車のエンジンブレーキとは、エンジンの負荷を利用したブレーキのことです。
オートマであれマニュアルであれギアを入れた状態でアクセルを戻すと、エンジンはタイヤの回転によって無理やり回らされることになります。
これが車を減速させる働きをすることから「エンジンブレーキ」と呼びます。
エンジンブレーキは長い下り坂などで利用すると効果的です。
なぜなら、長い下り坂で通常のブレーキを多用すると、フェード現象やべーパーロック現象を起こしブレーキが効かなくなってしまうからです。
車体の重いトラックなどは特に注意が必要です。
エンジンブレーキとはどれのこと?どこについている?
フットブレーキやサイドブレーキがあるようにエンジンブレーキがあるわけではありません。車のどこを探してもエンジンブレーキは見当たりません。
エンジンブレーキとは、いわゆる空走状態におけるエンジン負荷を利用して車を減速させる働きのことを言います。
仕組み
たとえば、オートマチック(AT)で通常のDレンジに入れて長い下り坂を降りていたとします。
アクセルを踏み込むとどんどんスピードに乗ってしまうのでアクセルから足を離します。
しかし、Dレンジのままだとどんどんスピードに乗っていきます。
そこで2レンジまたはLレンジなどのより低速のギアに落とします。
すると、スピードが落ちてきます。アクセルはOFFのままですがスピードはしだいに落ちてきます。
通常、車はエンジンの爆発力をエネルギー源にしてタイヤを回転させます。しかし、エンジンブレーキの場合、その反対にタイヤの回転によりエンジンを強制的に回転させます。
アクセルはOFFの状態なのでエンジンに燃料は供給されず、爆発によるエネルギーが発生しているわけではありません。
つまり、タイヤからの回転力によって嫌々ながら回転させられている状態になります。
これが通常のフットブレーキをかけたのと同様の作用を及ぼし、車を減速させるのです。
低速ギアほど効きが強い
車を10メートル前進させようとする場合、低速ギアと高速ギアを比較すると、低速ギアのほうがより数多くのエンジン回転を必要とします。多回転を要する分、高速ギアより強い力を発揮します。
<エンジン回転⇒タイヤ回転>の向きを逆にして、<タイヤ回転⇒エンジン回転>で見ると、タイヤが一回転した場合には、低速ギアのほうが高速ギアよりエンジンの回転数は多くなります。
したがって、エンジンブレーキを使用する場合、ATでもMTでも、低速ギアのほうがブレーキの効きは強くなります。
なぜなら、低速ギアのほうがタイヤ一回転でより数多く回転しなければならず、それだけ負荷が大きくなり、車を減速させる力が働くからです。
多用はNG?
エンジンブレーキを多用しても特に問題ありません。そもそも、わたしたちが車の運転をするときは意図せず常時エンジンブレーキを使用しています。
たとえば、前方の信号が赤に変わったら、わざわざ信号機に近づくまでアクセルを踏み続け、信号機の直前でフットブレーキを踏むようなことはしないでしょう。
赤に変わった時点でフットブレーキから足を離して、いわゆる空走状態で信号に近づくはずです。
この空走状態こそ、エンジンブレーキを使用した状態です。
ただし、オートマチックの場合は通常Dレンジで走行しているので、あまり大したブレーキング効果はありませんが、それでもある程度の減速効果はあります。
このように、エンジンブレーキとは取り立てて特別なものではないので、長い下り坂などで延々とエンジンブレーキを使用し続けることに何の問題もありません。
問題があるとしたら、急激なギアチェンジでしょう。
ATの場合で、Dレンジから2に入れるのではなくいきなり1またはLレンジに入れると、ドライバーは前につんのめるような状態になりますが、エンジンやトランスミッション(ギア)にも大きな負荷が生じ、機械を傷めることがあります。
こうした極端な操作をしない限り、エンジンブレーキを多用しても何の問題もありません。
下記の記事も参考になさってください。
ご覧いただきありがとうございました。