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目次
新型ジムニー シエラ ハイブリッドの燃費はいい?悪すぎ?
画像:Wikipedia
まず、はじめに。2018年にフルモデルチェンジされたスズキ自動車のジムニーシエラ(1.5L)は純ガソリンエンジン車です。ハイブリッド車ではありません。
最近のスズキの車には、ほとんどの車種にマイルドハイブリッド車が用意されていて、当然、軽自動車のジムニーや普通車のジムニーシエラにもマイルドハイブリッドシステムが搭載されているだろう、と思い込んでいる方が多いようです。
ですが、2018年にフルモデルチェンジされた現行型ジムニーにもジムニーシエラにもハイブリッドシステムは搭載されていません。2021年と2022年のマイナーチェンジ後も純ガソリンエンジンのままです。
このページでは、ジムニーシエラの燃費はいいのか、悪すぎなのか、見ていきたいと思います。2023年1月にインドで世界初公開されたジムニーシエラ5ドア版の情報もありますよ。
ジムニーシエラのカタログ燃費
ジムニーシエラにはJCとJLの2つのグレードがありますが、エンジンは同じです。ただし、5MTと4ATでは車体重量が違います。5MTは1080kg、4ATは1090kgです。
(※)WLTCモードの数値です。
ジムニーシエラ | 5MT | 15.0km/L |
4AT | 13.6km/L |
最近の車の場合、同じグレードで比較すると、MT車よりAT車の方が燃費がよかったりします。でも、ジムニーシエラの場合はMTの方が燃費がいいようです。
ライバル車と燃費を比較
ジムニーシエラは4WDの本格的4輪駆動車で、世界的に見ても、このクラスでは唯一無二と言ってもいい独自の地位を築いている車です。
ですから、直接的に「ライバル」となるような車はほぼなく、ジムニーシエラを購入する人の多くは「指名買い」です。
迷うとしたら、他社の車よりも軽自動車のジムニーとの間で「2者択一」となることが多いはず。
とは言え、他社にも魅力的な車はありますから、この章では軽のジムニーを含めた「ライバル車」との燃費比較をしたいと思います。
なお、ライバル車を一覧比較したいところですが、同じ車種でも純ガソリン車とハイブリッド車では全く数値が違うので、ここでは各車種ごとの数値を見ていきたいと思います。
(※)すべてWLTCモードです。
ジムニー(軽自動車)の燃費
ジムニー | 5MT | 16.2km/L |
4AT | 13.2km/L |
MTではシエラより1.2km数値がいいですが、ATではシエラより0.4km数値が低いです。こと燃費面だけで言うと、「AT乗るならシエラ」となるかもしれません。
クロスビーの燃費
スズキのクロスオーバーSUVのクロスビーです。軽自動車のハスラーの兄貴分で、巷では「軽じゃないほうのハスラー」とも呼ばれています。
クロスビー | 2WD | 18.2km/L |
4WD | 17.0km/L |
クロスビーのエンジン排気量は1Lですが、マイルドハイブリッドで発進加速をアシストしています。その結果の燃費が上記の数値になります。ジムニーシエラよりリッター3km前後いい数値です。
イグニスの燃費
クロスビーと同じくスズキのクロスオーバーSUVのイグニスです。イグニスのエンジン排気量は1242㏄、マイルドハイブリッド搭載。車両重量は850kg~920kg、トランスミッションはCVTのみです。
イグニス | 2WD | 19.8km/L |
4WD | 19.0km/L |
重量が軽く、マイルドハイブリッド搭載ということもあり、やはりジムニーシエラより燃費が良くなりますね。ジムニーシエラのMT(15.0km/L)と比較すると、2WDが4.8km、4WDが4km数値がいいです。
ヤリスクロスの燃費
トヨタの人気者、コンパクトSUVのヤリスクロスです。この車はガソリン車とハイブリッド車で10km/Lほど数値が違います。
ハイブリッド車
X | 2WD | 30.8km/L |
4WD | 28.7km/L | |
G | 2WD | 30.2km/L |
4WD | 28.1km/L | |
Z/Z“Adventure” | 2WD | 27.8km/L |
4WD | 26.0km/L | |
GR SPORT | 2WD | 25.0km/L |
これはすごい。XとGグレードの場合、ジムニーシエラのほぼ2倍の距離を走る計算です。違い過ぎますね。
ガソリン車
X | 2WD | 20.2km/L |
