え方が異なるようです。
積極的に液体ガスケットを使用するところと、使用しないでヘッドガスケットのみを慎重にセッティングするところと、対応が分かれているようです。
液他ガスケットは、最初は液体ですが、やがて固まって個体となり、その際に塗り方にムラがあると、逆にシール性能を悪化させ、オイル漏れ等の原因を作ってしまうことがあります。
しかし、そうした失敗を生かし、ムラのない塗り方ができれば、強固なシール性能を長く発揮することも可能になります。
プロの意見を参考になさってください。
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