目次
【記事丸わかり】
SR400はヤマハのクラシックモデルとして多くのファンを魅了し続けていますが、現代のバイクと比較すると、始動性や快適性、高速性能においていくつかの欠点が指摘されています。それにも関わらず、そのデザインやシンプルさ、そして「キックスタートのみ」というユニークな特性が愛されています。 ⇒⇒【名車試乗】中古価格が新車超え!『SR400』の何がそんなに良いの?【GB350とどっちが良い?】 |
SR400大解剖:売って後悔・買って後悔・最高速・高速きつい・遅い・ツーリングを検証!
ヤマハ・SR400:Wikipedia
いよいよ販売終了となったヤマハのSR400。このバイクは賛否が割れる一台であり、その個性は多くの人々に議論を呼び起こしています。ここでは、その魅力と問題点、さらにはライバル車種や選ぶべき対象者に至るまで、幅広く解剖します。
否定的なレビューから肯定的なレビュー、それぞれの分析結果を総合して、SR400の全貌に迫ります。独自の視点でレビューサイトの平均評価も探り、売って後悔する可能性や、買って後悔するリスク、最高速と走行性能、さらにはツーリングにおける利便性まで徹底的に評価します。
SR400に興味を持っている方、また二輪の世界に足を踏み入れようとする方に、この記事が何らかの参考になれば幸いです。
どんなバイク?
ヤマハ・SR400は、399ccのネイキッドバイクです。シンプルなデザインと、空冷単気筒エンジンの鼓動感を楽しめるバイクとして、多くのファンに愛されています。
エンジンは399ccの空冷単気筒で、最高出力は24ps、最大トルクは28N・mを発揮します。
WMTCモード値は29.7km/Lで、燃料タンクは12Lなので、計算上は満タンで約356km走ります。
2021年10月販売終了
1978年以来販売してきたロングセラーのSR400ですが、2021年10月に国内向けモデルの生産を終了しています。累計12万台以上を生産したモデルです。強化された排ガス規制や安全装置搭載義務などへの対応が難しくなったことが理由です。
最後の限定モデルは2倍の価格で取引も
SR400は、2021年1月に最後の新車モデル「ファイナルエディション」とその特別版「ファイナルエディション・リミテッド」が発表され、両方とも異様な争奪戦が繰り広げられました。
とりわけ、「ファイナルエディション・リミテッド」は、本来の価格の2倍以上で取引された例もありました。このモデルは手作業で特別な塗装や装備が施され、1000台限定で販売されました。
スペック
SR400のスペック(主要諸元)を以下にまとめました。
項目 | 情報 |
---|---|
車名・型式 | SR400 Final Edition Limited / 2BL-RH16J |
フレーム形式 | セミダブルクレードル |
全長×全幅×全高 (mm) | 2085 × 750 × 1110 |
最低地上高 (mm) | 130 |
シート高 (mm) | 790 |
エンジン種類 | 4ストローク |
総排気量 (cc) | 399 |
最高出力 (kW/PS) | 18 / 24 |
最大トルク (N・m/kgf・m) | 28 / 2.9 |
燃料タンク容量 (L) | 12 |
乗車定員 (名) | 2 |
トランスミッション形式 | リターン式・5段変速 |
車両重量 (kg) | 175 |
燃料消費率(km/L) |
|
最小回転半径 (m) | 2.4 |
価格
ヤマハ・SR400の「Final Edition」の価格です。
605,000円(税込) |
※すでに触れたように、2021年の最終年には、この値段はあってないようなもので、たいへんなプレミア価格で取引されたようです。この時期、私はクルマのことばっかりかまっていたので、そうした熱狂には無関心でした。あの時買っておけば・・・とあさましい心をうごめかせる恥ずかしい私がここにいます……トホホ。
※今、グーネットを見ると、車両価格(支払総額ではない)が70万越えの車両がゴロゴロありますね。(2023年10月16日)
否定的・ネガティブなレビューをご紹介
この記事のテーマは「SR400大解剖:売って後悔・買って後悔・最高速・高速きつい・遅い・ツーリングを検証!」です。
検証するには材料が必要です。
まず、SR400に関する否定的・ネガティブなレビューをご案内します。その後でレビュー内容を分析します。
- パーツが鉄製なので錆びやすい。
- タンクにリザーブがないため不安。
- 95キロ以上での巡航時に振動がある。
- シートの脱着がボルト固定で不便。
- 高速走行中の振動とフロントフォークの鳴き。
- キックスタートしかないので再始動に苦労する場合がある。
- リアサスペンションが安定性に欠ける。
- 積載オプションが限られている。
- FI(燃料噴射装置)であるため、キャブレターとは異なる特性
