車のオーバーヒートとは、エンジンが異常な高温状態になって通常通りに走行できなくなったり走行不可になったりすることを言います。
オーバーヒートの原因として考えられるのは、冷却水漏れやエンジンオイル漏れなどです。その他、エンジン周りの各パーツや装置に不具合が発生した時にエンジンが異常な高温状態になってしまいます。
オーバーヒートはエンジンそのものの不具合であり、程度が軽い場合は大きな後遺症は残りませんが、悪化させるとその後のエンジンに大きな影響を残すことになり、最悪の場合はエンジンを交換しなければなりません。
そうなると、費用の問題から、車を乗り換える決断を迫られます。
ただし、車には様々なセンサーがついていて、これらセンサーが異常を検知するとその都度運転席の警告灯を点灯または点滅させるシステムになっています。
普段から車の異変に注意を払っていれば、エンジンに深刻なダメージを残すほどの事態は避けられます。
オーバーヒートでエンジン停止
車がオーバーヒートの状態になると次のような症状が現れます。
- アクセルを踏んでも加速しない
- エンジンルームから白い煙(水蒸気)が上がる
- エンジンルームから甘い匂いがしてくる(冷却水漏れの場合)
- エンジンルームから油のにおいがしてくる(エンジンオイル漏れの場合)
- 水温警告灯が点灯または点滅する
- エンジン警告灯が点灯または点滅する
- 水温計が90度を超えてくる(適正水温は60℃~90℃のあいだ)
上記のような症状が現れる場合は、ほとんどのケースで運転席のメーターパネルで水温警告灯、油圧警告灯、エンジン警告灯などが点灯・点滅するはずです。
車が発するこうした様々なサインを見逃さず、先送りしないで、その都度適切に対処していれば、エンジンに深刻な後遺症を残すことは避けられます。
オーバーヒートの原因は?
オーバーヒートとはエンジンが異常な高温状態になることですが、その原因としては下記のようなことが考えられます。
- ラジエーターの冷却水が漏れている
- 冷却水を循環させるウォーターポンプが故障している
- ラジエーターホースまたはラジエーターキャップが劣化し水漏れがある
- ラジエーターリザーブタンクが劣化して水漏れがある
- ラジエーター本体にサビ等で穴が空いている
- 冷却水を適温に保つサーモスタットが故障している
- 渋滞時に活躍する冷却用電動ファンが故障している
- エンジンオイルの量が不足している(オイル漏れまたはオイル上がり・オイル下がりなど)
こうした原因も、何かしら症状が現れます。エンジンルームから水蒸気が上がったり、駐車中に車の下に冷却水やオイルが滴り落ちていたり、マフラーから青白い煙が出たり、と様々です。
また、各種警告灯が点灯または点滅するはずです。
軽度のオーバーヒートの修理費用
オーバーヒートの兆候を早い段階で察知し、適切な対応を取れば、比較的少ない費用で修理可能です。
具体的には、下記のような修理費用になると思います。
- 冷却水の補充:1,000円~2,000円が相場
- ウォーターポンプの交換:40,000円~60,000円が相場
- サーモスタットの交換:10,000円前後が相場
- ラジエーターそのものの交換:30,000円~100,000円が相場
- ラジエーターホースの交換:10,000円~30,000円が相場
- ラジエーターキャップの交換:1,000円~2,000円が相場
- 冷却用電動ファンの交換:20,000円~80,000円が相場
ウォーターポンプ、ラジエーター、電動ファンの交換はけっこう高額ですが、それ以外は少ない出費で対応できると思います。
しかし、エンジンそのものにダメージがあると、桁違いの出費となり、実質的に修理不能という状態になってしまいます。
オーバーヒート後のエンジンへの影響・後遺症・ダメージは?
