こちらの記事も読まれています
【記事丸わかり】
⇒⇒竹岡 圭のフォルクスワーゲンID.4試乗【TAKEOKA KEI & VOLKSWAGEN ID.4】 |
目次
フォルクスワーゲンID.4の評価・口コミ・レビュー:スペック・仕様
Volkswagen ID.4 Pro <Wikipedia>
フォルクスワーゲンは、2015年のパリ協定にもっとも早くコミットした自動車メーカーとして知られています。
2021年に発表した「加速ストラテジー」の中で、電動化やデジタル関連技術に約2.6兆円を投資することを表明しています。
また、2030年までに生産からリサイクルまでCO2排出量をマイナス40%、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという「Way to zero」を掲げています。
こうした前のめりの取り組みは、言うまでもなく、ディーゼルエンジンの排ガステスト不正事件で失墜したブランド価値を回復するためであることは間違いないところです。
このページのテーマであるID.4(アイディーフォー)は、ID.3に次ぐ第2弾のBEV車です。2020年にヨーロッパで発売開始となり、翌2021年には北米と中国でも販売されています。2021年のID.4の全世界販売総数は約12万台になります。
さて、2022年11月14日、VWはIDシリーズの販売が全世界で、
50万台 |
を突破したと発表しています。
ID.3、ID.4、ID.5、ID.6(中国専用モデル)、ID.BUZZといったEV車の累計販売台数が50万台越えということです。
あんまり書きたくないのですが、彼我のあまりの違いを多くの人に認識していただくために記載します。
日産リーフ(100%EV)がデビューした2010年12月~2022年10月末までの累計販売台数は約16万7,000台です。
箱根駅伝やオリンピックのマラソンもそうですが、たとえ実力があってもあまりに差が付くと追いつけなくなりますよね。
日本の自動車産業は今のペースで大丈夫なのでしょうか。
ID.4はどんな車?
Volkswagen ID.4 Pro <Wikipedia>
ID.4は、ズバリ、これまでゴルフが担ってきたフォルクスワーゲンのスタンダードモデルの位置を、EV化時代にはこのクルマに置き換える、こうした目的で投入されたモデルと言われています。
実際、価格面で見ても、現行ゴルフのベーシックグレードの乗り出し価格は総額でほぼ400万円です。ID.4のベーシックグレードが車両価格499万で、補助金等を含めた乗り出し総額は、ほぼゴルフと同じくらいになるのでは。
ところで、これまでゴルフにも100%EV車であるe-ゴルフというモデルがありました。しかし、このモデルはMQBというガソリン車用に作られたプラットフォームで製造されたものです。
一方で、ID.4のプラットフォームは電気自動車専用のMEBにより製造されています。
専用プラットフォームにより、前後タイヤ間のフロア下に大容量バッテリーを搭載できるスペースを確保しています。その結果、長い航続距離が確保できます。また、ロングホイールベース化されることで、余裕のある室内空間が生まれます。
トヨタが2022年に発表したbZ4Xは100%電気自動車ですが、プラットフォームはハイブリッド車のものを流用しています。これだとコスト高になることから、トヨタは数年内に電気自動車専用のプラットフォームを開発すると発表しています。(朝日新聞)
つまり、要するに、フォルクスワーゲンID.4は超本気モードの電気自動車だということです。
ID.4のライバルたち
ID.4の立ち位置は、いまやBEV市場における最激戦区と言える場所です。競合車種と見なされるモデルは以下の通りです。
- フォルクスワーゲン・ID.4:499万~648万
- 日産・アリア:539万~790万
- テスラ・モデルY:579万~750万
- ヒョンデ・アイオニック5:479万~589万
- BYD・ATTO3:440万
- トヨタ・bZ4X:600万~650万
- スバル・ソルテラ:594万~682万
- ホンダ・ホンダe:495万
- メルセデスベンツ・EQB:788万~906万
- BMW・iX3:862万
- アウディ・Q4 e-tron:620万~710万
- ボルボ・XC40 Recharge:579万円~679万
上記の多くの車は、2022年中に日本市場に参入したモデルです。たった1年であっという間に様相が一変したということになります。