- 人と被る可能性が高い
- 長時間走るとシートが辛い
- 足が窮屈に感じる場面も
- サスペンションが改良の余地あり
- 高速道路での長距離移動は厳しい
- キックスタートが一発で決まらない場合がある(特に夏場)
- ストレージスペースがほとんどない
- バンクセンサーがすぐに擦る
- ’16年モデルのグリーンの色は良いが、タンクの400の文字が気に入らない。
- キャブ車より面倒なタンク脱着。
- 小物入れがない。
- 大型車等とのツーリングはSRに負担をかけてしまう。
- フロントサスのエアーの異音があり、保証で新品Assy交換しても変わらない。
- クラッチを握った状態でエンストが起きる。
- オイル滲みが出やすい。
- 燃調が合わずアフターファイヤーが出やすくなる。
- オイルクーラーを付けないと夏場は不安。
- キックとセル両方がある方がいい。
- 2022年2月現在の相場70~100万以上の価格で購入する価値はない。
- 高速域での安定感が頼りない。
- 振動が強い。
- キックスタートのみで、始動が難しい場合がある。
- バッテリー上がりの不安感がある。
- セルが欲しいと感じる。
- ステップが接地しやすく、バンク角が浅い。
- パワーがもう少し欲しい。
- 錆びやすい、特にワイヤースポークホイールやフロントフォークの付け根。
- 冷間時のキック始動が難しい。
- 夏場、エンジンが熱くなると再始動が非常に難しい。
- ウィンカースイッチ等の感触が悪い。
- 鼓動感が期待ほど感じられない。
- エンジン性能が遅い。
- 峠の上り坂がきつい。
- 走行性能は30年前のデザインに基づいており、特別なものはない。
- 3500回転以上でエンジンが不快。
- 初心者にはキック始動が難しい。
- エンストする可能性がある。
- 法規対応にコストがかかっており、割高に感じる。
- 都市部での走行は面倒くさい。
- キックスタート専用で、初心者には敷居が高い。
- 5500回転以上で振動が大きく、不快に感じる。
- 燃費が平均的で、特段優れていない。
- 高速道路での長時間走行には向かない。
- 現行モデルは価格が高い。
- 一部の部品で錆びやすい。
- カスタムパーツが限られている。
- 荷物を積むスペースが少ない。
- 未舗装路での走行性能は平均以下。
- 信号待ちで突然ストールする場合がある。
- バイク経験がほぼ無いので、慣れが必要。
- キックスタートはマニア感があるが、初心者には少し難しい。
上記の否定的・ネガティブなレビューの分析結果
SR400の多数のレビューから得られる情報を基に、以下のような分析が可能です。
エンジン・始動関連
- キックスタートしかないとの指摘が多く、特に冷間時や夏場に始動が難しいとされています。
- エンジン性能については、3500回転以上で不快な振動が出るといった声がある。
走行性能
- 高速域での安定感が不足しており、高速道路での長距離移動は向いていないとされています。
- リアサスペンションやフロントフォークに安定性や静粛性が欠けるとの意見が多い。
シート・エルゴノミクス
- シートが硬く、長時間の走行には向かないと言われています。
- 足元が窮屈。また、大型車とのツーリングでは性能的に負担がかかる。
便利性・収納
- タンクにリザーブがない、ストレージスペースがほとんどないなど、日常使用における不便が指摘されています。
価格・コストパフォーマンス
- 2022年2月時点での価格が割高で、それに見合った価値がないという評価もある。
耐久性・メンテナンス
- 錆びやすいパーツ、オイル滲み、アフターファイヤーが出やすいなど、メンテナンス面での不安要素が多い。
カスタム・オプション
- カスタムパーツや積載オプションが限られているとの声がある。
総まとめとして、SR400には始動性の問題、高速走行における不安定感、日常使いにおける不便さ、メンテナンス面での短所などが指摘されています。
肯定的・ポジティブなレビューをご紹介
次に、SR400に関する肯定的・ポジティブなレビューをご案内します。その後でレビュー内容を分析します。
- スロットルがリニアに反応。
- タイヤが細いのでヒラヒラと峠道を走れる。
- エンジンの質感が高い。
- エンジンの発熱量が少ない。
- トルクバックが穏やか。
- 荒々しい加速感。
- 高速で80キロ巡航なら燃費が良い。
- センタースタンドが便利。
- FI化されてから始動性が向上。
- 旧式の美しいフォルムとメッキパーツ。
- ユニークなキックスタート。
- カスタムが楽しい。
- 豊富なカスタムパーツ
- 美しいデザイン
- 牧歌的な走りが楽しい
- 低回転域での乗り心地が良い
- シートが低く、足付きが良い
- 燃費が良い
- YAMAHAブランドの安心感
- 高速道路を使わないツーリングには十分な性能
- ハンドリングが素晴らしい
