引っ越ししたけど車のナンバー変えたくない人は大勢います。
ひとつには、面倒だからです。
また、今ついているナンバーに愛着がある場合もあるでしょう。
しかし、法的には、こうした行為は違法です。
違法ですが、そのままナンバー変えないでいても、通常、警察に捕まることもなければ罰金を取られることもありません。
では、ナンバー変えずにいていいのかというと、それは違法です。
どうすればいいんでしょう?
まず法律の規定をチェックすると

自動車の所有者は、登録されている型式、車台番号、原動機の型式、所有者の氏名若しくは名称若しくは住所又は使用の本拠の位置に変更があつたときは、その事由があつた日から十五日以内に、国土交通大臣の行う変更登録の申請をしなければならない。
上の条文は、ナンバーの変更に関しては直接的に言及はしていません。
ですが、「住所」や「使用の本拠」が変わればナンバー変更はついて回りますから、必然的に、ナンバー変更の必要性についても規定していると見るべきです。
そして、上の条文に違反した場合の罰則もあって、50万円以下の罰金に処せられます(道路運送車両法109条2項)。
また、通称「車庫法」と呼ばれる法律には次の規定があります。
(要旨)自動車の保有者は、保管場所の位置を変更したとき、変更した日から十五日以内に、変更後の保管場所の位置を管轄する警察署長に届け出なければならない。
上の条文に違反した場合は10万円以下の罰金に処されることになります(自動車の保管場所の確保等に関する法律17条3項1号)
つまり、こうした法律の規定をストレートに読む限り、引っ越しで住所が変わったら、次のように行動しなければならないはずです。
※フィットやプリウスなどの登録車のケースで解説します
⇒引越し先の住所地を管轄する警察署で車庫証明書を発行してもらう |
⇒車庫証明書を持って管轄の陸運支局へ行き、車検証の住所変更手続きをする |
⇒その際、引越し先が前の住所とナンバーの管轄が異なっている場合は、ナンバーの変更も行う |
つまり、たとえば、横浜市から練馬区に引っ越しした場合は、「横浜」ナンバーを「練馬」ナンバーに変更しなければなりません。
法律の規定通りに手続きするなら、そういう結論になります。
ナンバーは税収とも関係している

たとえば、同じ神奈川県内での引っ越しであれば、本来なら「横浜」ナンバーを「川崎」ナンバーに変更すべきところを放置していたとしても、自動車税・軽自動車税の行き先は、最終的に神奈川県内にとどまることになります。
けれども、横浜市から練馬区に引っ越しして、「横浜」ナンバーのまま乗り続けていた場合は、本来なら東京都か練馬区に納付すべき自動車税・軽自動車税を、現在居住していない神奈川県あるいは横浜市に納め続けることになります。
日々の生活では練馬区や東京都の社会インフラのお世話になっておきながら、税金は神奈川県や横浜市に納めることになるのです。
これは、ナンバーを変えずにいたら警察に捕まるだろうか、それとも捕まらないだろうか、といったレベルの話ではなくて、ある意味、社会性を問われる話ではないかと思います。
まあ、東京都はお金持ちだから、少々はいいだろうと個人的には考えますが(いや、これはジョークです)、あまり褒められた行為とは言えないでしょう。
警察は法律を杓子定規に運用していない

いずれにしても、車庫法にしても道路運送車両法にしても、引っ越ししたら15日以内に車庫証明や車検証の住所変更、それに伴うナンバーの変更を規定しているのですが(ナンバーに関しては間接的に)、そうした法律の運用においては、かなり懐の深い対応を警察はしていると思います。
検問で、車検証の住所と現住所が異なることが判明したとしても、それですぐに罰金という、そうした法の運用は実際していません。
けれども、だからといって、面倒だからナンバー変えたくない、とか、今のナンバーに愛着があるからナンバー変えるの嫌だ、というのでは、ちょっと寂しい感じがします。
実際のところ、法律の規定は脇に置いて考えた場合、引っ越しで住所が変わったにもかかわらず、車庫証明、車検証、ナンバーに関する手続きをしないでいることのデメリットはいくつかあります。
こうしたデメリットを考えることのほうが意味のあることだと思います。
車検証の住所変更・車庫証明・ナンバー変更等をやらずにいることのデメリットは?