スペック・仕様
フォルクスワーゲンID.4は2022年11月22日に日本発売を果たしています。当初のグレードは、フォルクスワーゲンの他の車種でもおなじみの「導入仕様」であるLaunch Editionとして発売されました。
- Lite Launch Edition(499万)
- Pro Launch Edition(636万)
の2グレードです。
2023年秋ごろに、
- Lite(514万)
- Pro(648万)
が発売される予定です。
Lite、Proいずれのグレードも、
- RWD:駆動モーターを後輪の軸上に置き後輪を駆動
- 5人乗り
- 100%電気自動車(BEV)
となります。
サイズと最小回転半径も両グレード共通です。
- 全長4585mm×全幅1850mm×全高1640mm
- 最小回転半径:5.4m
※ID.4のサイズ感としては、フォルクスワーゲンではティグアンくらい(4500×1840×1675 TSI)。日本車ではハリアー(4740x1855x1660)かエクストレイル(4660x1840x1720)くらい。
※最小回転半径は5.4mですが、「車体前端を壁にぶつけることなく曲がれるウォール・トゥ・ウォールという指標」で見ると、小型のポロよりも小回りが利きます(ポロの最小回転半径は5.1m)。
両グレードの違いは、出力とタイヤサイズです。
(出力)
- Lite:最高出力125[170] (kW[PS])、最大トルク310[31.6](N・m[kgf・m])
- Pro:最高出力150[204](kW[PS])、最大トルク310[31.6](N・m[kgf・m])
※Proの0-100km/h加速は8.5秒
(タイヤサイズ)
- Lite:前後235/60R18
- Pro:前235/50R20、後255/45R20
そして、車両重量は190kg違います。この違いはほぼバッテリーの重量差になると思います。
- Lite:1,950 kg
- Pro:2,140 kg
それから、電気自動車で重要な指標となる航続距離と充電時間の違いは下記の通りです。
(航続距離)※WLTCモード
- Lite:388km:電池容量52kWh
- Pro:561km:電池容量77kWh
※フォルクスワーゲンは8年または16万km走行後でもバッテリー容量が元の70%維持されることを保証しています。
(充電時間)
200Vの普通充電の場合、6kW出力で、
- Lite:約9時間
- Pro:約13時間
急速充電の場合、10から80%まで充電した場合、94kWの高出力のもので、
- Lite:約36分
- Pro:約42分
という時間になります。言うまでもなく、急速充電用にCHAdeMO(チャデモ)と家庭充電用に200Vの給電口を備えています。
その他、ID.4はエクステリアデザインから予想できるように、空気抵抗が少なく、CD値0.28という数値なので、高速走行時には「空気の壁をすり抜けるような前進感」とあるモータージャーナリストは表現しています。
情報のかき集め:評価・口コミ・レビュー
ここまで「フォルクスワーゲンID.4の評価・口コミ・レビュー:スペック・仕様」のテーマで解説してきました。
フォルクスワーゲンID.4は、この記事を書いている2023年2月2日現在まだほとんど日本の公道を走っていません。したがって、自腹を切ってこの車を購入したオーナーさんたちの口コミはほぼないに等しい状況です。
そこで、いろんなところからID.4に関する情報をかき集めてきました。自動車サイト、みんカラ、価格コムなどなど、順不同、交通整理なしでお届けします。脳内を一度グチャグチャにしてみてください。時間がたてばID.4がどんな車か、クリアーな像が浮かび上がってくると思います。
- オンロード向けの都市型クロスオーバーといったデザイン。
- ID.4は、後輪の車軸上にモーターを搭載する後輪駆動車となる。エンジン車でいえば、RRに近いのだ。
- 加速感は、いかにもEVらしい瞬発力より、アクセル踏み込み始めの柔らかさ、その後に続くトルクの安定感と力強さが際立っていた感じです。
- キーを所持して運転席に座り、ブレーキペダルを踏めば「ON」となり走行可能になる。これはテスラと同様だ。
- ごく低速での速度調整がきめ細かく制御されている。EVでこういう制御をする車は希少だ。エンジン車に近い感覚の加速性能なので、楽に速度調整が行える。逆に言うと、EV車の代名詞ともなっている、シートに押し付けられるような強烈な加速感はない。