4WD | 18.5km/L | |
G | 2WD | 19.8km/L |
4WD | 18.2km/L | |
Z/Z“Adventure” | 2WD | 18.8km/L |
4WD | 17.4km/L | |
GR SPORT | 2WD | 17.6km/L |
ガソリン車となると、イグニスとだいたい同じくらいの燃費です。
ロッキーの燃費
ダイハツロッキーはコンパクトサイズのSUVで大人気です。ジムニーシエラとは性格が異なりますが、シエラに興味がある人の中にもロッキーが気になる人はいるはず。
Premium G(2WD) | 23.6km/L |
Premium G(4WD) | 21.2km/L |
Premium G HEV(2WD) | 34.8km/L |
いやはや、すごい数値ですね。ハイブリッド車はヤリスクロスより数値が上です。ガソリン車もジムニーシエラより6km~8km長く走れる計算です。燃費だけ見るととても魅力的な車です。
ヴェゼルの燃費
超激戦区CセグメントのコンパクトクロスオーバーSUVのホンダヴェゼルです。純ガソリン車は1.5L、ハイブリッド車は1.5Lエンジンにハイブリッドシステムがついています。車両重量は1250kg~1450kgとジムニーシエラよりかなり重くなります。ですが、燃費は下記の通り。
G(ガソリン車) | FF:17.0km/L 4WD:15.6km/L |
e:HEV PLaY | FF:24.8km/L |
e:HEV Z | FF:24.8km/L 4WD:22.0km/L |
e:HEV X | FF:25.0km/L 4WD:22.0km/L |
純ガソリン車でもジムニーシエラよりちょっと良くて、ハイブリッド車となるとFFなら10kmほど数値がよくなります。ハイブリッド恐るべしですね。シエラより大きくて重いのに、すごいです。
ジムニーシエラの実燃費
有名なe燃費の数値では、ジムニーシエラの実燃費は以下の通りになります。
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価格コムのレビューから実燃費の報告を拾ってみました。
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ご存じのように、実燃費は運転の仕方や道路状況でかなり数値が変わってきます。都市部の渋滞をよく走るケースでは10km/Lを下回っても不思議じゃないですし、信号の少ない流れのいい郊外の道路ならカタログ数値を上回るでしょう。
ジムニーシエラの場合、4ATのデータが少ないのですが、5MTよりかなり燃費が落ちる感じがします。
ジムニーシエラは燃費で語る車ですか?
「新型ジムニー シエラ ハイブリッドの燃費はいい?悪すぎ?」のテーマで解説しています。ジムニーシエラはハイブリッド車ではなく純ガソリン車です。
「ライバル車」との比較でわかるように、純ガソリン車同士で比較してもジムニーシエラの燃費性能はいいとは言えません。まして、ハイブリッド車と比較すると「悪すぎ」と言い切れる数値です。
ジムニーやジムニーシエラに興味を持つ人の中には、ジムニーシリーズが持つ「本格的な悪路走破性を備えた世界的にも貴重なコンパクト4輪駆動車」といったイメージを抱きつつ、そのいっぽうで、「ちょっと人とは違った車に乗りたい」という程度の関心の持ち方をしている人もいらっしゃるでしょう。
そういう人にとって、ジムニーシエラの燃費性能は、今どきの車としては「悪すぎ」で、これならほかの車にしようかな、という人も出てくるのではないでしょうか。
けれども、試乗やオーナーさんのコメントなどを通して、ジムニーシエラがそのような燃費性能で語る車とは全然別の魅力を持つ車であることを確信した人にとっては、リッター12キロ~13キロ走ってくれれば上出来だと感じるのではないでしょうか。
ジムニーシリーズの不変の価値
1970年に初代ジムニーが販売されてから2023年で53年目になります。このあいだ、軽自動車のジムニーと普通車のジムニーシエラは世界199か国で販売され、総販売台数は300,000台を超えています。
ジムニーとジムニーシエラは下記のような基本となる機構で製造されています。伝統によって磨き上げられた不変の価値を持つ機構です。
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(参照:スズキ自動車)
ジムニー5ドアがインドで販売開始
