【超丁寧解説】車庫証明とは:必要性は?必要ない?引っ越しした場合は?

車庫証明とは・必要性・必要ない・引っ越し

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新車を購入したときは、登録手続きはたいていディーラーの担当者がやってくれるので、車庫証明のことはあまり意識しないで過ごすことが多いと思います。

しかし、個人間で車の売り買いをしたり、あるいは引っ越しで住所が変わったりした場合は、いやでも車庫証明のことが目の前に現れてきます。

すると、今まであまり意識してこなかったゆえに、

車庫証明とは、そもそも何のこと?

車庫証明に必要性があるの?

別に車庫証明って必要ないんじゃないの?

引っ越ししたけど車庫証明の手続きしないでいる人って、周りにたくさんいるんだけど

などなど、車庫証明に関する様々な思いが噴き出してくるものだと思います。

このページでは、そんな車庫証明について、根拠となる法律から話を始め、車庫証明の手続をしないでいた場合のデメリットについてもわかりやすく解説していきます。

しばらくお付き合いいただきたいと思います。

車庫証明が義務化された背景

車庫証明・義務化

べつに時代背景を長々語るつもりはありません。

それよりも、車庫証明の根拠となる法律の条文を見れば、車庫証明が義務化された時代背景が自ずと明白になると思います。

この法律は、自動車の保有者等に自動車の保管場所を確保し、道路を自動車の保管場所として使用しないよう義務づけるとともに、自動車の駐車に関する規制を強化することにより、道路使用の適正化、道路における危険の防止及び道路交通の円滑化を図ることを目的とする。

引用:自動車の保管場所の確保等に関する法律 第1条 昭和37年施行

通称「車庫法」と呼ばれる自動車の保管場所の確保等に関する法律が施行された昭和37年頃は、今日の日本とは比べ物にならないとは言え、それでもいたるところに多数の車が走り始めた時期にあたります。

誰もが広い庭を所有していたわけではないので、憧れの車を買ったのはいいけれど、駐車はそのへんの道路に駐めておくのが当たり前で、その結果、道路交通の秩序は乱れ、交通事故が多発し、犯罪の温床になり始めたのでしょう。

そこで、車を所有する人は、必ず車の保管場所を確保し、それを警察に届け出るように定めたのです。

ただし、この保管場所の確保は、比較的最近まで、登録車だけに義務付けられたものでした。

その後、軽自動車の爆発的増加により、ついに、都市部に限定されはするものの、平成3年7月1日東京都特別区大阪市が軽自動車の車庫証明を必要とする「適用地域」に指定されました。

この「適用地域」は、その後4度地域を拡大していき、平成23年1月1日に施行された「適用地域」が最新のものです。

つまり、今では、登録車に関しては、ごく一部の例外を除いて日本全国すべての地域で車庫証明が義務化されています

軽自動車も、ざっくり言うと、日本全国人口10万人超の自治体で車庫証明が義務化されています

したがって、車庫証明とは何か、車庫証明の必要性は何か、こうした問いに対する答えは明明白白です。

保管場所がない車は日本社会に存在させない

これが車庫証明の存在意義です。

車庫証明が問題になるのは住所が変わった時

車庫証明・住所が変わった時

新車であれ中古車であれ、車をお店で購入する場合は、わたしたちユーザーは車庫証明のことはほとんど意識しないで通り過ぎてしまいます。

なぜなら、お店の担当者が他の登録手続きと一緒に車庫証明の手続もまとめてやってくれるからです。

わたしたちはお店の担当者から渡された必要書類のリストをせっせと揃えるだけで、実はその中には車庫証明に必要な書類も混ざっている、というのが実情でしょう。

では、どんな時にわたしたちは車庫証明のことを意識するのか?

それは、引っ越しした時です。

あるいは、ヤフオクなど個人間で車の売買をした時です。

こういう場面になると、たとえ最終的に業者さんに手続きを依頼するにしても、いったんはやらなければならない諸々の手続きが眼の前に現れることになり、その諸手続きの中の1つが車庫証明なのです。

自動車の手続きってこんなに面倒なのか

と心の底から思い知る瞬間でもあります。

とりわけ、引っ越しで住所が変わったときが1つの鬼門になります。

実は、ヤフオクなどで個人間取引する際は、たしかに諸々の手続きを自分でやるのは面倒だけれど、欲しかった車にもうすぐ乗れるというワクワク感がある中で行う手続きです。

だから、あんがい苦にはならないものです。

ところが、です。

引っ越しで住所が変わった場合は、少なくともカーライフにおいては何も変化はないのです。

車が新しくなったわけでもなく、カーナビを新調したのでもなく、派手にドレスアップしたわけでもなく、ただ単に「車庫証明の手続き」という面倒くさそうなものが目の前に出現しただけです。

しかも、面倒だからできればやりたくないこの気持を正当化してくれる材料があって、それは、

だって、みんな引っ越ししても車庫証明取ったりしてないでしょ?