- 体に伝わるちょっとした快さは、RWDのほうがより馴染む印象がある。韓国のヒョンデIONIQ5が走りだしてすぐよい印象をもたらすのも、RWDだからではないか。(※RWDとはRear Wheel Drive=後輪駆動のこと)
- 前進と後退の切り替えは、BMWと同様にハンドル右手のレバーを回転させて行う。
- メーターパネル表示は、ハンドル位置を決めるチルトとテレスコピックを調整してもハンドルに隠れない仕様になっている。
- 日本仕様にナビゲーションシステムの設定がない。これはインフォテイメントが複雑化する中、スマートフォンと連携してApple CarPlayやAndroid Autoを利用することを前提にしているから。カーナビはスマホでどうぞということ。
- 高速道路への合流ではガツンッと背を押されるような急激なトルクの立ち上がりはなく、スルスルと素早く速度を高めていく。そういう加速の仕方をする。
- 空気抵抗係数(Cd)0.28という優れた数値であることも、空気の壁をすり抜けるような前進感を覚えさせる。
- 停車するまでアクセルペダル一つで行うことはできないが、走行中の速度調節には回生を使えるBレンジがいい。
- ID.4、ホンダe、アイオニック5はみな後輪駆動だから小回りが利く。車はエクストレイルやハリアー並みに大きいが、小回りが利く。これは重要な性能の1つだ。
- ID.4のエアコンはヒートポンプがない従来の冷媒システムを採用している。電気の消費量がヒートポンプ式より多い可能性がある。真夏や真冬の長距離移動の際は注意が必要。
- ID.4は、ガソリン車から乗り換えた時に最も違和感を感じにくいEV車を目指しているようだ。そのため、EV車ならではの強烈な加速感はなく、不満を覚える人もいるかもしれない。しかし、この方針は多くの人に支持されるだろう。なぜなら、EV特有の強烈な加速感は、最初はどのオーナーも試すけれど、そうした運転がおっそろしく電気を食う運転だということに気づくのだ。だから、そのうちそんな運転はしなくなる。そういうことを見越して作られているのがID.4。ただ、フォルクスワーゲンのことだから、電費など無視した超ド級のEV版GTIとかRといったグレードをそのうち出すかもしれない。
- 気になったのはフロントノーズスラントし過ぎて、シート高めても左先端は見えず狭い道で車幅は判りづらい。パノラマビューあるようです。
- メーターパネル内の表示がシンプルで見やすいが、シンプル過ぎてちょっと寂しい感じがする。
- 電動パワーシートは何とシートヒーターは勿論マッサージ機能付き。(プログレードのみ)
- アシがしっかりしているのに乗り心地は角が無くしっとりしていて気持ち良い。
- 後席はシートや居住性もTIGUANの方が良かったと思うがセンタートンネルが無い分ID.4の方が広くは感じる。
- 満充電で500kmは走るのでとても安心。いまガソリンも軽油も高すぎるので自宅に太陽光発電のEV充電システムがあるのであればかなり経済的。
- 残クレローンの金利が1.9%で、5年後の残価が36%という、破格のプラン。しかも東京都なら補助金合計110万円。
まとめ
「フォルクスワーゲンID.4の評価・口コミ・レビュー:スペック・仕様」のテーマで解説してきました。
2022年という年に一夜にしてBEV車の最激戦区となった場所に飛び込んできたのがフォルクスワーゲンID.4です。
テスラ、ドイツのプレミアムブランド、ボルボが待ち受けています。日産のアリアも参戦しています。中国のBYDは3年後に100店舗を超えるディーラー網を構築すると宣言しています。
そして、2022年の主役となったヒョンデのアイオニック5は既に500台ほどが日本の公道を走っています。
テスラは年初にモデルYを40万値下げしました。ホンダeは我関せず我が道を行くといった風情ですね。
フォルクスワーゲンID.4は、絶対外さない鉄壁の完成度と安定した販売網で一定の数を売り上げるのはほぼ間違いないところ。
それにしても、〇〇〇〇と〇〇〇〇はEV専用のプラットフォームを使用していないのですね。日本の自動車産業は大丈夫なのでしょうか。
私がこうしてブログの運営ができているのも、日本の自動車産業の隆盛あってこそです。それがいい車であれば、微力ではありますが腹の底から全身全霊で応援させていただきます。
ご覧いただきありがとうございました。