ジムニーシエラの5ドア版が2023年4月からインドで販売開始されます。日本にも5ドアを待ち望む声は数多くありますが、残念ながら当分の間日本での発売はなさそうです。
なぜなら、ジムニーシエラのバックオーダーがすでに3年分ほどあるような状況で、5ドア版を追加販売することなど物理的に無理だからです。
ですが、いずれ日本でも販売されることは確実です。そこで、ジムニーのロングバージョンである5ドアの主要諸元を、現在判明している範囲でご紹介します。
日本のジムニーシエラ3ドアとの比較表です。
ジムニー5ドア | ジムニーシエラ3ドア | |
サイズ | 全長3985mm×全幅1645mm×全高1720mm | 全長3550mm×1645mm×全高1730mm |
ホイールベース | 2590mm | 2250mm |
エンジン | K15B型1.5Lガソリン | K15B型1.5Lガソリン |
エンジン出力 | 104.8ps/6000rpm、134.2Nm | 102ps/6000rpm、130Nm/4000rpm |
ミッション | 5MT/4AT | 5MT/4AT |
乗車定員 | 不明※たぶん5名 | 4名※シエラは普通車だが軽のジムニーと後席は同サイズのため |
車両重量 | MT/1195~1200kg、AT/1205~1210kg | MT/1080kg、AT/1090kg |
タイヤサイズ | 195/80R15 | 195/80R15 |
最低地上高 | 210mm | 210mm |
最小回転半径 | 5.7m | 4.9m |
前後トレッド | 前1395mm、後1405mm | 前1395mm、後1405mm |
ランプブレークオーバーアングル※1 | 24° | 28° |
アプローチアングル※2 | 40° | 40° |
デパーチャーアングル※3 | 50° | 50° |
※1:ランプブレークオーバーアングルとは、車両の走破性を表す角度のひとつ。 乗り越えた障害物がアンダーボディに接触せずに越えられる角度のことで、「斜路走破角」のこと。角度が大きいほど走破性が高くなる。つまり、ホイールベースが短い3ドアの方が悪路走破性は高い。
※2:アプローチアングルとは、前方の障害物を前輪が乗り越えられる角度のこと。
※3:デパーチャーアングルとは、マフラーやリヤバンパーなどが障害物に接触せずに越えられる角度のこと。
※シエラ3ドアにはマイナーチェンジでアイドリングストップが付きましたが、5ドアにもアイドリングストップが付きます。ただし、期待されたマイルドハイブリッドは5ドアにも付かないようです。
まず、サイズでいうと、5ドアの方が全長で435mm長くなります。幅は同じで、全高は逆に5ドアの方が10mm低くなっています。
全長の違いも大きいですが、乗車感覚で最も大きな違いが出るのはホイールベースでしょう。5ドアは340mmも伸びています。
ホイールベースは50mmの違いでもその差を感じるので、340mmとなると、運転する場所によっては「別のクルマ」のように感じる場面が出てくるのでは。
車体重量は、MTもATも3ドアより120kgほど重くなります。最小回転半径も3ドアの4.9mから5.7mへと、当然のことながら、大きくなっています。
(参考:carview)仕様に関してはcarviewさんの記事がどこよりも詳細で参考になりました。感謝。
まとめ
「新型ジムニー シエラ ハイブリッドの燃費はいい?悪すぎ?」のテーマで解説してきました。
ジムニーシエラのカタログ燃費も実燃費も、他の「ライバル車」と比べると決していい数値ではなく、「悪すぎ」と言っていいものです。
ただ、ジムニーシエラの車としての魅力を知れば知るほど、燃費の良しあしは2の次3の次になるようです。
そもそも、ジムニーシエラの「ライバル車」といったら、実質的に軽自動車のジムニーしか見当たりません。
他の「ライバル車」はコンパクトSUVであって、本格的な悪路走破性などなく、街乗りがメインで、4WDモデルであれば雪の時にちょっといいかな、程度の車に過ぎません。
ジムニーシエラはそうしたレベルで語るべき車ではなく、クラスは異なりますが、ハイラックスとかランドクルーザーといった車と比較すべき性格の車です。
このクルマの価値をわかって購入する人にとって、1,863,400円~2,084,500円(2023年1月現在)という価格はまさにバーゲンプライス。
スズキはスイフトスポーツのようなモンスターマシンを低価格で提供しているメーカーです。ジムニーシエラを同様な低価格で購入できるオーナーさんはラッキーパーソンです。
ご覧いただきありがとうございました。