4WS(4輪操舵システム)とは:意味・制御
自動車の4WS(4輪操舵システム)とは、英語では4 wheel steeringのことで、通常は前輪だけで舵を切るところを、後輪も同時に舵を切るシステムのことです。
普通の車の場合、後輪は固定されています。右に左に動いたりしません。しかし、4WSの車は状況に応じて後ろのタイヤも動くのです。
4WS(4輪操舵システム)が最初に登場したのは第2次世界大戦前のドイツでしたが、登場してすぐに消滅したようです。
量産車として世に出たのは1980年代の日本市場です。
ホンダのプレリュードや日産のスカイラインに搭載され、わたしもスカイラインの4WS搭載車を購入しました(R32型)。
当時の4WS(4輪操舵システム)は、ホンダ車の場合、ハンドルをちょっと切った場合は前輪と後輪が同じ向きになり、さらに大きく切った場合に前輪と後輪が別の向きになる、というものでした。そして、こうした動きを機械的に制御していたのです。
スカイラインは油圧で後輪を動かタイプで、電子制御でした。
わたしのスカイラインGTSは、確かによく曲がる車で、高速走行も峠道も楽しい車でしたが、それが4WSの恩恵であったかどうかはよくわかりませんでした(笑)。
いったんは華々しくデビューした4WS(4輪操舵システム)でしたが、ちょっと話題になった後で、そのうち誰も口にしなくなりました。
その後、再度4WS(4輪操舵システム)が話題に上るようになったのは、2012年にデビューしたレクサスGS(2代目)のLDH(レクサス・ダイナミック・ハンドリングシステム)の搭載からではないでしょうか。
いまでは、アウディA8のダイナミックオールホイールステアリング、ポルシェ991GT3のアクティブリアホイールステアリング、ルノーメガーヌの4コントロールなど、けっこういろいろ登場してきています。
昔の4WSと現在の4WSの違いは、昔は単純な機械的制御がメインでしたが、現在は電子制御により様々なシチュエーションで細かく後輪の操舵を制御している点です。※当時の日産も電子制御でしたが、まだ詰めが甘かったのかもしれません
いったん消滅してまた登場してきた理由
1980年代にいったん登場した4WS(4輪操舵システム)がすぐに消滅した理由は、以下のようなものです。※実際には「消滅」したのではなく、搭載車はまだ細々と続いていたけれど、「だれも関心を示さなくなった」というのが実情です
- コストがかかり車両価格が高くなる
- 車両重量が重くなり運動性能に悪影響を及ぼす
- 動きに不自然なところがあり、腕のあるドライバーからはかえって敬遠された
③に関してはなんとなくわかるような気がします。メーカーとしては全く新しい方式であることを強調したいがために、どうしてもエッジを効かせた動きを出したいところなのですが、走り屋にはそれが鼻について運転の邪魔になるケースがあったのだと思います。日産の4WSはハイキャスという名称でしたが、何と「ハイキャスキャンセラー」という名称のパーツが販売されたほどでした(日産の技術陣がかわいそうです)。
メリット・デメリット
現在の洗練された4WS(4輪操舵システム)はかなり評判がいいです。
攻めの走りにも動きがナチュラルで、また、日常使いにも、狭い場所でも小回りが利いて便利だという声もあります。
デメリットは価格が高いことだけでしょう。
ボリュームゾーンとなる価格帯の車にも、量産効果でもっと広く搭載されるようになると楽しいと思います。
高い車にしか搭載されない機構では、「ふん、どうでもいいや、そんなもの」とつい斜めに構えてしまう人も出てくるのではないでしょうか。※わたしのことですが・・・
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