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「ボルボは買ってはいけない」「ボルボは最悪」という声について
※トップ画像は現行型(2017年モデル)XC60 T5 AWD Inscription<Wikipedia様より>
みなさんご存じの通り、2017-2018年日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したのはボルボのXC60です。そして、2018-2019年日本カーオブザイヤーを受賞したのもボルボXC40です。
輸入車で2年連続カーオブザイヤーを受賞したのはボルボが初めてです。
ボルボは販売台数も好調です。
2020年度(20年4月~21年3月)の輸入車販売台数ランキングで、
- ボルボ60シリーズ:7,376台<5位>
- ボルボ40シリーズ:6,424台<8位>
となり、2021年4月以降も順調に販売台数を伸ばしています。
ボルボは以前から輸入車の中で特別な地位を占めていて、それは「安全な車」を徹底的にアピールしてきた成果なのですが、ここ数年はより身近な輸入車として私たちが目にする機会も多くなっている自動車メーカーの1つだと思います。
人間の性として、このようにボルボが急激に目立つことになった結果、針小棒大というべき様々なバッシング、ネガティブキャンペーンが頭をもたげてくることになって、やれ「ボルボは最悪だ」とか「ボルボは買ってはいけない」といった過激な投稿がネットでも目に留まるようになってきます。
そこで、私はプチ調査を敢行しました。
「本当にボルボは買ってはいけない車なのか?最悪な車なのか?」
たとえば、価格コムのクチコミ投稿にこういうものがありました。
—-走行中にエンジンがストールした。周囲の人に路側へ移動するのを手伝ってもらい、JAFを呼び、大変な思いをした。いったん修理してもらったけれどまた同じようなことが発生して、もう安心して乗っていられない。ボルボは最悪だ。こんな車に乗ってはいけないと思った。
といった内容です。
確かにこういう経験をした人には「ボルボは買ってはいけない」とか「ボルボは最悪だ」と言う当然の資格があると思いますし、悪く言う気持ちもよくわかります。
もしもこうしたトラブル事例があっちでもこっちでも散見されるのであれば、「買ってはいけない」とか「最悪」と言った言葉をボルボというメーカー全体の評価として主張することは、我々自動車ユーザーとして当然許されることだと思います。
けれども、実際には上記のような事例は稀です。頻度は低いです。他のメーカーの様々な車種に発生している同様なトラブルと比較して、頻度においてボルボ車だけが突出しているとはとても言えないことです。
こうなると、公平性の観点から、「ボルボは買ってはいけない」とか「ボルボは最悪」というコメントは、あくまでもレアケースという位置づけにとどめておく必要があると思います。
そうでなければ不当な評価ということになってしまうからです。
そこで、結論です。
少なくとも過去15年くらいのボルボ車に関して、ボルボ車だけが他のメーカーと比較して特別故障が多いとか、ユーザーからのクレームが頻発しているとか、顧客満足度が極端に低いとか、購入したことを後悔しているユーザーが多いとか、そういったファクトはまったく存在しません。
1つの参考資料として、価格コムのレビュー点数を見てみます。
この記事を書いている2021年10月17日現在の評価点です。※5点満点における評価です
- V40:4.39点(評価人数72人)
- V60:4.59点(評価人数57人)
- XC40:3.90点(評価人数30人)※「燃費」と「価格」が評価点全体を落としている要因です
- XC60:4.51点(評価人数52人)
もちろん価格コムの評価がすべてではありませんが、このサイトには私も投稿することがあって馴染があり、個人的にも他のサイトより実態に近い評価が多いと感じているので、参考資料として掲載しました。
※XC40の「燃費」と「価格」の項目にはシビアな評価(「燃費」は5点満点中2点台)が多く総合評価を下げていますが、走行性能をはじめとしたその他の評価点は高いです。
個人ブログを見渡しても、ボルボ車だけが突出して悪い評価を得ている事実は存在しません。
つまり、
「ボルボは買ってはいけない」
「ボルボは最悪」
という呪詛のようなコトバは、少なくともここ数年のボルボ車に対する評価としてはまったくのレアケースであることは明白です。
