HICAS(ハイキャス)の歴史
最近になって再度脚光を浴びている4WS(4輪操舵システム)ですが、量産車として世界で初めて販売したのは、1985年の日産スカイライン(R31型)です。
名称をHICASと呼び、その後HICAS-II、SUPER HICAS、電動SUPER HICASと進化していきましたが、いったん姿を消し、2004年10月に発売されたフーガでリアアクティブステアと名称を変えて搭載され、現在に至っています。
2020年現在において、4WS(4 Wheel Steering)は、ポルシェ、アウディ、レクサス、ルノーなどが電子制御満載の新たな技術を盛り込んで再度脚光を浴びているところです。
HICASの仕組み・特徴
1985年にR31型スカイラインに搭載されたシステムです。
油圧アクチュエータをリアクロスメンバーの左右付け根にそれぞれ配置し、ラバーマウントの弾性範囲内でクロスメンバーを変位させて後輪を操舵します。ステアリングとは異なる系統の油圧をバルブの電子制御により横加速度に比例変化させます。舵角比例制御とディレイ制御を組み合わせていて、後輪操舵角度は最大0.5度です。HICASは高速走行時の安定性向上に特化しているため、同位相制御のみ作動します。つまり、前輪と後輪が逆方向に向くことはありません。
HICAS-Ⅱの仕組み・特徴
油圧アクチュエータで作動し、変位作動伝達にタイロッド式が採用されました。後輪操舵角度は最大1度にまで拡大し、よりいっそう操縦安定性が向上しています。1988年にS13型シルビア、1989年に180SX、そして180SXと共通シャーシのA31型セフィーロ、C33型ローレルなどに搭載されています。
SUPER HICASの仕組み・特徴
1989年のR32型スカイライン、同年のZ32型フェアレディZに搭載。車速センサーやステアリング舵角センサー情報を元にいっそう複雑な制御を実現しています。HICAS-IIまで使用された横加速度センサーに代わり、ステアリング舵角センサーで角速度を計測しています。これはステアリングホイールの操作速度を検出することにより、ドライバーの運転意図をより反映した後輪の操舵になっています。ステアリングとは異なる系統の油圧を横加速度に応じて発生させ、電子制御バルブを介することで操舵の速度を調律しています。ディレイ制御に代わり、後輪を一瞬逆位相にする位相反転制御を採用して中低速時の応答性を高めているのが特徴です。
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