- トラクション感が良い
- スタイルがバイクらしい。
- のんびり走っても味があり楽しい。
- ECUの変更によるセッティング見直し最適化が魅力的。
- 振動が少なく、高速は楽になった。
- 高速ツーリングでは「Sports」で十分。
- 90年代からの所有で愛着が沸く。
- ハンドルパイプ内に防振バーを内臓すると振動が少なくなる。
- FI車のキック始動はキャブ車より掛けやすい。
- メッキパーツによる質感が高い。
- ブレーキがよく効く。
- つづら折りの峠やジムカーナでの旋回性能が優れている。
- メイドインジャパンで、手作り感がある。
- 始動性が良い。
- ストレスフリーで低速巡行が可能。
- タンデムにも向いていると感じる。
- キック始動に成功したときの満足感。
- 3千回転まででゆっくり走るのが気持ちいい。
- 王道のバイクスタイルで見た目も良い。
- デザインは浪漫的。
- 遅さが逆にストレスフリー。
- すり抜けがしやすい。
- 乗り心地が非常に良い。
- ハンドルとシートから伝わる鼓動感が中毒性がある。
- 取り回しが容易。
- 燃費が良い。
- 自分でも簡単に部品交換が可能。
- 初心者でもベテランでも誰でも楽しめる。
- 低速トルクが十分で、力強い発進。
- シンプルなデザインで時代を超えた魅力。
- 取り回しが容易で、軽さが魅力。
- 細部までの手作業と高級感。
- 音と振動が心地よく、五感で楽しめる。
- 峠道での走行が楽しい。
- 足付きが良く、安心感がある。
- 純正状態でも乗り心地が良い。
- 信頼性と実績が高い。
- 下道を法定速度内で非常に気持ちよく走れる。
- Fi車なので、乗り味がまろやかで乗りやすい。
- クラフトビルドの外観が満足。
- キャブ車から乗り換えでも問題なく適応できる。
- 見た目、音、振動が素晴らしい。
- キックスタートがマニアには喜ばれる。
上記の肯定的・ポジティブなレビューの分析結果
SR400に対するレビューから幾つかの主要なポイントが見受けられます。
- 設計と造りの質: ユーザーはメイドインジャパンの品質と手作り感、美しいデザイン、メッキパーツの高い質感を高く評価しています。
- 乗り心地と操作性: タンデムが可能、足付きが良い、ハンドリングが素晴らしい、振動が少ないなど、乗り手にとって快適で操作しやすいバイクであるとされています。
- エンジンと燃費: FI化による始動性の向上、発熱量が少ない、燃費が良いといったエンジン関連の評価が多く見られます。
- カスタマイズ: 豊富なカスタムパーツがあり、カスタムが楽しいと評価されています。
- 走行性能: 峠道での運転が楽しい、トラクション感が良い、低速トルクが十分など、走行に関する多くのポジティブな評価があります。
- 多様な用途とユーザー層: 高速道路は使わなければ十分な性能があり、初心者からベテランまで楽しめるとされています。
- 独特の要素: ユニークなキックスタートやECUの設定変更が可能であるなど、他のバイクにはない特長も評価されています。
- 感覚的な要素: 音と振動が心地よく、五感で楽しめるという評価も目立ちます。
- 安心感: YAMAHAブランドの安心感や信頼性と実績が高いと評価されています。
以上のように、SR400はデザイン、性能、乗り心地など多くの面で高い評価を受けているバイクであると言えます。
「売って後悔」「買って後悔」「最高速」「高速きつい」「遅い」「ツーリング」を重点的に分析
この記事のテーマは「SR400大解剖:売って後悔・買って後悔・最高速・高速きつい・遅い・ツーリングを検証!」というものです。
テーマの重点項目である「売って後悔」「買って後悔」「最高速」「高速きつい」「遅い」「ツーリング」について、ここまで見てきたレビューを基に、検証したいと思います。
項目 | 内容 |
---|---|
売って後悔 | SR400を売った後に価格が高騰して悔しい思いをした人もいるはず。 |
買って後悔 | 評判を聞きつけて買ったのだが、キックスタートにしても高速道路での性能にしても、現代のモデルに比べて旧式な面があらわになり、後悔している人も一部いるようです。 |
最高速 | 95キロ以上で振動あり、といったレビューもあります。その他、高速域の性能に関してあまりポジティブなレビューはないようです。最高速は、アクセルを回せば法定速度プラスαくらいはもちろん出るでしょうが、問題は、その時の走りに余裕があるかという点で、そこは疑わしい感じです。 |
高速きつい | 高速道路での長距離は厳しく、振動が強く、安定性に欠けるという評があります。実際、SR400の走りを高く評価する人も、評価しているのは下道でのんびり走る際の音や乗り味であり、高速走行を高く評価しているレビューはほぼないです。リッタークラスのバイクといっしょにツーリングしたら、きついと感じる場面がありそうですね。 |