車庫証明取らなくて警察に捕まった人っていますか?

罰金払った人ってどこかにいるんですか?

というモヤモヤした思いです。

これがあるから、なかなか行動に移れずにいるのだと思います。

確かに警察は寛大ですが

警察・寛大

車庫証明には罰則があります。

(要旨)自動車の保有者は、保管場所の位置を変更したとき、変更した日から十五日以内に、変更後の保管場所の位置を管轄する警察署長に届け出なければならない。

自動車の保管場所の確保等に関する法律7条(保管場所の変更届出等)

上の条文に違反した場合は10万円以下の罰金に処されることになります(自動車の保管場所の確保等に関する法律17条3項1号

つまり、条文に従えば、引っ越ししたら15日以内に新しい住所地で車庫証明を取り直す必要があるということになります。

では、警察はこの条文をストレートに運用しているかというと、そんなことはありません。

警察は寛大です。

たとえば、岡山県から福岡県に引っ越しした人が、何かの検問で車を止められ、免許証あるいは車検証まで提出させられたとします。

免許証の住所変更はすでにしてあり、現住所は福岡市の住所になっているものの、車庫証明は取ってないのでナンバープレートは倉敷ナンバーだった場合。

しかも、その検問の日は引っ越しから1ヶ月後のことだったとします。

法律の条文からすれば完全にアウトですが、どうなるでしょう?

たぶん、何事も起きないでしょう。

警察は何も言わないか、言ったとしても「ナンバー変更したほうがいいですよ」と軽くジャブを入れる感じで言う程度でしょう。

まして罰金などほぼありえない話です。

このように、警察は車庫法を条文通りに運用していないのが実情です。

でも、だからって、何もしなくていいのでしょうか?

車庫証明⇒車検証⇒ナンバー⇒自動車税=社会的責任

車庫証明・車検証・ナンバー・自動車税・軽自動車税・社会的責任

「⇒」や「=」など使っていますが、これは方程式でも何でもない、ただの記号の羅列であり、ここで言いたいことは、引っ越しして新しい土地で車庫証明を取るということは、車検証の住所変更をするということです。

なぜなら、登録車の場合、車庫証明書という書類は車検証を発行するための添付書類だからです。

そして内容の変更をした車検証の新住所が以前とは管轄の異なる住所である場合は、当然ナンバープレートを交換することになります。

ナンバープレートを交換するということは、自動車税(軽自動車税)を、これまで納付していた地域とは別の地域に納めることになります。

すると、こういうことになると思います。

岡山から福岡に引越した場合で考えると、引っ越しして何の手続きもしないで過ごしている人は、日々の生活では福岡の社会インフラにお世話になっていながら、自動車税(軽自動車税)は、今暮らしてはいない岡山に納めることになります。

これって、警察に捕まるとか罰金を払うとか、そういうレベルの話ではなく、社会性の問題ではないかと思うのですが、いかがでしょう?

福岡に引越した人の家のガレージに、引っ越しから何ヶ月経っても依然として倉敷ナンバーが付いている光景を、周辺の住民はどんな思いで見るでしょうか?

確かに警察はこの件に関して大目に見てくれるかもしれません。

でも、そういう問題ではないのでは・・・と僭越ながらわたしは思います。

引っ越しして車庫証明の手続をしないでいることのデメリット

車庫証明・手続き・デメリット

法律の規定は前の項目で触れました。

また、社会的な責任はどうなのか、という点にも触れました。

あまり大仰なことを言っても、わたし自身、これまで諸手続きを抜かりなくやってきたわけではなく、反省を込めての言葉も発してしまいました。

そこで、ここでは、もっと実利的な側面を考えたいと思います。

つまり、引っ越しして住所が変わり、本来なら車庫証明を取り、その車庫証明を持って陸運支局で車検証の住所変更を行い、ナンバーも交換する、という一連の手続きをすべきところを、すべて放置していた場合、どんなデメリットがあるだろう?