リコールの通知が届かない
車検証の住所変更をやらずにいた場合のデメリットですが、まず考えられるのが、リコール情報が届かなくなる可能性がある点です。
最近は新聞を読まない方が多いと聞いていますが、わたしもそれほど熱心に新聞を読んではいないものの、それでも見出しだけは一通り目を通しています。
そこで気づくことがあって、それは、車のリコールというのは本当にしょっちゅうあるということです。
内容が重大で対象となる台数も多いリコールの場合は、テレビなどで大きなニュースになりますが、そうでないものは、新聞の隅っこにひっそり載っているという感じで、実にしばしば目にします。
こうしたリコールの中には、ちゃんとリコール対応しておかないと次の車検に通らないものも含まれています。
ところが、リコールの連絡は、車検証の住所欄に記載されている住所に送られます。
引っ越しして新しい住所で生活している場合、車検証の住所変更手続きをしていなければ、リコールの通知が届かないことになります。
これは大きなデメリットだと思います。
自動車税・軽自動車税の納税通知書が届かない

毎年5月頃になると自動車税・軽自動車税の納税通知書が送られてきます。
これも車検証の住所に送られてくるので、車検証の住所変更をしていない場合は、納税通知書が届かない可能性があります。
もっとも、引っ越しの際に郵便局に転居・転送サービスを申し込んでおけば、無事新住所に届くでしょう。
ただ、転居・転送サービスは1年で切れますから、引っ越しの2年目から納税通知書が届かないこともありえます。
そうした事態にならないように、自動車税事務所(軽自動車は市区町村の納税課)に電話をして新住所を伝えておけば、車検証の住所変更をしないでいても、とりあえず、納税通知書はちゃんと新住所に届きます(翌年度以降も)。
いずれにしても、自動車税・軽自動車税を納付する時期には、かなりバタバタすることは間違いないです。
もしも車検証の住所変更を普通にやっていれば、納税通知書は黙ってても新住所に届きます。
警察が悪質と判断する事故を起こした場合のデメリット

先ほど、警察は法律を杓子定規に運用していない、という意味のことを書きました。
実際そのとおりなのですが、しかし、もしもあなたが人身事故等を起こしてしまい、警察の現場検証、後日警察署への呼び出し等で警察官に免許証や車検証を提示する機会があった場合、事故の内容によっては厳しい処置が取られる可能性はゼロではないと思います。
柔道に「合わせ技一本」というのがありますが、引っ越しで単に手続きをやらずにいるだけなら大目に見ていたとしても、警察が悪質だと判断するような事故を起こした場合は、その事故と、手続きをやらずにいたことの両方をひっくるめて、厳しく処罰されることがあるかもしれません。
そんなトラブルを引き寄せないためにも、手続きはしっかりやっておいたほうがいいのではないかと思うのですが、いかがでしょう?
すぐ車検なら、その時にまとめて手続きすればいいかも

以上の理由で、引っ越ししたらできるだけ速やかに住所変更・ナンバー変更等の手続きをしたほうがいいと思いますが、ただし、すぐに車検に出すという場合は、車検の際に全てまとめてやってしまえばいいと思います。
しかも、車検なら、業者さんに丸投げでやってもらえます(別途手数料はかかりますが)。
おやりになったことがある方はご存知でしょうが、車庫証明の書類を揃えるのって、けっこう大変です。
また、警察署と陸運支局(軽自動車検査協会)に、最低でも1回ずつ足を運ばなければなりませから、仕事も有給を取ったりしなければならないかもしれません。
だから、車検の際に、車両の検査、新しい車検証の発行(住所変更を同時に)、警察での車庫証明(保管場所届出)などのすべての手続を業者さんに代行してやってもらえば、本当に助かります。
けれども、車検は1年以上先だという場合は、これは大変ですけど、できるだけ速やかに手続きをおやりになっていただきたいと思います。
ディーラーや行政書士に代行してもらうこともできます(有料)。
引っ越しでやるべき車関連の手続きは5つあります。
まだ手を付けていないものがあったら、できるだ早く手続きしてください。
【引っ越しに伴う車関連の5つの手続き】
項目 | 手続き場所 | |
①免許証の住所変更 | ・警察署・免許センターなど | ⇒手続き |
②車庫証明の発行 | ・警察署 | ⇒手続き |
③車検証の住所変更 | ・陸運支局(登録車)・軽自動車検査協会(軽自動車・2輪) | ⇒手続き |
④自動車保険(任意保険)の住所変更 | ・インターネット、代理店、営業店 | ⇒手続き |
⑤自賠責保険(強制保険)の住所変更 | ・代理店、営業店、郵送 | ⇒手続き |
★みなさん、たまにはビックリ仰天してみませんか?車の保険って本当に金額に開きがあるんです。同じ冷蔵庫の値段が家電量販店と街の電気屋さんで2倍違うことがあるように、条件によっては実際に2倍違うこともよくあることです。この機会に一度一括見積もりサイトを使ってみれば、みなさんも確実に身をのけぞらせて驚くでしょう。あまりの違いにみなさんの保険選びに大転換が訪れるかもしれません。
保険スクエアBang! | インズウェブ |
![]() |
![]() |
|
|
下記の記事も参考になさってください。
ご覧いただきありがとうございました。