ただ、過去の一時期に次の項目にあるような故障が頻発したのは事実であり、その頃のボルボ車に対するマイナスイメージが現在でも底流として残存している点は確かだと思います。
O2センサー不良とDCT不良
ボルボは世界の自動車メーカーの先陣を切ってEV車への移行を推し進めているメーカーですが、これまではディーゼル車も販売してきました。
ボルボのディーゼルエンジンには、最終的にリコールにいたる不具合が頻発した時期があって、それがO2センサーの異常です。
O2センサー(オキシジェンセンサー)とは、排気ガス中の酸素濃度を測定するセンサーです。まず測定した数値をECU(Electronic Control Unit)に送ります。ECUでは送られてきた数値を元にエンジン内が理想的な燃焼濃度となるよう適切な濃度値を燃料噴射装置に指令を送り、結果として完全燃焼に近づくように絶えず監視を続けます。
このO2センサーの不良が頻発した時期があったのです。
また、V40、V60、S60などに搭載されたDCT(デュアルクラッチトランスミッション)の故障が頻発した時期もありました。2015年以前のことです。
DCTの異常により、2速4速などの偶数ギアに入りにくい、バックギアに入らない、1速に固定したまま動かない、などといったトラブルが発生したのです。
DCTのトラブルに関しては、現在私が乗っているフォルクスワーゲンゴルフに関しても、ほぼ同時期にクレームが頻発していて、フォルクスワーゲンの信用度を大いに盛り下げる結果を招きました。
私のゴルフは7代目で、DCT(フォルクスワーゲンではDSGと呼ぶ)のトラブルはほぼ消滅したのですが、2013年まで販売された6代目ゴルフにはこのトラブルが頻発していたのです。
いずれにしても、ボルボ車に発生した上記02センサーとDCTのトラブルは深く自動車ユーザーの記憶に刻まれて、その後のモデルがそうしたトラブルとは無縁になってからも、ちょっと何かトラブルがあると、
「ほら、やっぱりボルボは壊れやすい」
「ほら、だからボルボは買ってはいけないと言ったじゃないか」
「ほら、思ったとおりボルボは最悪だよ」
という言説が生まれる土壌となっているのだと思います。
何を隠そう、私が7代目ゴルフを購入する際も、「DCT(DSG)は大丈夫ですか」「故障したら保証で修理してもらえますか」「すでに購入した人からクレームは入っていませんか」などなど、今思うと営業担当者さんに申し訳ないような質問を矢継ぎ早にしたことを憶えています。※ゴルフ7は大丈夫ですから、念のため
一度マイナスのイメージが蔓延すると、それはなかなか消えないことを私も身をもって経験しているところです。
ともかく、そうしたことから、2021年の現在も、ボルボに対しては過去の亡霊が語らせる「最悪」とか「買ってはいけない」というコトバが消えずにネット上を彷徨っているわけです。
でも、大丈夫ですよ。
現行ボルボに関して、他のメーカーと比較してボルボだけが突出してひどい車であるファクトは存在しませんから。心配無用です。
ご覧いただきありがとうございました。
【2023年6月16日追記】ボルボ最小BEV『EX30』は500万円前半?年末に日本市場へデリバリー
モデル名 | EX30 |
メーカー | ボルボ |
モデルの位置付け | ボルボのエントリーモデル(最小のSUV)であり、全新車ラインアップの100%をBEV(バッテリー式EV)にするというボルボの2030年の目標の一部 |
価格(予想) | およそ36,000ユーロ(約540万円)で、日本ではボルボのコンパクトSUV『XC40』の529万円と同等かそれ以下と予想 |
バッテリー | 69kWhのバッテリーを搭載 |
航続距離 | 1回の充電で最大480km |
サイズ | 全長4233mm、全幅1837mm、全高1549mm(アウディ『Q2』やトヨタ『ヤリスクロス』と近いサイズ) |
デザイン | フラッグシップの『EX90』とデザイン上の共通点が多く、フロントマスクは『C40リチャージ』からの流れを汲み、ヘッドライトは“トールハンマー”LEDが採用され、新たなボルボフェイスを作り上げている。また、リヤセクションのLEDのラインが分断され、ウインドウ部分にI字、その下にVOLVOのロゴを囲むようにC字のLEDが配置されている |
インテリア | ウールがブレンドされたシート表皮を採用し、再生プラスチックをダッシュボードなどに取り入れるなど、カーボンニュートラルへの取り組みとデザインを両立。また、リサイクルデニム、亜麻仁由来の再生可能な繊維の亜麻、再生プラスチックを含む3D編みニットと、合計4種類のインテリアを選ぶことが可能 |
デリバリー開始(予定) | 2023年末 |