この点を考えていきたいと思います。

リコールの通知が届かない

リコール通知

車庫証明とその後の手続きをやらずにいた場合のデメリットですが、まず考えられるのが、リコール情報が届かなくなる可能性がある点です。

最近は新聞を読まない方が多いと聞いていますが、わたしもそれほど熱心に新聞を読んではいないものの、それでも見出しだけは一通り目を通しています。

そこで気づくことがあって、それは、車のリコールというのは本当にしょっちゅうあるということです。

内容が重大で数も多いリコールはテレビなどで大きなニュースになりますが、そうでないものは、新聞の隅っこにひっそり載っているという感じで、実にしばしば目にします。

こうしたリコールの中には、ちゃんとリコール対応しておかないと次の車検に通らないものも含まれています。

ところが、リコールの連絡は、車検証の住所欄に記載されている住所に送られます。

引っ越しして新しい住所で生活している場合、車検証の住所変更手続きをしていなければ、リコールの通知が届かないことになります。

これは大きなデメリットだと思います。

自動車税・軽自動車税の納税通知書が届かない

自動車税・軽自動車税・納税通知書2

毎年5月頃になると自動車税・軽自動車税の納税通知書が送られてきます。

これも車検証の住所に送られてくるので、実際の住所が変わりながら車検証の住所変更をしていない場合は、納税通知書が届かない可能性があります。

もっとも、引っ越しの際に郵便局に転居・転送サービスを申し込んでおけば、無事新住所に届くでしょう。

ただ、転居・転送サービスは1年で切れますから、引っ越しの2年目から納税通知書が届かないこともありえます。

そうした事態にならないように、自動車税事務所(軽自動車は市区町村の納税課)に電話をして新住所を伝えておけば、車検証の住所変更はしないでいても、納税通知書はちゃんと新住所に届きます(翌年度以降も)。

ただ、そうではあっても、納税時期にはかなりバタバタすることは間違いないです。

もしも車検証の住所変更を普通にやっていれば、納税通知書は黙ってても新住所に届きます。

警察が悪質と判断する事故を起こした場合には・・・

警察・悪質・事故

もしも重大な人身事故等を起こしてしまい、警察の現場検証、後日警察署への呼び出し等で警察官に免許証や車検証を提示する機会があった場合、事故の内容によっては厳しい処置が取られる可能性はゼロではないと思います。

柔道に「合わせ技一本」というのがありますが、引っ越しで単に手続きをやらずにいるだけなら大目に見ていたとしても、警察が悪質だと判断するような事故を起こした場合は、その事故の重大性を問題視して、手続きをやらずにいたことを咎める方向に向かうことは大いに有り得ると思います。

そんなトラブルを引き寄せないためにも、手続きはしっかりやっておいたほうがいいと思うのですが、いかがでしょう?

と言うか、最大のデメリットは信用を落とすことでしょう。

引っ越しして何ヶ月経っても前の住所地のナンバーを付けている光景は、周辺の住民の心に、社会性の乏しさを蔑む感情を生むであろうことは容易に想像がつきます。

周辺の住民の立場に立って考えればわかることです。

罰金よりこちらのほうが怖いです。

すぐ車検なら、その時にやればいいかも

車検・車庫証明

以上の理由で、引っ越ししたらできるだけ速やかに車関連の手続きをしたほうがいいと思いますが、ただし、すぐに車検に出すという場合は、車検の際に全てまとめてやってしまえばいいと思います

しかも、車検なら、業者さんに丸投げでやってもらえます(別途手数料はかかりますが)。

おやりになったことがある方はご存知でしょうが、車庫証明書の書類を揃えたり、車検証の手続き、ナンバー変更、こうした一連の手続きはけっこう大変です。

何より大変なのが、警察署と陸運支局に最低でも1回ずつ足を運ばなければならず、警察も陸運も平日しか開いていないので、有給を取ったりしなければならないだろう、という点です。

だから、車検の際に、車両の検査、車庫証明の取得、新しい車検証の発行(住所変更を同時に)、新しい住所地のナンバー取得、とすべて業者さんにやってもらえば、本当に助かります。

けれども、車検は1年以上先だという場合は、これは大変ですけど、できるだけ速やかに車庫証明の取得から車検証の住所変更(とナンバー変更)まで、おやりになっていただきたいと思います。

矛盾したことを言うようですが、いったん取り掛かってしまえば、後はなんとかなるのがこの種の手続きですから。

もちろん、ディーラーや行政書士に代行してもらうこともできます(有料)。

⇒⇒改正引越しに伴うナンバー変更手続き、オンライン申請に限り次の車検まで猶予。令和4年1月から(国土交通省)


ご覧頂きありがとうございました。

文中、警察が車庫証明には寛大であることを書きました。

現状はそのとおりだと思いますが、今後の対応を保証しているものではありません。

その点、よろしくお願いいたします。

車庫証明関連の下記記事も参考になさってください。

ご覧いただきありがとうございました。