オーバーヒートを起こしている車を強引に走らせた場合、エンジンに深刻な後遺症・ダメージが残ります。
(オーバーヒートの影響が軽度の場合)
エンジンそのものに不具合がある場合、まずエンジンを分解しないと修理できません。分解する場合は工賃だけで50,000円~100,000円はごく普通にかかります。
これに、不具合箇所のパーツ代が加算され、トータルでは200,000円~300,000円の出費がかかるケースが一般的です。珍しくない金額です。
(オーバーヒートの影響が重度の場合)
さらにエンジンに深刻なダメージがある場合は、修理は不可能となり、エンジンの載せ替えということになります。
この場合にかかる費用は500,000円~1,000,000円は当たり前にかかります。うまく中古エンジンやリビルド品が見つかった場合でも、エンジンそのものの代金は新品の3割から4割引きくらいになりますが、工賃は変わらないので、やはり数十万円の出費は確実にかかります。
その車に特別な思い入れがある場合は、たとえ上記のような金額がかかっても、エンジンの載せ替えを選択する方もいらっしゃるでしょう。
でも、実際には、ほとんどの人は車を乗り換える選択をするケースです。
オーバーヒート発生時の対処法
- 走行中にオーバーヒートを起こし、エンジンに不具合が発生したら、速やかに安全な場所に車を退避させてください。
- 道路上で立ち往生してしまわないように、不具合を感じた時点でハザードランプを点滅させつつ車を路側に寄せて走行し、仮に退避所のようなところが見つからない場合でも、道路の一番端っこで停止できるようにしてください。
- 車を停止させたら、ボンネットを開けてエンジンルームを冷やします。
- その際、冷却水漏れもなく電動ファンも作動している場合はエンジンを切らずにアイドリング状態のままにしてください。
- エンジンを切ると、冷却水やエンジンオイルが循環しなくなり、オーバーヒートの症状がさらに悪化するからです。
- しかし、明らかに冷却水が漏れている(甘いにおいがする)、空になっている、というようなケースでは、エンジンを完全に切ってください。
- そして、JAFの会員であればJAFを呼びます。
- あるいは、わたしはこちらをおすすめするのですが、自動車保険のロードサービスを呼んでください。
- 自動車保険のロードサービスはどの保険会社でも自動付帯です。
- 特約として別途保険料を支払うことなく、基本的な項目の中に入っているサービスです。
- オーバーヒートは、エンジンに直結するトラブルなので、車のトラブルの中でも深刻度はトップクラスのトラブルです。
- だから、あれこれ躊躇することなく、真っ先にJAFや自動車保険のロードサービスを利用すべきです。
- プロのサービスを活用すべきです。
- 車を購入したディーラーや中古車販売店などに連絡しても、恐らく次のように言われるはずです。
- 「自動車保険のロードサービスを呼んでください。無料でレッカー搬送してくれます。JAFの会員ならJAFを呼べば、やはり無料でレッカー搬送してくれます。その後は我々が適切に修理します。」
- 一見、冷たい対応のように聞こえるかもしれませんが、これは適切なアドバイスです。
- なぜなら、ディーラー、中古車販売店、修理工場などがレッカー車で現場に駆け付けた場合は、レッカー搬送費用は有料になります。
- 1万円~3万円の費用が発生します。
- しかし、JAFや自動車保険のロードサービスなら、無料です。
- なお、JAFの非会員でも呼べば現場に駆けつけてくれます。
- そして現場でJAFに入会することができます。
- ただし、その場合でも13,310円のレッカー搬送費用を支払う必要があります。
- 無料になるのは次回サービス提供時からです。
- また、自動車保険のロードサービスを利用した場合でも、翌年度の等級に影響を与えません。
- ロードサービス利用はノーカウント事故として扱われるからです。
- 保険料も上がりません。
- オーバーヒートでJAFや自動車保険のロードサービスを利用しないなんてありえない話です。では、どんなトラブルで利用するのですか、という話になります。
- オーバーヒートが発生したら必ずプロのサービスを利用してください。
- 迷う余地はありませんから。
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