遅い | エンジン性能遅い、峠の上り坂が厳しい、3500回転以上でエンジンが不快、こういったレビューもあります。いっぽう、走りを評価するレビューでも、低速トルクが十分で、法定速度内で非常に気持ちよく走れる、というように、低い速度域についての言及です。速さに期待できるバイクではないと思います。 |
ツーリング | 積載オプションが限られ、大型車とのツーリングは負担、といったレビューがあります。下道をのんびり走る時に持ち味が出るバイクという印象です。 |
レビューサイトの平均評価点のご案内
SR400が有名なレビューサイトでどう評価されているか、以下ご紹介します。
レビューサイトを参考にする際、「平均評価点」というのはとても重要な指標です。項目別のレビューなどいくら並べ立てても、実はバイク選びにはあまり参考になりません。
バイクのような趣味性の強いモノは、「いろいろ言うべきことはあるだろうが、結局のところ好きなのか嫌いなのか」、そこが最も知りたいところであり、「平均評価点」はこれを知る近道です。
※2023年10月16日時点
上記平均評価点の分析結果
SR400の各レビューサイトにおける評価点は興味深い差異を示しています。
- みんカラ:4.59点
- みんカラはカーライフ・バイクライフを楽しむ人たち向けのコミュニティサイトであり、バイクに関する情報も豊富です。ユーザーは一般的に経験豊富で、実際に乗ってみて感じたことを率直に投稿する傾向があります。4.59点という高評価は、SR400が多くの愛用者から高く評価されていることを示しています。
- 価格コム:4.64点
- 価格コムは商品の価格比較が主体で、多くの一般消費者が利用しています。評価が高い理由は、おそらくコストパフォーマンスに加えて、バイク本体の品質が良いからでしょう。
- ウェビック:3.88点
- ウェビックはバイク専門のECサイトであり、レビューもプロフェッショナルな視点からされることが多いです。3.88点という評価は他のサイトより低いですが、専門知識が豊富な人がより厳しく評価している可能性があります。
ライバル車とその特徴
SR400のライバル車とその特徴をまとめました。
車名 | 特徴 |
---|---|
Honda CB400Super Four |
⇒⇒レビュー記事 |
Kawasaki エリミネーター |
⇒⇒レビュー記事 |
どんな人におすすめ?
SR400がおすすめの人物像をまとめました。
おすすめの人物 | 理由・特徴 |
---|---|
初心者ライダー | SR400は操作がシンプルで乗りやすいバイクです。練習にも最適です。 |
カスタム愛好者 | シンプルなデザインと構造なので、自分の好みに合わせてカスタマイズが容易です。 |
日常使いを考える人 | 低燃費であり、街中の移動にも便利なサイズと性能を有しています。 |
レトロバイク好き | クラシックなデザインが特徴で、レトロバイクを好む人には魅力的です。 |
ツーリング愛好者 | 下道をのんびりゆったりどこまでも走り続けたい人にとって、高性能バイクでは持ちえない、理想の乗り味を持つバイク。 |
SR400に興味があって販売店を訪れた人が、思わず目移りしてしまうかもしれないヤマハの他の車種があるとしたら、それは何?
思わず目移りしてしまうかもしれないYamahaの他の車種をまとめました。
車名 | 特徴 |
---|---|
トリシティ300 |
⇒⇒レビュー記事 |
TMAX560 |
⇒⇒レビュー記事 |
まとめ
「SR400大解剖:売って後悔・買って後悔・最高速・高速きつい・遅い・ツーリングを検証!」のテーマで解説してきました。
この記事で見てきたように、SR400は独特の魅力と課題が混在するバイクです。エンジン性能、走行性能、利便性など、多角的な観点から特性を考察しました。肯定的なレビューと否定的なレビュー、それぞれが示すのは一台のバイクに対する多様な評価という現実です。
総合的に言えることは、SR400のオーナーの多くが「所有する満足感」に深く浸っていることです。否定的レビューのほとんどは肯定的レビューをしている当の本人がしています。言うべきことはいろいろあるけれど、でもこれはいいバイクだよ、というオーナーがほとんどです。
理想は、超高性能な最速バイクとSR400の2台持ちになることかもしれません。そうであれば、SR400のネガの部分をまったく意識しないで幸せなバイクライフを送れるでしょう。
あるいは、数十台のバイクを乗り継ぎ、酸いも甘いも味わい尽くした人が、最後のバイクとしてSR400を選ぶ。このシナリオも理想に近いものかもしれません。
といいつつ、免許取りたてのバイク初心者がこのバイクを選んでも、やはり幸福なバイクライフが約束されるような気もします。
何はともあれ、むき出しのエンジンと全体のシルエットが美しすぎます!
ご覧いただきありがとうございました。