車|ラジエーターが原因のオーバーヒートとは?
車がオーバーヒートを起こす場合、原因はいろいろあるのですが、ラジエーターが直接の原因となるケースとしては以下のようなものがあります。
- ラジエーター内部にサビが生じ、クーラントが漏れ出した場合
- ラジエーターを岩などに当てて亀裂やひび割れが生じ、クーラントが漏れ出した場合
- ラジエーター上部にあるラジエーターキャップが劣化し、加圧弁・負圧弁・密閉弁という本来果たすべき3つの役割を果たせなくなっている場合
- ラジエーターリザーブタンクが劣化してクーラント漏れが生じている場合
- ラジエーターホースまたは繋ぎ目が劣化してクーラントが漏れている場合
上記6つの原因について、以下の項目で詳しく解説します。
①ラジエーター内部のサビ
ラジエーターに使用するクーラントはLLC(ロングライフクーラント)と呼ばれ、凍結防止剤・防錆剤・消泡剤が配合されています。
ですから、通常の使用ではラジエーター内部にサビが発生することはまずありません。しかし、クーラントの希釈の仕方によっては防錆剤の濃度が低すぎたり、あるいは、クーラントを補充する際に水道水をたくさん継ぎ足ししたような場合は、ラジエーター内部にサビが発生し、そこが腐食して、クーラントが漏れ出すこともあります。
クーラントが漏れ出すと、当然の結果として、エンジンの冷却性能は落ちます。その結果、オーバーヒートとなります。
②ラジエーターに亀裂やひび割れ
オフロードを走行した場合はもちろん、普通の道路であってもうっかり路側のブロックに車の下部を打ち付け、ラジエーターに亀裂やひび割れを生じさせることがあります。その結果、クーラントが漏れ出します。
③ラジエーターキャップの劣化
ラジエーター本体の上部にはフタがあって、これがラジエーターキャップです。ラジエーターキャップはただのフタではありません。3つの重要な機能があって、それが加圧弁・負圧弁・密閉弁としての機能です。
ラジエーターキャップはゴムパッキンとスプリングでできていますが、この部分が劣化すると上記3つの機能が果たせなくなります。
加圧弁としての機能は、ラジエーター内部を加圧することでクーラントの沸点を上げる働きです。沸点を上げることで100度を超えてもクーラントが沸騰しないで冷却効率を保つことができます。
しかし、クーラントが110度とか120度といった高温になった場合は、無理に加圧を続けるとホース類などが破裂するので、クーラントを一時的にリザーブタンクに逃がします。そして、エンジンが冷えてきたらまた戻します。この逃がしたり戻したりするのが加圧弁と負圧弁の働きです。
そしてラジエーターからクーラントが漏れ出さないようにしているのが密閉弁としての働きです。
こうした3つの機能は、ラジエーターキャップが正常に働いている限り、しっかり役目を果たしていますが、劣化してくるとクーラント漏れを発生させたり、クーラントの移動がスムースになされなかったりして、結果として、オーバーヒートを起こします。
④リザーブタンクの劣化
ラジエーターリザーブタンクは樹脂製のものがほとんどです。常時高温にさらされるエンジンルーム内にあるので、経年劣化はまぬかれません。劣化してくると、繋ぎ目などからクーラントが漏れ出すことがあります。
⑤ラジエーターホースまたは繋ぎ目の劣化
ラジエーターホースや繋ぎ目は、エンジン冷却システムの中で特に負荷がまともにかかる部分です。上記解説のように、ラジエーター内部は100度では沸点に達しないように常時加圧状態になっています。圧力鍋の内部と同じです。
すると、ホースやその繋ぎ目などに特に大きな負荷がかかり続けます。高圧だけでなくクーラントの高熱も劣化を早めます。クーラントは常時90度前後なので、ホースなどのゴム製パーツの劣化を早めるのです。
オーバーヒートを発生させるその他の要因
以上が、ラジエーターが原因で車がオーバーヒートになるケースの話でした。
しかし、ラジエーター以外にもオーバーヒートを発生させる要因はあります。
- クーラントを循環させるウォーターポンプが故障している
- クーラントを適温に保つサーモスタットが故障している
- 渋滞時に活躍する冷却用ファンが故障している
- エンジンオイルの量が不足している※エンジンオイルは潤滑機能だけでなく冷却機能も果たしています
下記の記事も参考になさってください。
⇒⇒オーバーヒートとは|原因と対処法|修理費用は?|サーモスタット・冷却水・ラジエーター
⇒⇒ラジエーターassyとは|部品交換でなく本体をユニットごと交換する場合
⇒⇒クーラント(冷却水)に水混ぜる|水道水or精製水どっち?
⇒⇒ロングライフクーラント(LLC)とはラジエーター液|交換時期と費用|色・成分・廃棄方法・車検
⇒⇒クーラントリザーブタンクの量が空なら冷却水を補充|交換時期・交換費用
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