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車やバイクのオーバークールについて解説します。
エンジンのオーバーヒートはお馴染みですが、逆の現象であるオーバークールは文字通り過冷却のことで、冷却水の温度が上がっていかない現象です。
なぜ水温が上がらないかというと、ほとんどのケースでサーモスタットが故障しているからです。
詳しい内容は本文で解説しますが、オーバークールが発生すると、エンストを起こしたりマフラーから黒煙(白煙ではなく黒煙)を出したり暖房の効きが悪くなったりします。
オーバークールとは
車やバイクのエンジンには空冷式と水冷式がありますが、オーバークールはほぼすべてのケースで水冷式エンジンにのみ発生する現象です。
水冷式エンジンにはラジエーターが装備されていて、ラジエーターは冷却水を血液のようにエンジン回りに循環させることで、エンジンの温度を高すぎず低すぎない丁度いい温度に保つ働きをします。
オーバーヒートは温度が高くなりすぎる現象で、反対に、オーバークールは温度が低くなりすぎる(厳密に言えば、上がっていくべき温度にまで上がらず低いままに留まる)という現象です。
オーバークールが発生すると、エンジンに様々な不具合が発生しますが、ただし、オーバーヒートは最悪の場合エンジンを修復不能にまですることがあるのですが、オーバークールはそこまで悪化させることはまずありません。
原因
夏場などはエンジンを始動するとすぐさまラジエーターの冷却水がエンジン回りを循環してエンジンが加熱することを防止します。
しかし、冬場は、エンジンを始動してもすぐにはエンジン回りは温まらないので、ラジエーターの冷却水はしばらく循環しないでいて、エンジンが自らの燃焼で温まってくるのを待っています。
本格的に温まってきたら、夏場と同じように、ラジエーターの冷却水がそこらじゅうを巡ってエンジンを適温に保ちます。
こうした働きのキモとなるのがサーモスタットです。
サーモスタットは家庭の暖房器具などにも使用されている温度調節器ですが、これが設定した温度で正確に作動しないと、オーバークールを引き起こします。
つまり、冬場にはエンジン始動後に一定の温度に達するまで冷却水を循環させないはずなのですが、サーモスタットが故障していれば、どんどん冷却水が循環してしまってエンジンがなかなか温まらない状態になるわけです。
オーバークールを引き起こす原因のほとんどはサーモスタットの故障ですが、その他下記のような要因も考えられます。
- 極寒の地の走行風が冷たすぎてエンジン温度が上がらない
- 純正品以外のラジエーターを取り付けている場合に必要以上に冷却水を送りすぎる
症状
オーバークールが発生すると、次のような症状が発生します。
- エンストを起こしやすくなる
- マフラーから黒煙を出す:エンジン内で燃料とエンジンオイルが混じり合って燃焼するので白煙ではなく黒煙を出す
- 不完全燃焼となり燃費が低下する
- エンジンオイルが劣化する
- 暖房が効かなくなる:温まった冷却水を暖房に利用する方式の場合はなかなか温まらない
予防と対策
オーバークールの発生を予防する方法と発生してしまった場合の対策は以下のとおりです。
(予防)
- サーモスタットの点検を定期的に行う:寿命は10年前後
- ラジエーターの点検を定期的に行う:寿命は10年前後
- ラジエーターキャップやラジエーターホースの点検を定期的に行う
(対策)
- ラジエーターをダンボールなどで覆って前方からの風が当たらないようにする。これによりエンジンの冷えすぎを防げる
あまりパッとしない対策法ですが、これで応急的な対策になることが結構あります。
しかし、サーモスタットをはじめどこかが壊れているからオーバークールになるのですから、応急的な処置はともかく、やはりプロに点検・修理してもらうのが一番です。
その際、自動車保険(任意保険)に自動付帯しているロードサービスを利用して車両をディーラーや整備工場にレッカー移動してもらいましょう。
ロードサービスはどの保険会社にも追加保険料なしに自動で付いていますし、ほとんどのケースで無料で使えます。
自動車メーカーの保証にもロードサービスが付いていることがありますので、どちらか使い勝手のいい方を利用してください。
水温計のチェックを忘れずに
水温計に関しては以下の記事を参考にしてください。
⇒⇒水温計とは|表示の見方|高い・低い|上がらない場合は?ランプのみで付いてない場合は?
下記の記事も参考になさってください。
ご覧いただきありがとうございました。